鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済藤鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

Matjaž Ivanišin&"Oroslan"/生きることへの小さな祝福

さて、今私の中でスロヴェニア映画がアツい。きっかけはスロヴェニア映画界の巨匠Boštjan Hladnikの作品を観る機会があって、それでド嵌りしてしまったのである。それからスロヴェニアの映画評論家にインタビューを敢行し、スロヴェニア映画史について学んで…

Marko Đorđević&"Moj jutarnji smeh"/理解されえぬ心の彷徨

いわゆる"コミュ障"という言葉が日本語にはある。内に引きこもるばかりで他者との交流の仕方を知らず、孤独をこじらせていく悪循環に陥る人々のことだ。日本ではこの言葉がカジュアルに使われているが、実際問題この障害によって実生活に悪影響が及んでいる…

広大たるスロヴェニア映画史その2~Interview with Ana Šturm

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

広大たるスロヴェニア映画史~Interview with Petra Meterc

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Jure Pavlović&"Mater"/クロアチア、母なる大地への帰還

ユーゴ紛争が勃発してから約30年もの時が経つことになった。この頃に祖国から去らざるを得なかった若者たちも、今や中年世代となっている。そして故郷に残った親世代の人々は老いて、独りで行動することも難しくなったゆえに、彼らは自身の親を介護せざるを…

Alexander Zolotukhin&"A Russian Youth"/あの戦争は今も続いている

ロシア映画、特にソビエト時代の映画作品には戦争映画の傑作が多い。例えばロシアにおけるドイツ軍の凄惨な虐殺を描いた衝撃作「炎628」や独ソ戦の脅威に立ち向かう少年の姿を描いた「ぼくの村は戦場だった」さらにはボリス・バルネットが監督した、第1次世…

済藤鉄腸の2010年代ベスト100!!!!!

ということで、題名通りの記事。私のブログを読んでる方にはお解りの通り、あまりにも未公開映画が多すぎるので、表記は全部英語に統一してある。もう面倒臭いので、邦題があるのを知りたい方は各自でググってください。それからよくベストを選ぶ時、1監督1…

2020年代、期待の新鋭映画監督100!

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Fabio Meira&"As duas Irenes"/イレーニ、イレーニ、イレーニ

同じ名前を持つ、そこには奇妙な絆が生まれることになる。不快さを感じるにしろ、心地よさを感じるにしろ、私たちは名前の奇妙な重力に引き込まれていくのだ。クシシュトフ・キェシロフスキ監督作「ふたりのベロニカ」など、その魔力を描き出した芸術作品は…

Mohamed El Badaoui&"Lalla Aïcha"/モロッコ、母なる愛も枯れ果てる地で

母なる愛は強靭で偉大だ。何物にも負けることはない。映画や小説などの芸術作品はそうして母の愛の素晴らしさというものを喧伝してきた。そんな作品が誰もが信じる愛の強さ、そこに立ちはだかるものは何もないように思えてくる。だが何物も永遠ではなく、い…

Radu Jude&"Îmi este indiferent dacă în istorie vom intra ca barbari"/私は歴史の上で野蛮人と見做されようが構わない!

ラドゥ・ジュデ&"Cea mai fericită fată din ume"/わたしは世界で一番幸せな少女 Radu Jude&"Toată lumea din familia noastră"/黙って俺に娘を渡しやがれ! Radu Jude & "Aferim!"/ルーマニア、差別の歴史をめぐる旅 ラドゥ・ジュデ&"Inimi cicatrizate"…

Tashi Gyeltshen&"The Red Phallus"/ブータン、屹立する男性性

さて、ブータンは敬虔な仏教国である。それに裏打ちされた迷信も未だに根強く信じられている。そしてこの状況が抑圧的な構造を創り上げることもまま存在する。今回紹介するのはそんなブータンの現状を描き出した意欲作、Tashi Gyeltshen監督の初長編"The Red…

Dechen Roder&"Honeygiver among the Dogs"/ブータン、運命の女を追って

さて、ブータンである。巷では世界一幸福な国と言われていたり、その言説に反するように真逆のことが語られたりと、日本ではその全容が定かではない。そんな国について知りたい時、一体何が役に立つかといえば、もちろん映画な訳である。ということで今回は…

ルーマニア、日常の中の美しさ~Interview with Letiția Popa

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

私の身体、私の言葉~Interview with Camila Kater

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Tomas Vengris&"Motherland"/母なる土地、リトアニア

1991年12月、ソビエト連邦は崩壊することとなった。それによってこの国に支配されていた属国群は独立を獲得することとなる。パルト三国の1国であるリトアニアもその内の1つだ。そして他の国と同じように、独立によって様々な激動を経験することになる。今回…

リトアニアの裏側にある狂気~Interview with Jurgis Matulevičius

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Dag Johan Haugerud&"Barn"/ノルウェーの今、優しさと罪

さて、ノルウェーである。この国を含め北欧諸国は福祉や教育などがキチンと整備されており、それに関する書籍も多く日本で出版されているので、日本人にもこの国々に羨望の視線を向ける人々が多い。だがそれはこの国に問題がないことを意味しない。むしろ問…

カザフスタンの男と女~Interview with Eldar Shibanov

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Atiq Rahimi&"Our Lady of Nile"/ルワンダ、昨日の優しさにはもう戻れない

さて、ルワンダである。この国で有名なのは哀しいが虐殺という痛ましい歴史だろう。現在は目覚ましい復興を遂げているが、その虐殺の前、ルワンダにどんな現実が広がっていたか知っている人は少ないのではないだろうか。今回はそんなルワンダの知られざるを…

ルーマニアの映画批評、世界の映画批評~Interview with Flavia Dima

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Nils-Erik Ekblom&"Pihalla"/フィンランド、愛のこの瑞々しさ

さて、毎年冬に東京ではフィンランド映画祭が行われる。日本では未公開である現代のフィンランド映画を上映してくれる有り難い映画祭だ(個人的にはいつかルーマニア映画祭とかも上映されないかなと羨ましく思っている)という訳で今回はそれに合わせてフィン…

Gregor Božič&"Zgodbe iz kostanjevih gozdov"/スロヴェニア、黄昏色の郷愁

さて、スロヴェニアである。この国はイタリアと国境を接しており、歴史的にも大きな結びつきを見せていた。特にイタリアが枢軸国として侵略戦争を行っていた第2次世界大戦時代、2つの国の国境付近では静かなる激動が起こっていた。今回はそんな状況を極個人…

Tamar Shavgulidze&"Comets"/この大地で、私たちは再び愛しあう

昔から女性を愛し、女性に愛されてきた、いわゆるレズビアンという人々がいた。しかし彼女たちの愛と人生は平坦なものではあり得なかった。社会の同性愛者への不理解や偏見に晒され、そして個人的な苦悩にも苦しめられ、愛する者と別たれてきた人々も多いだ…

Antoneta Kastrati&"Zana"/コソボ、彼女に刻まれた傷痕

個人的な意見だが、最近のコソボ映画は頗る繊細な作品が多い。例えばBlerta Zeqiriの"Martesa"やLendita Zeqirajの"Shpia e Agës"など、静かに紡がれていく風景を背景として、登場人物たちの心情が丹念に描かれていく。そしてその中にはコソボ人としての壮絶…

Oskar Alegria&"Zumiriki"/バスク、再び思い出の地へと

良きにしろ悪しきにしろ、子供時代の思い出というのは人々にとって重要な意味を持つ。それは再現したり、修正したりすることができないからだ。だがそれでももう一度この思い出を再現しようとする者は確かに存在する。その過程では一体何が起こるのか。この…

Marie Grahtø&"Psykosia"/"私"を殺したいという欲望

自殺というテーマは、比較的若い芸術ジャンルである映画・ドラマでも多く描かれてきた。例えばルイ・マルの「鬼火」は人生への虚無と倦怠が自殺へと繋がる様を描き出した作品だったし、最近話題である「13の理由」は少女の自殺が高校生たちの心に波紋を広げ…

Théo Court&"Blanco en blanco"/チリ、写し出される虐殺の歴史

チリにはある黒歴史が存在している。それがセルクナム族の虐殺だ。19世紀、チリとアルゼンチンに跨る土地ティエラ・デル・フエゴには先住民族であるセルクナム族が住んでいた。しかしここに入植してきたチリ人たちは、アルゼンチン人やイギリス人たちと共に1…

Valentyn Vasyanovych&"Atlantis"/ウクライナ、荒廃の後にある希望

2019年9月7日、ロシアとウクライナは収監していた相手国の国民を釈放、拘束者を交換することになった。その中にはテロ活動の罪で禁錮20年の判決を受けたウクライナの映画監督オレグ・センツォフがいた。ジャン・リュック・ゴダールなど世界中の映画監督は彼…

ボスニアの大地に立つ2人~Interview with Maja Novaković

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…