鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ここではないどこか、いつか~Interview with Manuel Muños

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Ioana Iacob&“Wir könnten genauso gut tot sein”/ドイツのルーマニア移民たち

ルーマニア人俳優は、ルーマニア以外でも世界の映画界で活躍している。ハリウッドで大活躍中のセバスチャン・スタンなどはその代表例だろう。他にもドイツのアレクサンドラ・マリア・ララなどがいるが、今同国でも著しく活躍の幅を広げている人物がいる、そ…

Petna Ndaliko Katondolo&“Kumbuka”/コンゴ民主共和国について語る時、私たちが語ること

Joris Postema ヨリス・ポステマというオランダ人監督がコンゴ民主共和国を舞台に“Stop Filming Us”という作品を製作した。今作はコンゴの現状を映し出したドキュメンタリー作品であり、世界の国際映画祭で評価されることになる。だがこれを疑問に思ったのは…

Stathis Apostolou&“The Farmer”/2つの国、1つの肉体

まずある1人の俳優との出会いについて語らせてほしい。先日、私はロッテルダム映画祭でプレミア上映された“Broadway”というギリシャ映画を観た。詳しくはレビューを書いたのでそれを読んでもらいたいが、少し内容を書くと、今作は家父長制に挑む反逆者たちの…

Farkhat Sharipov&“Skhema”/カザフスタン、底知れぬ雪の春

razzmatazzrazzledazzle.hatenablog.comFarkhat Sharipov ファルハット・シャリポフというカザフスタンの監督がいる。2020年に彼が製作した長編“18 kHz”は瞠目の1作だった。詳しくは執筆したレビューをお読み頂きたいが、そんな彼が2020年代におけるカザフ映…

Maria Ignatenko&“Achrome”/良心が、その地獄を行く

ソビエト連邦の支配下に置かれていたバルト三国の人々にとって、第2次世界大戦におけるナチスドイツの侵攻はある種の“解放”とも映ったのだという。そして彼らの中にはドイツ軍に加入し、枢軸国側としてソ連軍と戦った者たちもいた。更にナチスによるユダヤ人…

Maryna Er Gorbach&“Klondike”/ウクライナ、悲劇が今ここに

現在、ウクライナに対してロシアが不穏な動きを見せ、ともすれば戦争が起こってしまうのではないかという緊迫した状況が続いている。そんなキナ臭い雰囲気のなか、サンダンス映画祭であるウクライナ映画がプレミア上映された。この作品を観ながら、私は正に…

Bogdan Theodor Olteanu&“Mia își ratează răzbunarea”/私は、傷ついてもいいんだ

razzmatazzrazzledazzle.hatenablog.com 監督のデビュー長編についてはこちらを参照。今年の4月、ルーマニアの鬼才監督Radu Jude ラドゥ・ジューデのベルリン金熊受賞作品「アンラッキーセックスまたはイカれたポルノ」aka “Babardeală cu bucluc sau porno …

Christos Massalas&“Broadway”/クィア、反逆、その生き様

ギリシャ映画には連綿たるクィア映画の系譜がある。最近でいえば日本ではキワモノZ級映画と見なされている「アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ケーキ」とその監督パノス・H・コートラスはギリシャにおけるクィア映画史の重要人物でもある。彼の1世代後に現…