鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

Stephen Cone&"Henry Gamble's Birthday Party"/午前10時02分、ヘンリーは17歳になる

このブログでは何度かアメリカにおいて、いわゆるキリスト教啓蒙映画が台頭し始めていると書いてきた。そんな状況で5〜7月の3ヶ月連続でキリスト教啓蒙映画が日本でも公開決定という頭抱えたくなる事態が起こった。レイバーデイを狙って週間興業収入1位を強奪した祈りのちから」に、ベン・アフレックと離婚のショックでキリスト教に走ったか?と思ってしまうジェニファー・ガーナー主演作「天国からの奇跡」と、更にはジョセフ・ファインズが主演の「復活」なんかは本国公開から3ヶ月という日本の現状を鑑みると有り得ない程に短いタイムラグで公開という、それ他の映画でやってくれよ!!!としか言い様がない、いやマジで。こういうキリスト信じりゃ何とかって映画は反吐が出るが、その状況で私はある映画を観て、もちろんキリスト信仰に目覚めたとかではないが、色々と考えさせられる映画に出会ったのである。ということで今回はとある青年の誕生日を巡る群像劇を描いた"Henry Gamble's Birthday Party"とその監督Stephen Coneについて紹介していこう。

スティーブン・コーン Stephen Coneは1980年8月10日ケンタッキー州ルイスヴィルに生まれた。父のフランクはバプティスト教会で牧師を、母のジュディは高校の音楽教師をしていた。妹のクリスティーナはバンドFrances Coneのフロントマンとして活躍している。子供時代はサウス・カロライナで育ち、父の影響もあり1週間に3回は教会へ行ったり、高校では毎週火曜日に聖書についての理解を深めるクラブを主宰してもいた。そんな中で自分がゲイであることを自覚し、セクシュアリティと宗教の関係性について考え始める。サウスカロライナ大学で演劇を学びながら、演技の道に打ち込み始める。俳優としてもエイズ禍に見舞われたゲイ・コミュニティの悲劇を描く「ノーマル・ハート」の舞台に立ち、映画評論家でもあるIgnatiy Vishnevetskyの短編映画"Ellie Lumme"に出演、更にノースウェスタン大学ではテレビ・映画製作についての教鞭をとってもいる。

映画監督としては2006年の短編映画"Church Story"でデビュー、2007年の"Young Wives"や2008年の初長編"The Christians"など自身の出自を反映した作品を制作し着実にキャリアを積み重ねながら、2011年に第2長編"In Memoriam"を製作、シカゴに住む青年が自身の通う大学で起きた奇妙な殺人事件の謎を追うという作品でビッグ・マディ映画祭でプレミア上映され、映画評論家ロジャー・イーバーが3つ星と高く評価するなど話題になる。だが彼の名を高めたのは同年製作の第3長編"The Wise Kids"だった。サウスカロライナチャールストンを舞台にバプテスト教会の牧師を父に持つ少女と信心深い彼女の親友、そしてキリスト教を信仰しながら同性愛者であることに悩む青年の姿を描きだした群像劇で、LAのLGBT映画祭Outfestで上映され作品賞を獲得した後、一般公開され評判を得る。

この時期からかなり精力的に作品を製作し始め、2013年にはセックス中毒に陥った青年の姿を追うコメディ短編"Support"と共に、第4長編"Black Box"を手掛ける。とある女性が自身の在籍していた大学の演劇グループを率いて80年代に人気を博したYA小説を舞台化しようとしながらそれが思わぬ事態を巻き起こし……という作品で、個人的な注目点としては主演が Josephine Decker ジョセフィン・デッカーという俳優で、実は彼女、マンブルコアの影響を濃厚に受けたポスト・マンブルコア世代の映画監督として超重要な人物なのである、後々このブログでも取り上げると思うので取り敢えずジョセフィン・デッカーという名前だけでも憶えていて欲しい。

2014年には4本もの作品を製作、1,2本目は短編の"Home Free""The Ballad of Ronnie and Clive"、3本目にはとある俳優がいつものようにオーディションを受けたことから始まる騒動を描き出した"The Mystery of Life"という中編を手掛けた。4本目は先述の短編"Support"を長編化した"This Afternoon"セックス依存症に陥った青年がクレイグリストを通じてセックス相手を物色しまくる女性と出会い……という恋愛映画を監督、シカゴ国際映画祭で上映され話題となる。そして2015年には今回紹介する長編"Henry Gamble's Birthday Party"を手掛ける。

この日はヘンリー・ギャンブル(Cole Doman)にとって特別な日、今日は彼の誕生日なのだ。母のカット(Elizabeth Laidlaw)や父のボブ(Pat Healy)、妹のオータム(Nina Ganet)に迎えられ、祈りの中でヘンリーは17歳になる。始まるのは盛大な誕生パーティー、友人や親戚たちも大勢集まり、パーティ会場には自分オリジナルのプレイリストが流れる最高の環境、そしてヘンリーは水着に着替えてプールへと飛び込んでいく。誕生日はまだ始まったばかりだ。

だがそんな景気のいい雰囲気に何か違和感をも抱くのではないか?冒頭でヘンリーは友人のゲイブ(Joe Keery)とベッドに寝転がって何をするかと言えばオナニーだ。ホモソーシャル的な関係における絆の証明としてこの行為自体珍しいものではないかもしれないが、射精する時に彼らは何故かぺニスを靴下で覆う。それのどんな意味があるのか考えるうち、彼らの会話の節々にある言葉が現れるのに気づくだろう。クリスチャン・バンド、神父、メガチャーチ……そして分かるのはギャンブル家や彼らの友人はキリスト教福音派を信仰しているという事実だ。

福音派という言葉を聞いてあなたは何を想像するだろう。キリスト教でもかなり過激な一派、進化論を否定し神による創造論を学校の授業で教える、映画などでは例えば子供たちが参加する福音派サマーキャンプの実態を描き出したジーザス・キャンプ」などが思い浮かぶ。実際メディアにはそういった表象が溢れる故に、福音派の人々は自分たちとは全く異なる理論で動くおかしな者たちというイメージが明確にしろ曖昧にしろ、私たちの中にも形成されてはいないだろうか。自身も福音派であるConeは"Henry Gamble's Birthday Party"によって、そういった非人間化された信者たちのイメージを解きほぐそうとしていく。

Coneはメディアに広まる福音派の表象について、キリスト教啓蒙映画の隆盛も交えこう語っている。"プロパガンダは芸術の敵です。そういった映画が複雑で血の通った芸術としてキチンと機能しているか定かではありません。その一方で「意志の勝利」(レニ・リーフェンシュタールによるナチスプロパガンダ映画)を素晴らしい映画と考える人々も多いですし、何処かにはああいった福音主義的な映画を素晴らしいと思う人々もいるのでしょう。私にとっては、キリスト教の世界についてもっと人間性を重んじる視点から眺めることは物語を興味深く客観的なものに出来ると思っています。もう1つ言うべきなのは、インディー映画やいわゆるハリウッド映画――それら程ではないにしろキリスト教映画について――が、福音主義を信仰する人々を貶めるような描き方をしていることに私は怒りを覚えています、どれも見当違いなんです。もし人々が冷静になった上で、福音主義者たちも脳みそを持ち、心を持ち、性自認を持ち、情熱を持っているのだと知れたなら、作品の数々はもっと良いものとなるでしょうね"

監督自身が「ブレックファスト・クラブ」を手掛けたジョン・ヒューズの名を挙げる通り、この作品には様々な性格のキャラクターが登場する。アフリカ系でヘンリーに片想いするゲイのローガン(Daniel Kyri)、彼らの友人でバンドを組んでいるクリスティンとヘザー(Melanie Neilan&Grace Melon)はどちらかと言えば無宗教、ノーブル夫妻(Travis A. Knight&Kelly O'Sullivan)は体育会系で敬虔な信者としてリーダーシップを取り、他にも信者ではあるが余り規律は守らない人物や、毎日がキリスト教と密接に関わっている故に信仰以上に日常の風景として受け入れている人物……当然ではあるが福音派と言えども一枚岩な訳ではなく、10人いれば10人それぞれの価値観が存在するという訳だ。

それを象徴するようなシーンがある。ヘンリーの叔母であるボニー(Hanna Dworkin)は、昔よりも若者の行動が過激なものとなり、少女たちは揃って娼婦になっていると現在の状況を糾弾し、それはキリストへの信仰が失われているからだと嘆く。それに対してカットはそれが原因の1つかもしれないが、貧困化した社会が彼女たちを追い詰める現状についても考慮に入れるべきだ、その原因を個人のみに押し付けてはいけないと反論し、議論は白熱していく。こうして幾度もの価値観の対立が繰り広げられ、彼らの人となりが明らかにされていくと共に時間は過ぎていく。

そして監督はキリスト教及び福音派においてタブーとされる領域へと切り込んでいく。それはアルコールの摂取や自殺、不貞行為や婚前交渉といった性にまつわるタブー、中でもConeがフォーカスを当てるのは同性愛についてだ。ある時プールで遊ぶ友人たちがローガンを指差し、彼はゲイなのでは?と噂しながら言うのだ。"キリストは全ての人を愛せと仰られた、麻薬中毒者に犯罪者、それに同性愛者も。罪を憎んで人を憎まず!"……この同性愛=罪という考えはローガンやクリスティンらを除いた殆どの登場人物に共有され、差別的な価値観が彼らの日常にいかに根を下ろしているかが表れている。そして自身も知らないままその渦の中心にいる存在がヘンリーなのだ。

"Henry Gamble's Birthday Party"福音派のコミュニティに生きる人々の姿を描き出した作品だ。だが誤ってはならないのは彼らは"福音派キリスト教徒"である前に、私たちと同じ"人間"なのだということだ。彼らは私たちと同じように日常を過ごし、同じように喜びや悲しみを抱き、人生のままならなさに苦悩する。そこには確かに福音派独特の戒律が関わってくることもありながら、根底にあるのは私たちにも覚えのあるだろう普遍的な物だ。それによってConeは彼らと私たちの心を重ね合わせていく。そしてその結末にヘンリーに最も深刻な抑圧の表象を託しながらも、だからこそ同時に希望をも託す。再びベッドに寝転がるその時、彼に幸せが訪れることを願って。


参考文献
https://www.communication.northwestern.edu/faculty/StephenCone(監督プロフィール)
https://vimeo.com/user2328169(監督公式vimeo)
http://filmmakermagazine.com/96829-a-suburban-megachurch-in-john-hughes-territory-stephen-cone-on-henry-gambles-birthday-party/(監督インタビュー)

ポスト・マンブルコア世代の作家たちシリーズ
その1 Benjamin Dickinson &"Super Sleuths"/ヒップ!ヒップ!ヒップスター!
その2 Scott Cohen& "Red Knot"/ 彼の眼が写/映す愛の風景
その3 デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?
その4 Riley Stearns &"Faults"/ Let's 脱洗脳!
その5 Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる
その6 ジェームズ・ポンソルト&「スマッシュド〜ケイトのアルコールライフ〜」/酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい…
その7 ジェームズ・ポンソルト&"The Spectacular Now"/酒さえ飲めばなんとかなる!……のか?
その8 Nikki Braendlin &"As high as the sky"/完璧な人間なんていないのだから
その9 ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める
その10 ハンナ・フィデル&"6 Years"/この6年間いったい何だったの?
その11 サラ=ヴァイオレット・ブリス&"Fort Tilden"/ぶらりクズ女子2人旅、思えば遠くへ来たもので
その12 ジョン・ワッツ&"Cop Car"/なに、次のスパイダーマンの監督これ誰、どんな映画つくってんの?
その13 アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている
その14 ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば
その15 Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く
その16 Leah Meyerhoff &"I Believe in Unicorns"/ここではないどこかへ、ハリウッドではないどこかで
その17 Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き
その18 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"
その19 Anja Marquardt& "She's Lost Control"/セックス、悪意、相互不理解
その20 Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路
その21 Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代
その22 Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに
その23 Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来
その24 John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言
その25 レスリー・ヘッドランド&"Sleeping with Other People"/ヤリたくて!ヤリたくて!ヤリたくて!
その26 S. クレイグ・ザラー&"Bone Tomahawk"/アメリカ西部、食人族の住む処
その27 Zia Anger&"I Remember Nothing"/私のことを思い出せないでいる私
その28 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その29 Perry Blackshear&"They Look Like People"/お前のことだけは、信じていたいんだ
その30 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その31 ジョシュ・モンド&"James White"/母さん、俺を産んでくれてありがとう
その32 Charles Poekel&"Christmas, Again"/クリスマスがやってくる、クリスマスがまた……
その33 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その34 ロベルト・ミネルヴィーニ&"Low Tide"/テキサス、子供は生まれてくる場所を選べない

私の好きな監督・俳優シリーズ
その51 Shih-Ching Tsou&"Take Out"/故郷より遠く離れて自転車を漕ぎ
その52 Constanza Fernández &"Mapa para Conversar"/チリ、船の上には3人の女
その53 Hugo Vieira da Silva &"Body Rice"/ポルトガル、灰の紫、精神の荒野
その54 Lukas Valenta Rinner &"Parabellum"/世界は終わるのか、終わらないのか
その55 Gust Van den Berghe &"Lucifer"/世界は丸い、ルシファーのアゴは長い
その56 Helena Třeštíková &"René"/俺は普通の人生なんか送れないって今更気付いたんだ
その57 マイケル・スピッチャ&"Yardbird"/オーストラリア、黄土と血潮と鉄の塊
その58 Annemarie Jacir &"Lamma shoftak"/パレスチナ、ぼくたちの故郷に帰りたい
その59 アンヌ・エモン&「ある夜のセックスのこと」/私の言葉を聞いてくれる人がいる
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その62 Carolina Rivas &"El color de los olivos"/壁が投げかけるのは色濃き影
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その66 Valerie Gudenus&"I am Jesus"/「私がイエス「いや、私こそがイエ「イエスはこの私だ」」」
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その125 Juliana Rojas&"Trabalhar Cansa"/ブラジル、経済発展は何を踏みにじっていったのか?
その126 Zuzanna Solakiewicz&"15 stron świata"/音は質量を持つ、あの聳え立つビルのように
その127 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その128 Kerékgyártó Yvonne&"Free Entry"/ハンガリー、彼女たちの友情は永遠!
その129 张撼依&"繁枝叶茂"/中国、命はめぐり魂はさまよう
その130 パスカル・ブルトン&"Suite Armoricaine"/失われ忘れ去られ、そして思い出される物たち
その131 リュウ・ジャイン&「オクスハイドⅡ」/家族みんなで餃子を作ろう(あるいはジャンヌ・ディエルマンの正統後継)
その132 Salomé Lamas&"Eldorado XXI"/ペルー、黄金郷の光と闇
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その134 Marte Vold&"Totem"/ノルウェー、ある結婚の風景
その135 アリス・ウィンクール&「博士と私の危険な関係」/ヒステリー、大いなる悪意の誕生
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その137 Ion De Sosa&"Sueñan los androides"/電気羊はスペインの夢を見るか?
その138 ケリー・ライヒャルト&"River of Grass"/あの高速道路は何処まで続いているのだろう?
その139 ケリー・ライヒャルト&"Ode" "Travis"/2つの失われた愛について
その140 ケリー・ライヒャルト&"Old Joy"/哀しみは擦り切れたかつての喜び
その141 ケリー・ライヒャルト&「ウェンディ&ルーシー」/私の居場所はどこにあるのだろう
その142 Elina Psykou&"The Eternal Return of Antonis Paraskevas"/ギリシャよ、過去の名声にすがるハゲかけのオッサンよ
その143 ケリー・ライヒャルト&"Meek's Cutoff"/果てなき荒野に彼女の声が響く
その144 ケリー・ライヒャルト&「ナイト・スリーパーズ ダム爆破作戦」/夜、妄執は静かに潜航する
その145 Sergio Oksman&"O Futebol"/ブラジル、父と息子とワールドカップと
その146 Virpi Suutari&”Eleganssi”/フィンランド、狩りは紳士の嗜みである
その147 Pedro Peralta&"Ascensão"/ポルトガル、崇高たるは暁の再誕
その148 Alessandro Comodin&"L' estate di Giacomo"/イタリア、あの夏の日は遥か遠く