鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ヤンチョー・ミクローシュ&"Oldás és kötés"/虚無と絶望のハンガリー交声曲

物語の舞台はブダペスト郊外にある病院、そこでの人々の姿が描かれるのだが、中心となる1人の青年医師ヤーロムだ。彼は人の命を救うという自分の仕事に疑問を持ち始めている。そんな中で70歳になる恩師が手術に復帰すると聞き、複雑な思いを抱きながら手術に…

プリシャ・ジョルジェヴィッチ&"Jutro"/ユーゴスラビアの血塗られた夜明け

その時ユーゴスラビアは歓喜に湧いた。イタリアやナチスドイツら枢軸国の敗北によって、第2次世界大戦はとうとう終わりを告げたのである。彼らからの支配を逃れ自由を獲得した兵士たちは喜びに浸りながら、町を練り歩き、ユーゴスラビアの美しい大地をひた走…

ヴェラ・ヒティロヴァ&"Vlčí bouda"/雪山でチェコ版「13日の金曜日」

これ本当は本家にアップする予定だったが、こんなブログを作ったのでこっちに流しておく。さて、ヴェラ・ヒティロヴァである。日本では完全無欠最強のガールズムービー「ひなぎく」でお馴染みな、チェコ・ヌーヴェルヴァーグの代表的映画作家だが、そうであ…

ボリスラフ・シャラリエフ&"Ritzar bez bronia"/ブルガリア、大人になるってこんな感じなのかなあ

60年代のブルガリア、ヴァニョという少年はパパとママと一緒に平穏な日々を送っている。そんな中パパが新品の車を買ったのでピクニックに行くこととなった。ヴァニョはとっても嬉しくて後部座席でワッチャワッチャと騒ぎまくるのだが、何故だか良く分からな…

ゴタール・ペーテル&"Megáll az idő"/ハンガリー、60年代を駆ける青春

今作は1956年のハンガリー暴動から幕を開ける。ソビエト連邦の支配に業を煮やした民衆が放棄し、ブダペストの街は戦火に燃え盛ることとなる。主人公であるディニと兄のガボルの父親はこの街から逃げ出そうとするのだが、母親はそれを良しとせず廃墟の中で彼…

マッティ・ドゥ&"Dearest Sister"/ラオス、横たわる富と恐怖の溝

さてラオスである。東南アジアの小国であるラオスは、今まで映画界において日の目を見ることはほぼなかった。しかし最近ラオスが関連する映画作品が同時期に幾つも現れている。まず1作目は日本映画「バンコクナイツ」である。タイトルの通り物語の舞台はタイ…

フランク・V・ロス&"Bloomin Mud Shuffle"/愛してるから、分かり合えない

フランク・V・ロス&"Quietly on By"/ニートと出口の見えない狂気 フランク・V・ロス&"Hohokam"/愛してるから、傷つけあって フランク・V・ロス&"Present Company"/離れられないまま、傷つけあって フランク・V・ロス&"Audrey the Trainwreck"/最後にはい…

フランク・V・ロス&"Tiger Tail in Blue"/幻のほどける時、やってくる愛は……

フランク・V・ロス&"Quietly on By"/ニートと出口の見えない狂気 フランク・V・ロス&"Hohokam"/愛してるから、傷つけあって フランク・V・ロス&"Present Company"/離れられないまま、傷つけあって フランク・V・ロス&"Audrey the Trainwreck"/最後にはい…

アリス・ロウ&"Prevenge"/私の赤ちゃんがクソ共をブチ殺せと囁いてる

今、ブリテン諸島映画界を席巻する存在は何と言ってもベン・ウィートリーである。自身「ハイ・ライズ」や「フリー・ファイヤー」などの監督作で世界をブン殴る一方、プロデューサーとして異様な才能を持つ新人作家たちを世界へ巣立たせていく役割も果たして…

フランク・V・ロス&"Audrey the Trainwreck"/最後にはいつもクソみたいな気分

フランク・V・ロス&"Quietly on By"/ニートと出口の見えない狂気 フランク・V・ロス&"Hohokam"/愛してるから、傷つけあって フランク・V・ロス&"Present Company"/離れられないまま、傷つけあって フランク・V・ロスの監督作はこちら参照。いわゆるマンブ…

パス・エンシナ&"Ejercicios de memoria"/パラグアイ、この忌まわしき記憶をどう語ればいい?

さて、パラグアイである。1954年、軍事クーデターによってアルフレド・ストロエスネルが最高権力者に君臨したその時から、ラテンアメリカ諸国でも随一に長く過酷な独裁政権が幕を開ける。1989年にやはりクーデターで彼が政権を追われるまで30年もの間、国民…

フランク・V・ロス&"Present Company"/離れられないまま、傷つけあって

フランク・V・ロス&"Quietly on By"/ニートと出口の見えない狂気 フランク・V・ロス&"Hohokam"/愛してるから、傷つけあって フランク・V・ロスの監督作はこちら参照。映画監督には大きく分けて2つのタイプがいる。まずは自分の人生と自分の作品を切り離す…

フランク・V・ロス&"Hohokam"/愛してるから、傷つけあって

2005年フランク・V・ロスが第2長編“Quietly on By”を完成させた頃、SXSW映画祭においてアンドリュー・ブジャルスキやジョー・スワンバーグ、デュプラス兄弟などが集い、マンブルコアという言葉が生まれることとなった。彼らの作品は正にロスの作品とDIY的な…

フランク・V・ロス&"Quietly on By"/ニートと出口の見えない狂気

このブログでは、マンブルコアというゼロ年代のアメリカで隆盛を誇った潮流を一気に振り返ってきた。その過程でジョー・スワンバーグにアンドリュー・ブジャルスキ、デュプラス兄弟にリン・シェルトン、アーロン・カッツなどこの潮流の中心作家を紹介してき…

Sebastian Mihăilescu&"Apartament interbelic, în zona superbă, ultra-centrală"/ルーマニアと日本、奇妙な交わり

この頃ルーマニア映画を多く観ている訳だが、その中に何故か日本についての描写が結構出てくる。ラドゥ・ジュデの監督作“Toată lumea din familia noastră”ではエンディングに「黒猫のタンゴ」日本語版がいきなり流れたり、“Terminus paradis”では主人公が日…

Jérôme Reybaud&"Jours de France"/われらがGrindr世代のフランスよ

芸術作品とは否応なくその時代を反映するものであるが、こと映画に関しては映像メディアという側面もあるがゆえ、もはやフィクションですらもある意味で時代を撮すドキュメンタリーのような役割を果たすことになる。その過程で否応なく問題となってくるのが…

ジョー・スワンバーグ&「ギャンブラー」/欲に負かされ それでも一歩一歩進んで

ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&「ハンナだけど、生きていく!」/マンブルコア、ここに極まれり! ジョー・スワンバ…