鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

何だこの映画はいったい "Results"

軽快なドラムの響きに合わせ、画面に現れるその単語RESULTS、そんなドデカイ文字が右から左へと消えていく。今自分が観ている映画って、ロッキー、じゃないよなと、そう思っていると、次は中年太りを惨めに晒しだす男のこれまた惨めな醜態の数々。これっていわゆる大人になれない中年男の姿を描くドラメディという奴?……かと思えば、ジムでエクササイズに励む女性たち、そして彼女らを指導するムキムキ男性の姿が映る。まるでジェーン・フォンダのエクササイズビデオか、はたまたビリーズ・ブート・キャンプなのか、というか、というかだ、自分が観ているこの映画は一体全体何なんだ……?

「Funny ha ha」「Computer Chess」アンドリュー・ブジャルスキの新作"Results"はおそらく、コメディ映画だ。おそらくというのは、正直言ってこの映画の全体像を掴みかねているからで、変なのだ、この映画は変だ。最後まで観て頭に浮かぶのは、ひたすらに??????であり、だが??????なら??????なりに取り敢えずは色々書いてみようと思う。

ダニー(ケヴィン・コリガン)は離婚したばかりで、元妻に未練たらたらなまま日々を無意味に過ごしていた。だがそんな彼に莫大な遺産が転がり込んでくることになる。音信不通だった母親が富豪と結婚していて、二人ともくたばって、結果的に遺産相続という訳らしい。家を買い、家具を買い、ギターを買いと無闇に金を使ってみるが、むしろ日々の無意味さが増していく。ある日、家の近くに高級ジム"Fight 4 Life"を見つけた彼は、気まぐれでジムに加入する。「何と言うか、相手にパンチを見舞えるような人間になりたい……でも、こう……ブチのめすとか相手が血まみれになるまで殴るとか、そういうのじゃなく……何か…………そう……何か、分かりません?」

「ええ、分かりますよ」"Fight 4 Life"のオーナー・トレヴァー(ガイ・ピアース)はそう答え、ジムのポリシーについて語る。人間を構成する要素は4つ、身体、精神、感情、そして神聖さ、この4つを合わすことが云々……しかしそんな彼でも2年分の月謝を一括払いするような謎の中年男ダニーに不信感を隠せない。トレヴァーは信頼のおける部下カット(コビー・スマルダース)にダニーを任せ、様子を見ることにする。だがそれが話を余計に拗らせることになるなど、この時の彼は予想もしていなかった。

あえて言うなら、最初に見えてくるテーマは自己啓発虚無主義の対立だ。トレヴァーは自信満々に目的だとか成功だとかそんな言葉を使い、人々を鼓舞していく。しかしそのご立派な言葉やトレヴァーの見事な肉体の裏には、何か胡散臭い物を感じるだろう。 かと言って、ダニーが体現する虚無主義が良いかといえばそんなこともない。彼の心は乾いていながら汗まみれだ。金を使っても虚しさは募る、しかし体を動かしても虚しさは募る。何をしても虚しさは募る。この映画を観ていると、自己啓発虚無主義もどっちもどっちだって気がしてくる…………読み直してみると、何だこの文章はって感じがする、我ながら意味が分からない。ていうか何か畏まって書いてるのが馬鹿らしくなってきた。

それからダニーとトレヴァーと、そしてカットの三角関係も描かれる。彼女のトレーニングを受けていくうち、ダニーはカットのお尻が気になり始め、YoutubeにUPしてあるジムのプロモ動画を大画面TVに出力し、カットがスクワットをする場面だけ繰り返し繰り返し眺めるようになる。そうしたら何やかんやあって、カットとセックスできる。だが彼氏面したらブチ切れられ、トレヴァーにもブン殴られかける。でも何やかんやで、お金持ってるから友達になる。ついでに近くにある酒場で弁護士のポール(ジョヴァンニ・リビシ)とも友達になり、カットはジムを止める。でも何か、トレヴァーとカットの間にはあったらしい。そんな感じだが、展開してくうちに、三角関係もうやむやな感じになる。

ああ、何かやっぱり、俳優について語ろう。ケヴィン・コリガンは物凄いダルそうで良かった。ガイ・ピアースは、ムキムキだった。彼は俳優になる前、ボディービルダーだったらしくて、ジムのトレーナーっていうのはうってつけだと思ったし、実際うってつけだった。身のこなしから違う、会話中に廊下で天井を使った筋トレ始めるし、とにかく背筋のうごめき方が尋常じゃない、何だこのガイ・ピアース、新感覚ガイ・ピアースだ、でもこんな映画でそんな身体能力魅せてどうすんだって思う、でも良い意味でだ、良い意味でなのだ、これは。でもこの映画のMVPはコビー・スマルダースだ。「アベンジャーズ」のマリア・ヒル役の人でその演技しか知らなかったが、こんな演技も出来るのかと思った。こんな演技がどんな演技かと言えば、良く分からない演技だ。自分がどうしてこんなことやってんのか良く分かんないって演技なのだ。本当トリックスターって感じで、登場人物の中で一番マトモな雰囲気漂わせといて彼女が一番良く分からないのだ、彼女が出てきて場を引っ掻き回すことで、映画がどんどん良く分からない地平へフラッフラ行ってしまう。

本当に変な映画だ、何をやりたいのかサッパリ分からない。最後とかはぁ??????って凄いなった。何でそんな着地しちゃうの??????はあ???????って。何でテーマとかは地に足付いてる感じなのに、何でこんなに色々フワッフワしてるんだ。自分はなんだ、ブジャルスキに馬鹿にされてんのかってそういう感じだ。でも不思議なのは悪い気はしないってことだ、????????だが、悪い気はしない。本当に変な映画を観た、これを新感覚って言って良いんだろうか、ガイ・ピアースは確実に新感覚なんだけども、でも変なことは変なのだ。ここまで書いたけど面白いこた面白い、特にオススメとかはしないけども、うーん、でも、本当、何だこの映画は一体。

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