鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ソフィア・タカール&"Green"/男たちを求め、男たちから逃れ難く

マンブルコアの特筆すべき点として真先に1つ挙げるべきなのは、このムーブメントに参加した女優たちは映画作家としてのポテンシャルを花開かせ、見事に巣立っていた点だ。例えばグレタ・ガーウィグはジョー・スワンバーグと喧嘩別れ後、ノア・ボーンバックと…

ジョー・スワンバーグ&「新しい夫婦の見つけ方」/人生、そう単純なものなんかじゃない

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&「ハンナだけど、生きていく!」/マンブルコア、ここに極まれり! ジョー・スワンバ…

ジョー・スワンバーグ&「ハンナだけど、生きていく!」/マンブルコア、ここに極まれり!

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…

タイ・ウェスト&「バレー・オブ・バイオレンス」/暴力の谷、蘇る西部

タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェスト&"The House of the Devil"/再現される80年代、幕を開けるテン年代 タイ・ウェスト&「インキーパーズ」/ミレ…

タイ・ウェスト&「サクラメント 死の楽園」/泡を吹け!マンブルコア大遠足会!

タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェスト&"The House of the Devil"/再現される80年代、幕を開けるテン年代 タイ・ウェスト&「インキーパーズ」/ミレ…

Adam Pinney&"The Arbalest"/愛と復讐、そしてアメリカ

2014年、アメリカの異端チャンネルAdult Swimが"Too Many Cooks"という短編映画をリリースした。最初は「フルハウス」などの良くあるファミリーコメディOPのパロディとして進んでいくのだが、それが異様な形で反復されるうち作品世界が歪みに歪み、スラッシ…

Michalina Olszańska&「私、オルガ・ヘプナロヴァー」/私、オルガ・ヘプナロヴァーはお前たちに死刑を宣告する

オルガ・ヘプナロヴァという名前を聞いてピンと来る人間は、殺人鬼マニア以外にそうは居ないだろう。1973年彼女はチェコの首都であるプラハの中心地で、路面電車を待っていた人々の列へとトラックで突っ込んだのだ。この事故によって12人が負傷、8人が死亡、…

ジョー・スワンバーグ&「ドリンキング・バディーズ」/友情と愛情の狭間、曖昧な何か

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…

ジョー・スワンバーグ&"All the Light in the Sky"/過ぎゆく時間の愛おしさについて

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…

ジェニファー・キム&"Female Pervert"/ヒップスターの変態ぶらり旅

さて、マンブルコアはその規模の異様な小ささから作品作品に同じ俳優ばかり出ているというのがウンザリするほど良くある。ギャラは安く済む、気心知れた友人同士なので作品が作りやすいなどなど様々な利点があってこの方法を選び取っていた訳だが(それにして…

Justin Tipping&"Kicks"/男になれ、男としての責任を果たせ

先日マジで信じられないことが起こった。マジでトランプが大統領になったって知った時は信じられなかった。その後から女性やアジア系やアフリカ系の人々、イスラム教徒、障害を持つ人々などマイノリティに対するヘイトクライムが多発した。海の向こうに生き…

Tobias Nölle&"Aloys"/私たちを動かす全ては、頭の中にだけあるの?

孤独は何にも増して人間を追い詰めていく。この世に生きる限りそれから完全に逃れることは出来ないだろう。だからこそ人々はそれぞれに孤独を乗り越える術を身につけてきた。その1つが想像力だ。頭の中に自分が生きるこの辛く苦しい世界とは別の、切実な願い…

ジョー・スワンバーグ&"Autoerotic"/オナニーにまつわる4つの変態小噺

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…

Victor Viyuoh&"Ninah's Dowry"/カメルーン、流れる涙と大いなる怒り

さてカメルーンである。アフリカの中部に位置する共和制国家で、おそらく前回紹介したギニアビサウ共和国よりは知名度の高い国だろう。例えば2002年の日韓ワールドカップにおいて大分県の中津江村でキャンプを行ったのはカメルーンで、そういった出来事をを…

Sithasolwazi Kentane&"Woman Undressed"/ Black African Female I Am

カメラの前に座る眼鏡をかけた女性、彼女は視線を下に向け、少し言い淀みながらもこんな言葉をカメラに語る。困難なことです、今の社会で黒人女性として生きることは。この印象的な言葉がSithasolwazi Kentane監督による短編ドキュメンタリー“Woman Undresse…

João Viana&"A batalha de Tabatô"/ギニアビサウ、奪われた故郷への帰還

さてギニアビサウ共和国である。正直言うと今回紹介する映画を観るまで、そもそもギニアビサウ共和国の存在を知らなかったのだが、意外とそういう方も多いのではないだろうか。西アフリカに位置する共和制国家で、アフリカ大陸の西の端に位置している。ポル…

Dariela Ludlow Deloya&"Esa era Dania"/物語全部がハッピーエンドな訳じゃない、けど

10代の母という主題は、日本でもそういったドラマが幾つかあったが何かとセンセーショナルに扱われがちだ。それは一歩間違えれば彼女たちにスティグマを追わせることに為りかねない故に、細心の注意を払いながら作品を形作ることを当然要求される。さて今回…

Yared Zeleke&"Lamb"/エチオピア、男らしさじゃなく自分らしさのために

“男ならこうであれ/女ならこうであれ”……こうしたいわゆる性的規範という物はどこの世界にも存在し、人々にとって呪縛となり得る。だがこの被害者になるのは大人だけではなく、子供たちもまたそうなのだ。そして多くの子供たちは未だ幼い故に規範に対して抵抗…

リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で

リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトンの経歴および長編デビュー作についてはこちらの記事参照アメリカの広大なる森には男たちを彷徨わせたくなる魅力が宿っているようだ。例えばジョン・ブアマンの田舎は…

アドリアン・シタル&「フィクサー」/真実と痛み、倫理の一線

”ルーマニアの新たなる波”においてとても重要な要素が倫理だ。チャウシェスク政権下、映画は社会主義のプロパガンダ装置を果たすことを求められており、その職業的な倫理と、ルーマニアではなく本当のルーマニアを描くべきだという個人的な倫理は事あるごと…

Diego Ros&"El Vigilante"/メキシコシティ、不条理な夜の空洞

日本ではもうすぐで東京国際映画祭が開催されるが、遠くラテンアメリカのメキシコではモレリア国際映画祭が開催中である。メキシコを代表する映画祭の1つであり、メキシコ映画界の素晴らしき才能たちが巣立っていく登竜門的な場所である。さてさて、というこ…

ハナ・ユシッチ&「私に構わないで」/みんな嫌い だけど好きで やっぱり嫌い

人間はこの世に産まれた瞬間、つながりに取り込まれることを宿命付けられる。国や町といった大きな共同体から、友人や職場などの小さな関係性までつながりは何処にも存在している。中でも家族という関係性は、良きにしろ悪しきにしろ個人の形成に大きな影響…

Rachel Lang&"Baden Baden"/26歳、人生のスタートラインに立つ

Rachel Lang&"Pour toi je ferai bataille"/アナという名の人生の軌跡 Rachel Lang監督の経歴およびアナ3部作の前2作についてはこちら参照。ロカルノ国際映画祭など名だたる映画祭で名声を博した監督Rachel Langは、1つの大きな決断をする。もう1度軍に入り…