鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

アゼルバイジャン映画

Azer Guliev&“Tengnefes”/アゼルバイジャン、肉体のこの苦痛

さて、アゼルバイジャン映画である。現在の、いわゆる新しきアゼルバイジャン映画を支えるのは現在30代40代の映画作家たちだ。例えば私がこの10年で最も偉大な映画作家になると確信しているHilal Baydarov ヒラル・バイダロフや、2021年のオスカー国際映画賞…

アゼルバイジャン、列車を待つ男~Interview with Şövkət Fikrətqızı

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

アゼルバイジャン、ある1人の女性~Interview with Tahmina Rafaella

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Șamil Əliyev&"Etiraf"/アゼルバイジャン、狭間の歴史

アザド(Elşən Rüstəmov エルシャン・リュスタモフ)は彼の所属していたギャング集団と友人に裏切られ、無実の罪で刑務所へと収監されることになった。数年の後、彼は釈放されながらも怒りが収まることはない。アザドは復讐を果たすために、バクーという都市を…

Həsən Əbluc&"Pəncərə"/アゼルバイジャン、絶望の内の子供たち

主人公のアフサン(İlham Babayev イルハン・ババイェフ)は父親(Valeh Kərimov ヴァレフ・カリモフ)によって"孤児院"と綽名される寄宿舎学校へと入れられることになる。だがここは暴力と悪徳が支配する無法地帯であり、臆病な彼はただただ脅威を耐え忍ぶしか…

Eldar Quliyev&"Burulğan"/カスピ海、荒れ狂う若き心

ムラド(Məmməd Məmmədov マンマド・マンマドフ)、ルスラン(Eldar Tağıyev エルダル・タグイェフ)、ナタ(Eqle Qabrenayte, リトアニア人だがアゼリー語綴り・読みでエグレ・ガブレナイテ)、タマラ(Həmidə Ömərova ハミダ・エマロヴァ)はバクーに生きる順風満…

Hüseyn Mehdiyev&"Süd dişinin ağrısı"/ぼくは生まれるべきじゃなかった

"Süd dişinin ağrısı"("乳歯の痛み", 1987)の主人公はカリム(Pərviz Hüseynov パルヴィズ・ヒュセイノフ)という7歳の少年だ。彼を出産する際に母親が亡くなってしまった故にカリムは深い罪悪感を抱いており、それ故か家に彼女の写真を飾ってまるで女神のよう…

アゼルバイジャン、軍隊と男性性~Interview with Ruslan Ağazadə

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Ismail Safarali&"Sessizlik denizi"/アゼルバイジャン、4つの風景

私はこの鉄腸マガジン上で2020年代の映画界を担うのはアゼルバイジャンだと何度も発言している。故に私はアゼルバイジャンの新たなる才能に目を光らせている訳だが、そこで出会ったのである。彼の名はIsmail Safarali、彼の最新短編"I Still Must Watch You …

Ru Hasanov&"The Island Within"/アゼルバイジャン、心の彷徨い

日本ではあまり知られていないが、アゼルバイジャンはチェスの強豪国である。この国にはヴガル・ガシモフやガルリ・カスパロフといった数多くのチェス・チャンピオンがおり、例えば2019年には世界U-16チェスオリンピックでは幾つもの優勝候補を破り、アゼル…

Hilal Baydarov&"Səpələnmiş ölümlər arasında"/映画の2020年代が幕を開ける

映画批評家として映画を観続けてきたうえで、2020年代に台頭する国はどこかと聞かれたとするなら、私はこう答える。コソボ、スロヴェニア、カザフスタン、そしてアゼルバイジャンと。アゼルバイジャンに関してこう確信させてくれた映画作家がHilal Bydarov …

君はアゼルバイジャン映画史を知っているか?~Interview with Firuza Mammadova

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Hilal Baydarov&"Xurmalar Yetişən Vaxt"/アゼルバイジャン、永遠と一瞬

さて、アゼルバイジャンである。旧ソ連の構成国であり、アジアとヨーロッパに跨るコーカサス山脈の傍らに位置している。首都バクーは新たな観光地として話題になり始めている。映画製作においては影の薄いこの国であるが、もちろんこの国独自の映画史は存在…