鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ブルガリア映画史の呼び声~Interview with Katerina Lambrinova

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

モンテネグロ映画史の、この美しさ~Interview with Maja Bogojević

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Ismet Sijarina&"Nëntor i ftohtë"/コソボに生きる、この苦難

第2次世界大戦後にユーゴスラビアが成立した時、コソボ一帯はアルバニア人が多かったゆえに、セルビアの自治州となった。それからアルバニア人たちは幾度となく独立運動を行い、2008年にはとうとう独立を獲得することになるが、そこまでには険しい道を歩まね…

Andrei Cătălin Băleanu&"Muntele ascuns"/田舎の安らぎ、都市の愛

山はルーマニア人にとって心の故郷である。私の友人である20代の女性も、小さな頃には裸足で山を駆けまわっていたそうである。悲しいがルーマニアは貧しい小国で、地方にはリソースが少ないので、ブカレストやクルジュ=ナポカなどの都市に移住する者が多い…

Savaş Cevi&"Kopfplatzen"/私の生が誰かを傷つける時

小児性愛は欧米においては絶対的なタブーであるだろう。それ故にこれを描きだした芸術作品というのはあまりに少ないし、これから新しい作品が作られることもほとんどないだろう。そんな中で、ドイツからこの社会的タブーを描きだそうとする映画が現れた。そ…

Ada Pistiner&"Stop cadru la masă"/食卓まわりの愛の風景

ゼロ年代より以前、女性監督というものは極端に少なかった。だがその映画産業の規模に比べて、ルーマニアには割かし多くの女性監督がいた。外国人の私ですら4人も名前を挙げられる。子供映画の名手Elisabeta Boștan エリサベタ・ボシュタン、アントニオーニ…

Șerban Creagă&"Căldura"/あの頃、ぼくたちは自由だったのか?

私が世界の映画でも特にルーマニア映画が好きなことはこの鉄腸マガジンの読者ならば知っているだろうが、それ故にたくさんのルーマニア映画を紹介してきた。だが日本においてルーマニア映画の全貌はあまりにも未知すぎる。そこには豊穣たる映画史が存在する…

コロンビア映画史の戦略~Interview with Camilo Andrés Calderón Acero

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Luciana Mazeto&"Irmã"/姉と妹、世界の果てで

今現在ブラジル映画界が空前の活気を見せていることはこのブログでも何度もお伝えしているが、その1つの動向としてジャンル映画的な要素を駆使しながらアートハウス映画を作るという技巧派の台頭がある。例えばホラー映画やSF映画などそういった要素を人間ド…

Asli Özge&"Auf einmal"/悍ましき男性性の行く末

今作の主人公であるカーステン(Sebastian Hülk)は前途有望な青年だ。彼はドイツの小さな町に住んでいるが、両親はこの町の権力者であるゆえに、多大なる恩恵を受けている。献身的な恋人ラウラ(Julia Jentsch)にも恵まれており、彼は仕事も私生活も順風満帆だ…