鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済藤鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

ポスト・マンブルコア世代の作家たち

Amanda Kramer&"Ladyworld"/少女たちの透明な黙示録

さて2010年代において、何と形容すべきだろう、"透明な黙示録"というべき作品が多く製作されているように思われる。それは黙示録の予感が濃厚に満ちながらも、実際の破壊と崩壊は延長され、延長され続け、ただただ禍々しい予感だけが永遠に引き延ばされてい…

Tyler Taormina&"Ham on Rye"/楽しい時間が終わったその後

例えば友人たちとカラオケに行ったりパーティーに行ったりした時、こんなことを想ったことはないだろうか。こんな楽しい時間、いつまでも終らなければいいのにと。それでも終りのないものは存在しない。どんなものにも終焉はつきまとう。さて、今回紹介する…

Alex Ross Perry&"Her Smell"/お前ら、アタシの叫びを聞け!

カリスマ性のあるロック歌手というのは、当然というべきか映画の題材になることが多い。最近でもQueenのフレディ・マーキュリーを描き出した伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」が話題になったことは記憶に新しいだろう。しかしニューヨーク・インディー映…

Rick Alverson&"The Mountain"/アメリカ、灰燼色の虚無への道行き

Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路 Rick Alversonの略歴と諸作品についてはこちら参照ロボトミー手術とは前頭葉の一部を切除する手術法である。主に双極性障害や…

Sarah Daggar-Nickson&"A Vigilante"/破壊された心を握りしめて

DVとはただの暴力なのだろうか。いや、違うだろう。それはかつて愛していた者によって愛の名の下に行われるものであり、それは被害者の心と身体を深く深く破壊してしまう。そうして壊されてしまった人々は、ボロボロになった全てを引きずって生きていくこと…

Tim Sutton&"Donnybrook"/アメリカ、その暴力の行く末

アメリカ映画に欠かせないものとは何だろうか。世界を救うヒーロー、全てを包み込む家族愛、気持ちのよい爆発、どこまでも広がる果てしない大地、洒落た服に身を包んだ人々の小粋なジョーク。様々なものが挙げられるだろうが、もう1つ欠かせない大事なもの、…

Miko Revereza&"No Data Plan"/フィリピン、そしてアメリカ

いわゆる紀行映画(トラヴェログ)というジャンルがある。ある人物がめぐる旅路の中で見る風景や体験する出来事を捉えていくことで紡がれていく映画のことだ。こういった作品を観ていると、自分たちも語り手と同じく旅をしているような、そんな心地を味わうこ…

アレックス・ロス・ペリー&「彼女のいた日々」/秘めた思いは、春の侘しさに消えて

この世界に映画として作られていない題材は一体あるのだろうか? 取り敢えず考えてみよう。前人未到の異郷に生きる原住民たちの物語、人間とは全く違う地球外生物についての物語、宇宙の深遠なる起源についての物語……米インディー映画界の恐るべき子供アレッ…

ジョセフィン・デッカー&"Madeline's Madeline"/マデリンによるマデリン、私による私

演劇というメディアはよく映画でも題材にされる。それは俳優という核、演技という核がそこにおいて共通しているからだろう。そしてそんな作品の数々は、俳優たちの人生と劇が重なりあい虚構と現実の狭間へと導かれていく……といった筋道を辿ることが多い。Jos…

Chloé Zhao&"The Rider"/夢の終りの先に広がる風景

Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている Chloé Zhao監督の経歴とデビュー長編についてはこちら参照。例えば野球選手でも小説家でもいい、ある出来事がきっかけでその夢が潰えてしまった後、そこに広がる風景とはどういうも…

Russell Harbaugh&"Love after Love"/止められない時の中、愛を探し続けて

死は誰の元にも平等にやってくる。あなたの元にも、そして信じたくはないだろうが、あなたの大切な人の元にも。あなた自身の後にあなたの人生は続くことはないが、しかしあなたの大切な人の死の後にはあなたの人生は否応なく続いていく。その時、あなたはそ…

Patrick Wang&"In the Family"/僕を愛してくれた、僕が愛し続けると誓った大切な家族

さて皆さん、アメリカのアジア系映画作家と言われて誰が思いつくだろうか。例えば「ドゥーム・ジェネレーション」の鬼才グレッグ・アラキや「SAW」シリーズに「死霊館」シリーズをブームに押し上げたホラー映画界の立役者ジェームズ・ワン、最新映画「クレイ…

M.P. Cunningham&"Ford Clitaurus"/ソルトレーク・シティでコメdっjdjdjcjkwjdjdkwjxjヴ

最近このブログで紹介してきた奇妙な映画として(注:この記事は結構前に書いて放置していたので、実際は最近じゃない)挙げられるのは、ダミアン・マニヴェルによる愛の劇的な移ろいを描いた“Le parc”(レビュー記事読んでね) や、引きこもりの母親に振り回され…

ネイサン・シルヴァー&"Thirst Street"/パリ、極彩色の愛の妄執

ネイサン・シルヴァー&「エレナ出口」/善意の居たたまれない行く末 ネイサン・シルヴァー&"Soft in the Head"/食卓は言葉の弾丸飛び交う戦場 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏" ネイサン・シルヴァー&"Stinking He…

パトリック・ブライス&"Creep 2"/殺しが大好きだった筈なのに……

いわゆるPOV映画という奴は数多くあるがどこもこれもダメダメな作品ばかりだ。手振れカメラがグラグラ揺れるだけの奴に、最後の最後まで怪物出すのを勿体ぶる奴、いきがった若者がぺちゃくちゃ喋ってばっかの奴にと挙げればキリがない。そんな中で米インディ…

S.クレイグ・ザラー&"Brawl in Cell Block"/蒼い掃き溜め、拳の叙事詩

今作の主人公はブラッドリー(「サイコ」ヴィンス・ヴォーン)という男、彼は元ボクサーでありながら力を発揮できる場もなく、妻のローレン(「リミットレス」ジェニファー・カーペンター)と共に味気ない日々を送っている。そんなある日、彼は仕事をクビになり…

Joshua Locy&"Hunter Gatherer"/日常の少し不思議な 大いなる変化

さて、ブログでは集中的にデヴィッド・ゴードン・グリーンという予測不能な映画作家を追っているのだが、彼は映画作家としてだけではなくプロデューサーとしても大いに活躍している。彼の一番の功績は「MUD」や「ミッドナイト・スペシャル」のジェフ・ニコル…

Daniel Martinico&"OK, Good"/叫び 怒り 絶望 破壊

現在、絶賛サンダンス映画祭が開催中であるが、前々からこの映画祭にはこんな批判が投げ掛けられている。インディー映画の祭典だった筈なのに、いつの間にかメジャーの踏み台になってはいないかと。確かに「フルートベール駅で」のライアン・クーグラーや「…

アントニオ・カンポス&"Christine"/さて、今回テレビで初公開となりますのは……

さて、今年も米インディー映画の祭典であるサンダンス映画祭が開催されているが、去年の映画祭において話題になったトピックが1つあった。それはクリスティーン・チャバックという女性を描いた映画が二作品同時に公開されたことだ。1974年、生放送中に謎の拳…

キース・メイトランド&「テキサスタワー」/SFのような 西部劇のような 現実じゃないような

テキサスタワー銃乱射事件、この痛ましい事件によって31名の負傷者と共に17名の尊い命が失われることになった。そしてアメリカの忌まわしい歴史として組み込まれた事件は何本もの映画、例えばカート・ラッセルが狙撃犯を演じたTV映画「パニック・イン・テキ…

Adam Pinney&"The Arbalest"/愛と復讐、そしてアメリカ

2014年、アメリカの異端チャンネルAdult Swimが"Too Many Cooks"という短編映画をリリースした。最初は「フルハウス」などの良くあるファミリーコメディOPのパロディとして進んでいくのだが、それが異様な形で反復されるうち作品世界が歪みに歪み、スラッシ…

ジェニファー・キム&"Female Pervert"/ヒップスターの変態ぶらり旅

さて、マンブルコアはその規模の異様な小ささから作品作品に同じ俳優ばかり出ているというのがウンザリするほど良くある。ギャラは安く済む、気心知れた友人同士なので作品が作りやすいなどなど様々な利点があってこの方法を選び取っていた訳だが(それにして…

Justin Tipping&"Kicks"/男になれ、男としての責任を果たせ

先日マジで信じられないことが起こった。マジでトランプが大統領になったって知った時は信じられなかった。その後から女性やアジア系やアフリカ系の人々、イスラム教徒、障害を持つ人々などマイノリティに対するヘイトクライムが多発した。海の向こうに生き…

Joel Potrykus&"The Alchemist Cookbook"/山奥に潜む錬金術師の孤独

Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ! Joshua Burge&"Buzzard"/資本主義にもう一発、中指ブチ立てろ! Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照…

Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ!

Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照。よれよれのYシャツを着た青年、住宅街を突き進んでいく彼の背中を私たちは追っていく。その背中は頼りないように見え…

Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと

米インディーズ映画界ほど豊かな世界が広がる場所はないのではないか、私は日々インディー映画を観ながら思うのだ。孤高の禅僧として異色のジャンル映画を作り続ける“The Phenom”のノア・ブシェル Noah Buschel, 真にインディペンデントな作家として周縁を生…

Zachary Treitz&"Men Go to Battle"/虚無はどこへも行き着くことはない

さて、このブログでは"ポスト・マンブルコアの世代"と称してテン年代の米インディー作家を紹介している。この命名の由来は丁度このブログを始めた折り、大手映画情報サイトindiewireに"マンブルコアという言葉も、今年で10歳を迎えた。もうこの言葉使うの止…

アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生

さてアレックス・ロス・ペリーである。ポスト・マンブルコアの世代における米インディー映画界の申し子、既に世界的な名声を博し次回作を待望される大いなる存在。だが勿論のこと、日本ではほぼ受容が成されておらず、彼の長編1本すら日本では上映されていな…

トレイ・エドワード・シュルツ&"Krisha"/アンタは私の腹から生まれて来たのに!

何の前触れもなく、全く突然に、家族の元に長い間疎遠だった親/子供が現れ、平穏な暮らしを送っていた家族に波紋を投げかける。こういった筋立ての映画は枚挙に暇がない。だからこそ敢えてこのテーマを選んだ作家たちは"誰が失踪していたのか?" "なぜ失踪し…

Kris Avedisian&"Donald Cried"/お前めちゃ怒ってない?人1人ブチ殺しそうな顔してない?

さて、ロカルノ映画祭である。スイスのイタリア語圏に位置する都市ロカルノで8月に行われるこの映画祭は新人映画作家の登竜門として、毎年輝かしい才能を輩出している。私自身この映画祭とはウマが合うようで例えばこのブログで最初期に紹介したスイスの映画…