鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済藤鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!

まず、まずだ、このブログを何故始めたのかをここに書きたい。始まりは、海外サイト読み漁るうち、何か映画界の最前線で評価されている作品や監督について、海外と日本だと情報量に決定的な差があるなって思った所だった、日本語で読める情報が余りに少ないのだ。マンブルコア受容とか本国でもうマンブルコアって言うの終わり終わり!とか言われていた後だし、"ギリシャの奇妙なる波"も籠の中の乙女がちょっと公開されただけで何の情報もないまま2016年突入って感じだし、周回遅れ感をものすごく抱いていた、マジで。

マジでそういうのとか色々日本語で最新情報教えてくれとずっと思ってたけども、ほぼそんなこともなく、もう既に語られている情報を違う言葉で語り直すってだけのクソどうでもいい文ばっかでウンザリしてる内にね、思ったんですよ、じゃあこれは自分で書くしかないかっていうことを。で、そういう意思を以て書いたのが、カナダの新鋭Chloé Robichaud監督と"Sarah préfère la course"についての記事だったが、書いて感じたのが、こういうこと自分では出来ないと思ったけどいやいや出来るじゃんということ。それでアンドレア・シュタカだとか、マンブルコア以降の作家にはこういう人がいるだとか、今イスラエル映画界がマジで面白いだとか、ヴェネチア国際映画祭を家でも観る方法あるよだとか、色々書いてましたら100人/本以上の日本で全く知られていない監督/作品を紹介してました、何かあっという間。

いや、自分でもこれはなかなかの達成じゃないかと思うんだけども、だけどももっとあるのは私のブログをこう、踏み台にして欲しい、私のブログを読んで日本未公開映画にはこんな映画があるのか!と思ってもらって、どんどん日本未公開映画の大海原に飛び込んで欲しいって思いがものすごくある。昔と違って今は映画館だけでしか映画を観れない時代じゃない、本当に選択肢が増えましたよ。未公開映画を観る方法だって、輸入盤買ったり、MUBIに入会したり、北米版iTunesに入ったり、本当に自由に観れる時代だ。

だけどいやいや海原広すぎて、何を観ればいいのかなんて分からないよって方は多いだろう。と、いうことでその指針として欲しいがために、そしてブログを一区切りつけるという意味もあり"済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!"というのを作ってみた。内容は題名通りである、2010年代に頭角を表し始めた映画作家たちをランキング形式で紹介という訳だ。でも1つだけルールがあり、それはこのランキングで紹介する作家は日本で1本も作品が通常公開されていない作家に限った(映画祭上映・ソフトスルーになった作家は皆殆ど知らないので入れてます)だって通常公開されてるなら他の人がどうせ紹介しているし、わざわざ私が紹介するなんて徒労だし。なのでミア=ハンセン・ラブマイケル・フランコヨルゴス・ランティモスといった作家は私もスゲーなこの才能とは思っているけど、ランキングには入っていないのであしからず。

まあ御託はここまでにして、早速ベスト100行ってみよう!このブログで紹介記事を書いた監督についてはページを張っているので詳しく知りたかったらそれを読んで下さい。全部合わせると20万字くらいは軽く超えていると思うので、正月の読み物にはピッタリだ!ということで未公開映画の大海原へと漕ぎ出せ!!!

100. Damian Marcano
トリニダード・トバゴに伝わる口承文化をそのまま映画にしたならばこうなるといったGrooooovyなギャング映画"God Love the Fighter"で鮮烈なデビューを飾ったカリブの若き新鋭。
記事→Damian Marcano &"God Loves the Fighter"/トリニダード・トバゴ、神は闘う者を愛し給う

99. Elisa Miller
少女たちの眼差しからメキシコの現在を描く作家。大学在学中に手掛けたデビュー短編"Ver Llover"が短編パルムドールを獲得、今に続くメキシコ映画界躍進の基盤を作った立役者でもあったり。
記事→Elisa Miller &"Ver llover""Roma"/彼女たちに幸福の訪れんことを

98. Lisa Aschan
スウェーデン出身、デビュー長編"Apflickorna"は少女たちにあらかじめ定められた権力闘争を愛憎深く描き出す心理サスペンスでなかなか。新作はキングの「シャイニング」が着想元だそうです。
記事→Lisa Aschan &"Apflickorna"/彼女たちにあらかじめ定められた闘争

97. Anne Zohra Berrached
同性カップル精子提供が認められていないドイツの実情を背景に、子供を作るために苦闘するレズビアンカップルを息詰まるほどのリアリティで以て描き出す"Zwei Mütter"は一見の価値あり。
記事→Anne Zohra Berracherd & "Zwei Mütter"/同性カップルが子供を作るということ

96. Natalie Cristiani ナタリー・クリストィアーニ
「ニーナ ローマの夏休み」の編集技師が将来有望なドキュメンタリー作家に。自分の脂肪を使って人間石鹸を作るアルゼンチンの芸術家ニコラ・コンスタンティノを描いた"Nicola Costantino: La Artefacta"がデビュー作。
記事→ナタリー・クリストィアーニ&"Nicola Costantino: La Artefacta"/アルゼンチン、人間石鹸、肉体という他人

95. Anita Rocha da Silveira
リオ・デ・ジャネイロの郊外を舞台に、噎せ返るほどの死の香りとラテンビートの陽気な生に彩られた少女たちの不穏な青春を描いた"Mate-me por favor"は瑕疵あれどカルト的な人気を博すポテンシャルも?
記事→アニタ・ロチャ・ダ・シルヴェイラ&"Mate-me por favor"/思春期は紫色か血の色か

94. Kuba Czekaj クバ・チュカイ
デビュー長編"Baby Bump"は"思春期、親に性欲を抱いてしまうこと"という難しいテーマをとっかかりに、クソフザケた演出で真摯にジェンダーへの洞察を深める作品、ポーランド映画界の新たな夜明けだ!
記事→クバ・チュカイ&"Baby Bump"/思春期はポップでキュートな地獄絵図♪♪♪

93. Karmila Andini カーミラ・アンディニ
デビュー長編「鏡は嘘をつかない」東京国際映画祭でも上映されたインドネシアの新鋭監督、中編"Sendiri Sendiri"描くのは、ある日突然夫にPowerPointで浮気を告白されてしまった主人公の悲喜こもごもを優しい眼差しで描き出す暖かなドラマ作品です。
記事→カミーラ・アンディニ&"Sendiri Diana Sendiri"/インドネシア、夫にPowerPointで浮気を告白されました

92. 杨明明
映画学校の同窓生な親友2人が仲良くニート転落をきっかけに、手持ちカメラで互いのドキュメンタリーを撮影することになったが……という"女导演"は友情・ジェンダー・中国の今を丸っと描き出す野心作。
記事→杨明明&"女导演"/2人の絆、中国の今

91. Carol Morley
"A Dream of Life"はアパートの一室でひっそりと孤独死した女性の人生を、多くの友人たちの証言から再構成していくドキュメンタリー作品。最新作"The Falling"は寄宿舎を舞台とした少女のサイコサスペンスでオマージュ元は「ピクニックatハンギングロックだそうで期待しかない。
記事→Carol Morley&"Dreams of a Life"/この温もりの中で安らかに眠れますように

90. Caroline Poggi
思春期を迎えた青年たちの内面世界を、冷え冷えとする暴力と想像力で以て描き出した"Tant qu'il nous reste des fusils à pompe"ベルリン国際映画祭で短編金熊賞を獲得したフランスはコルシカ島出身の新鋭映画作家
記事→Caroline Poggi &"Tant qu'il nous reste des fusils à pompe"/群青に染まるショットガン

89. Sally El Hosaini
エジプト人ウェールズ人の両親を持つ監督、デビュー作は、ロンドンの郊外に住むエジプト移民2世の兄弟が暴力とホモフォビアの嵐に巻き込まれるシビアな現実を描いた"My Brother The Devil"ダニー・ボイルが制作総指揮だった警察機構を描く群像TVドラマ"Babylon"も手掛け、評判上々。
記事→Sally El Hosaini&"My Brother the Devil"/俺の兄貴は、俺の弟は

88. Franco Lolli
今話題のコロンビア映画界からの期待の新鋭作家。デビュー長編"Gente de Bien"は少年の眼差しを通して、コロンビアに形成されつつある階級差を静かに観察する作品でなかなか。

87. Valerie Gudenus
世界を股にかけるオーストリア出身の映画作家。キリスト昇天から2000年、復活するとは言ったけど何か世界各地にめっちゃいっぱい復活しちゃってる実情を描いたドキュメンタリー"I am Jesus"は笑いあり深い洞察ありな作品。
記事→Valerie Gudenus&"I am Jesus"/「私がイエス「いや、私こそがイエ「イエスはこの私だ」」」

86. Kacie Anning
ありがとう神様、今日は金曜日!ということで酒を呑みまくった結果、翌朝ヤバイことになってるってこと良くあるよね……というのを描いた二日酔い×女子の友情なWebシリーズ"Fragments of Friday"が最高!
記事→Kacie Anning &"Fragments of Friday"Season 1/酒と女子と女子とオボロロロロロオロロロ……

85. Gust Van den Berghe
ベルギー出身、世界を巡り信仰についての洞察を深める作家。最新作"Lucifer"アゴの長い堕天使が巻き起こす聖なる騒ぎを描いた作品ながら、ね、○なんだよ、スクリーンサイズが、○なんだよ……
記事→ Gust Van den Berghe &"Lucifer"/世界は丸い、ルシファーのアゴは長い

84. Matias Meyer
マイケル・フランコらの系譜に連なるメキシコ映画界期待の作家で"Los últimos cristeros"は19世紀の宗教戦争を徹底してミニマルに描き出した異色作。最新作"Yo"はメキシコ最大の映画祭である○で最高賞を獲得するなど話題に。
記事→ Matias Meyer &"Los últimos cristeros"/メキシコ、キリストは我らと共に在り

83. Serhat Karaaslan セルハット・カラアスラン
1作目はトルコに広がる貧困をダルデンヌ兄弟風に描き、2作目は若者が抱く特有の倦怠感やちっぽけな希望を描き、3作目はアイスが食べたい少年の奮闘を描く幅広い作風の芸達者な若手トルコ人監督。
記事→セルハット・カラアスラン&"Bisqilet""Musa"/トルコ、それでも人生は続く

82. Dietrich Brüggemann ディートリッヒ・ブルッゲマン
ドイツ期待の青春映画作家として注目を浴びるも、第4長編「十字架の道行き」は厳格なキリスト教徒の家庭に生まれた少女の信仰が悲劇を生む作品で新境地を開拓、さらに最新作"Hail"はヨーロッパを席巻する排外主義に唾を吐きかけるパンクなブラックコメディで予告からしてヤバい。
記事→ディートリッヒ・ブルッゲマン&「十字架の道行き」/とあるキリスト教徒の肖像

81. Yulene Olaizora
メキシコ映画界のミニマリズム作家その2。劇長編"Paraísos Artificiales"はヘロイン中毒の主人公が永遠のように引き伸ばされた時間の中で、底無し沼の苦しみを味わう様を淡々と観察していく異色のドラッグ映画。
記事→Yulene Olaizola & "Paraísos Artificiales"/引き伸ばされた時間は永遠の如く

80. Giorgos Zois ヨルゴス・ゾイス
テン年代の映画界その最先端を行く"ギリシャの奇妙なる波"から新たなる才能がまた1人。デビュー長編"Interruption"オレステスの逸話を下敷きに、現実と幻想の境界線が溶け合うポストモダンな舞台劇。
記事→ヨルゴス・ゾイス&"Interruption"/ギリシャの奇妙なる波、再び

79. Meera Menon
"Farah Goes Bang"は2004年アメリカ大統領選を背景に、イラン系の主人公が親友たちと奥手なワタシとブッシュをぶっ飛ばしに旅へと出掛ける、政治・セックス・レイシズム、そして女子の友情!なロードムービー。最新作"Equity"が来年のサンダンスで公開決定。
記事→Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに

78. Zeresenay Mehari
エチオピアに根付いた"誘拐婚"という因習に呑み込まれた少女と彼女を救おうと奔走する女性の姿を描いたデビュー長編"Difret"が話題に。この問題を語らねばという意思を感じるシンプルだからこそ力強く。
記事→Zeresenay Mehari & "Difret"/エチオピア、私は自分の足で歩いていきたい

77. Alberto Cavilia アルベルト・カヴィリア
偉大なる若き活動家の失踪にイタリア全土が涙、涙……そして始まるドキュメンタリー、だけど何かおかしいぞ……という長編デビュー作"Pecore in Erba"は日本にも通じる強烈な毒気を持ったブラックコメディで素晴らしく。
記事→アルベルト・カヴィリア&"Pecore in Erba"/おお偉大なる排外主義者よ、貴方にこの映画を捧げます……

76. Stéphane Lafleur ステファーヌ・ラフルール
ケベック映画界期待の星その1。"Tu Dors Nicole"は美しいモノクロの世界で、大学を卒業したは良いけれど……なモラトリアム女子の日常をシュールに描いた、胸に刺さりまくりの居たたまれないコメディ作、私も観てて死にそうに。
記事→Julianne Côté &"Tu Dors Nicole"/私の人生なんでこんなんなってんだろ……

75. Nikola Ležaić
日本とセルビア、国は遠く離れていても"ジャッカス最高!"って気持ちは同じなんだと思わせてくれる瑞々しい青春映画"Tilva Roš"がデビュー作、そしてああ、若さって何て中途半端だろうって思わせてもくれます。
記事→Nikola Ležaić&"Tilva Roš"/セルビア、若さって中途半端だ

74. Jose Maria de Orbeバスクのある古びた邸宅を舞台に、年老いた1人の男性がこの場所に息づく長き歴史をめぐる美しきドラマ作品"Aita"でデビュー、写真家としても活躍するバスク映画界遅咲きの新鋭作家。
記事→José María de Orbe&"Aita"/バスク、移りゆく歴史に人生は短すぎる

73. Carolina Rivas
壁によって希望を全て刈り取られてしまったパキスタンのとある家族の姿を、冷ややかな程に観察的なスタイルで描き出す"El color de los olivos"が評判を呼んだ、メキシコ出身の新鋭ドキュメンタリー作家。
記事→Carolina Rivas &"El color de los olivos"/壁が投げかけるのは色濃き影

72. Kivu Ruhorahoza
ルワンダ虐殺から十数年、しかしそのトラウマは未だ人々に取りつき離れない。そんな虐殺の記憶と対峙する1人の映画作家を描き出した極私的なデビュー長編"Matière Grise"は、面白い面白くないでなく、彼がこの映画が完成させたことに意味がある作品。
記事→Kivu Ruhorahoza & "Matière Grise"/ルワンダ、ゴキブリたちと虐殺の記憶

71. Afia Nathaniel
パキスタンに根深く残る因習"児童婚"と"名誉の殺人"、それをスリラー映画の文法に則って描き出す親子の逃走劇"Dakhtar"がデビュー作、こういう今まで語られることなかった声を映画として提示できる才能が今後求められる気が。
記事→ Afia Nathaniel &"Dukhtar"/パキスタン、娘という名の呪いと希望

70. Hari Sama
最愛の我が子を失った母、彼女の慟哭とその先にある癒しを、歩くような早さで、しかし力強く描き出す"El Sueno de Lu"はとても素晴らしく。ミニマル演出を良しとするメキシコ映画界からは少し離れた作家でもあります。
記事→Nikola Ležaić&"Tilva Roš"/セルビア、若さって中途半端だ

69. Clio Barnard
ドキュメンタリー"The Arbor"と劇長編"The Selfish Giant"はワーキングクラスの凍てつくほどの荒んだ貧困を容赦なく描き出す作品で、前者は移民への差別や生まれた事への絶望を内包しており更にへヴィー。
記事→Clio Barnard&"The Arbor"/私を産めと、頼んだ憶えなんかない

68. Gabriel Mascaro ガブリエル・マスカロ
急激な経済成長と停滞とを繰り返し大きな変化に直面しているブラジル、その変化を静かに見つめる、今最もブラジルという国に深い洞察を向けているのは彼を置いて他には居ないでしょう。新作"Boi Neon"は消え行く文化を描く肖像画
記事→ガブリエル・マスカロ&"Boi Neon"/ブラジルの牛飼いはミシンの夢を見る

67. Constanza Fernandez
30年越しに現れたポランスキー「水の中のナイフ」正統後継作はチリの海原が舞台、主人公の女性と彼女のパートナーである舞台女優、そして主人公の母、3人の女性の性と愛をめぐる心理劇"Mapa para Conversar"で鮮烈なデビュー。
記事→Constanza Fernández &"Mapa para Conversar"/チリ、船の上には3人の女

66. Mona Fastvold
ブラディ・コーベットとタッグを組み、欧米中に不穏の種を撒き散らすノルウェー出身の映画作家。デビュー長編"The Sleepwalker"は姉妹のひた隠しにしていた過去が炎と共に燃え上がる恐ろしき心理サスペンス。
記事→Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き

65. Pia Marais
ドイツで活躍する南アフリカ映画作家。デビュー作"Die Unerzogenen"はクソパパとクソママとクソ親戚に囲まれて、クソみたいな思春期を過ごす少女のどん詰まりクソ青春映画でクソ面白いです。
記事→Pia Marais & "Die Unerzogenen"/パパもクソ、ママもクソ、マジで人生全部クソ

64. Jake Mahaffy ジェイク・マハフィー
アメリカではキリスト教啓蒙映画が流行ってますが、それとは真逆に"信仰こそが彼を殺すとするならば?"というテーマを描き出すヴェネチアで賞を獲得したのが彼の第3長編"Free in Held"、辛辣なリアリズムと映像詩の融合。
記事→ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば

63. Rachel Cremona
デビュー作"Simshar"は、アフリカとヨーロッパの間に広がる地中海、そこに位置するマルタ共和国を舞台に、移民たちの直面するシビアな現実とこの世界で生き抜くことの苦しみを容赦なく映し出した作品。
記事→Rebecca Cremona& "Simshar"/マルタ、海は蒼くも容赦なく

62. Jaak Kilmi
第二次世界大戦後、ソ連に併合され共産主義の波に晒されたエストニア、立ち上がるのはTVの液晶に煌めくエマニエル夫人……という奇妙な冷戦模様を描き出したドキュメンタリー"Disko ja tuumasõda"が評判なエストニア気鋭の作家。
記事→ Jaak Kilmi&"Disko ja tuumasõda"/エストニア、いかにしてエマニエル夫人は全体主義に戦いを挑んだか

61. Nathan Silver ネイサン・シルヴァー
マンブルコア以降、アメリカのインディー映画界に広がる"水面下の不穏さ"という物を体現するのがこの作家、21世紀の「白い肌の異常な夜」と言うべき"Uncertain Terms"の静かな腐敗と言いましたら。
記事→ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"

60. Nana Ekvtimishvili ナナ・エクチミシヴィリ
90年代初頭のジョージア、2人の少女が紡ぐ友情とそれを引き裂く忌まわしき因習を描き出した長編デビュー作「花咲く頃に」はフィルメックスでも最高賞獲得してましたね、公開しましょう、公開を。
記事→ナナ・エクチミシヴィリ&「花咲くころ」/ジョージア、友情を引き裂くもの

59. Valerie Massadian ヴァレリー・マサディアン
主人公は何処にでもいる4歳の少女ナナ、私たちは彼女の姿を見つめるうち、死と生についての答えなき問いへと迷い混んでいく。徹底した固定&長回し撮影が美しく瞑想的な「ナナ」はここ数年のフランス映画界で最も完成度の高いデビュー長編の1つではと。
記事→ヴァレリー・マサディアン&"Nana"/このおうちにはナナとおもちゃとウサギだけ

58. Julia Solomonoff
わたしのからだはわたしのもの、あなたのからだはあなたのもの。性分化疾患に悩む青年の心を主人公の無邪気な温もりが解きほぐしていく物語"El último verano de la Boyita"が本当に素晴らしく。アルゼンチン出身で制作者・脚本家としては長く映画に携わりながら、長編はこれが2作目。リサンドロ・アロンソやルクレシア・マルテルなど才能豊かなアルゼンチン映画界でも、今後がとても楽しみな作家の1人。
記事→Julia Solomonoff &"El último verano de la Boyita"/わたしのからだ、あなたのからだ

57. Amelia Umuhire
ベルリンに生きるアフリカ系ヨーロッパ人の若者が夢と現実の狭間で揺れ動くWebシリーズ"Polyglot"が話題となった、動画サイトを舞台とした新世代の映画作りを担うだろうルワンダ出身の映画作家
記事→Amelia Umuhire & "Polyglot"/ベルリン、それぞれの声が響く場所

56. Lukas Valenta Rinner
"オーストリアの新たなる戦慄"と"ギリシャの奇妙なる波"がアルゼンチンの密林地帯で混ざりあったら……という妙にシュールな中産階級×世紀末映画"Parabellum"で奇妙すぎるデビューを飾ったオーストリア映画作家がこの方です。
記事→Lukas Valenta Rinner &"Parabellum"/世界は終わるのか、終わらないのか

55. Maja Miloš マヤ・ミロス
「フィッシュ・タンク」「リリア4-ever」とタメを張る、荒廃したセルビアの街並みの中、徐々に窒息していく少女のドス黒い青春を描いた「思春期」ロッテルダム映画祭最高賞を獲得、セルビア映画界期待の星。
記事→マヤ・ミロス&「思春期」/Girl in The Hell

54. Lisa Langseth リサ・ラングセット
舞台演出家から映画監督へと転身したスウェーデン映画界期待の新鋭。"Till det som är vackert"「ホテルセラピー」は自身のアイデンティティーという物を性・階級・権力といった側面から切り込んでいく意欲作。アリシア・ヴィキャンデルをスターダムへと駆け上がらせた人物でもあり。
記事→Lisa Langseth & "Till det som är vackert"/スウェーデン、性・権力・階級

53. Boris Despodov
初長編"Corridor #8"は建設が予定されている巨大道路の進路に沿って自身の出身国ブルガリアマケドニアアルバニアというバルカン半島3国を巡る旅路を描いたドキュメンタリー作品。新作の劇長編"Twice upon in a Time in West"クラウディア・カルディナーレクラウディア・カルディナーレ役で出演する異色の西部劇。
記事→Boris Despodov& "Corridor #8"/見えない道路に沿って、バルカン半島を行く

52. Ana Muylaert アナ・ミュイラート
新興中産階級の家庭で住み込みのメイドとして働く母と、大学受験のため彼女の元を訪れた娘、2人の交流を通じてブラジルの階級差を描き出す"Que Horas Ela Volta?"はオスカー外国語映画賞ブラジル代表に。
記事→アナ・ミュイラート&"Que Horas Ela Volta?"/ブラジル、母と娘と大きなプールと

51. Felipe Guerrero フェリペ・ゲリロ
ラテンアメリカ映画界の急成長組コロンビアから、彼のドキュメンタリー"Corta"はサトウキビ畑で働く人々を真っ正面からただただ見据える、情報量を究極的に削ぎ落とした素晴らしき瞑想的作品。
記事→フェリペ・ゲレロ& "Corta"/コロンビア、サトウキビ畑を見据えながら

50. Nanouk Leopold ナヌーク・レオポルド
実はオランダ産文芸エロ映画、3本ほど日本に来ているのですがその中でもこの監督が一番評価されているのではと。男性患者たちと関係を重ねる医師の心の彷徨いを描き出した「裸の診療室」は彼女の才気を伺える1本。

49. Laura Amelia Guzman & Israel Cardenas
ドミニカ共和国&メキシコの映画作家コンビ、最新作"Dólares de arena"はヨーロッパ人旅行客と現地の少女の愛の道筋を通じ、ドミニカ共和国の現在を描く映像詩。
記事→ Laura Amelia Guzmán&"Dólares de arena"/ドミニカ、あなたは私の輝きだったから

48. John Magary
ジョシュ・ルーカス!ハラキリ!ジュシュ・ルーカス!ハラキリ!ジュシュ・ルーカス!ハラキリ!ジュシュ・ルーカス!ハラキリ!な初長編"The Mend"は兄弟愛なんて古いテーマでも描き方1つでどうとでもなることを、異常なテンションで証明したケッサク!
記事→John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言

47. Desiree Akhavan デジリー・アッカヴァン
「ハンパな私じゃダメかしら?」はロマコメ新時代を飾る1本、イラン系バイセクシャルな女性の失恋と新たな旅路を描き出した作品で、下ネタ凄いけど最後にはホロッとさせられる逸品。
記事→デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?

46. Anna Odell アンナ・オデル
スウェーデン1のお騒がせアーティストが一転、初長編「同窓会/アンナの場合」は"いじめた奴はすぐ忘れるが、いじめられた奴は一生忘れない"という真理をネチネチと描いてスウェーデンアカデミー賞作品賞を獲得というまさかのスターダムへ。
記事→ アンナ・オデル&「同窓会/アンナの場合」/いじめた奴はすぐ忘れるが、いじめられた奴は一生忘れない

45. Julia Murat
ブラジル映画界で個人的に一番好きな作家。デビュー長編"Historia"は死にすら忘れ去られた村を舞台にした、記憶と時についての懐かしく謎めいた寓話として永遠の美しさを湛えるだろう作品。
記事→Julia Murat &"Historia"/私たちが思い出す時にだけ存在する幾つかの物語について

44. Annemarie Jacir
パレスチナという国への複雑な思いを描き続ける作家で、第2長編"Lamma shoftak"は故郷に対する登場人物それぞれの郷愁を結い合わせたドラマ作品。パレスチナ映画を世界に広めるリーダー的存在としても活躍。
記事→Annemarie Jacir &"Lamma shoftak"/パレスチナ、ぼくたちの故郷に帰りたい

43. Whitney Horn&Lev Kalman
デビュー長編"L for Leisure"は何か変だ、90年代を舞台に金持ちボンボンが世界をフラフラ旅するんですが、ポワポワしてて圧倒的にノーテンキという独特のヴぃジョンがすごい。
記事→Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代

42. Carlos Marques Marcet
デビュー長編"10000km"は濃密な20分の長回しと、それ以後の恐ろしいほどぶっきらぼうな編集が印象的な遠距離恋愛「ブルー・バレンタイン」愛は10000kmを越えられるか?

41. Hadar Morag ハダル・モラグ
デビュー作"Why hast thou forsaken me?"イスラエルに住むアラブ人青年と年老いユダヤ人研師の交流を描く作品ですが、2人が手を重ね合わせている最中、灰色の火花が散る様はエロティック。
記事→ハダル・モラグ&"Why hast thou forsaken me?"/性と暴力、灰色の火花

40. 彭三源
ピーター・チャン「最愛の子」そろそろ公開ですが、この"失孤"も我が子を誘拐された父親の旅路を描き出した作品で、これでもかこれでもかと涙腺に泣きの一発を叩きつけてくる絶妙なストーリーテリングはさすが。
記事→彭三源&"失孤"/見捨てられたなんて、言わないでくれ

39. Jennifer Phang ジェニファー・ファン
デビュー作「アドバンテージ〜母がくれたもの」はSFとは未来ではなく現在を描くものだと教えてくれる、この世で女性が老いることについての痛烈な寓話です。
記事→この世界で女性が老いるということ「アドバンテージ〜母がくれたもの」

38. Bakur Bakuradze
ジョージア出身、スポーツ選手としての未来を絶たれた男が犯罪に走る様を徹底した冷淡さと共に描き出すデビュー作"Shultes"の、あの全てが通りすぎて行く感覚は今の映画界にこそ必要な感覚ではないでしょうか。
記事→Bakur Bakuradze& "Shultes"/ロシア、全てが彼を過ぎ去っていく

37. Marya Cohn
奪われた過去、綴られる未来。"The Girl in The Book"という響きが彼女にとって呪いから未来への希望へと姿を変える時の感動といったら。エミリー・ヴァンキャンプの熱演も素晴らしく。
記事→ Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来

36. Cecile Emeke
ヨーロッパに生きるアフリカ系の若者たちの声を掬いとるWebシリーズ"Scrolling"に、親友2人がダベダベする日常系コメディ"Ackee & Saltfish"が注目のブリテン諸島期待の新鋭。
記事→Cecile Emeke & "Ackee & Saltfish"/イギリスに住んでいるのは白人男性だけ?

35. Veiko Õunpuu ヴェイコ・オウンプー
無限にまで引き伸ばされた時間の中で、終末の予感を肌に感じながら、自分では死を選ぶことも出来ず疲弊していく、そんな乾いた地獄の風景を映像詩的に描き出す「ルクリ」のこの素晴らしさ。
記事→ヴェイコ・オウンプー&「ルクリ」/神よ、いつになれば全ては終るのですか?

34. David Wnendt
あなたはどのくらいアナルについて考えたことがあるだろう、アナルはクソを出す穴?それとも一輪の薔薇を差すための場所?そんなアナルについての洞察と少女の青春を絡めた"Feughtgebiete"で頭角を表したドイツ期待の映画監督。
記事→David Wnendt&"Feuchtgebiete"/アナルの痛みは青春の痛み

33. Gillian Robespierre
中絶について肩の力を抜きながらも真摯に考えること、とってもスウィートでロマンティックなコメディ映画を作ること、この2つを同時にやってのけた長編デビュー作"Obvious Child"は米ロマコメの1つの達成。
記事→Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる

32. Urszula Antoniak
ポーランド出身ながらオランダで活躍する映画作家。第2長編"Code Blue"は秘密裏に患者を安楽死させ続ける看護師の精神が、捻れた性欲の中で崩壊していく様を表現主義的な演出で描き出す捻れたドラマ。
記事→Urszula Antoniak& "Code Blue"/オランダ、カーテン越しの密やかな欲動

31. Sophie Schoukens ソフィー・ショーケン
文芸エロ映画の犠牲になったベルギー出身映画作家、子供の頃に亡くなった父の記憶を追う女性を描いた「Unbalance -アンバランス-」は静かな感動を呼ぶんですよ、本当なんですよ。
記事→ソフィー・ショウケンス&「Unbalance-アンバランス-」/ベルギー、心の奥に眠る父

30. Min Bahadur Bham ミン・バハドゥル・バム
最初は少年たちの絆を描いていたのに、2人の間に隔たるカーストという壁やネパールの不穏な情勢が色濃い影を投げ掛けるデビュー作「黒い雌鳥」が素晴らしい。ネパール映画がもっと観たくなります。
記事→ミン・バハドゥル・バム&「黒い雌鶏」/ネパール、ぼくたちの名前は希望って意味なんだ

29. Perin Esmer ペリン・エスメル
今活気あるトルコ映画界で最も私が好きな作家が彼女。デビュー作"Gözetleme Kulesi"はトルコの緑深き山々で2つの果てしなき孤独が衝突する重厚なドラマ作品です、是非一見を。
記事→ペリン・エスメル&"Gözetleme Kulesi"/トルコの山々に深き孤独が2つ

28. Dastin Simien
"Dear White People"アメリカに広がる人種やセクシュアリティへの問いをマシンガンのように観客へと投げつけて投げつけて投げつけまくる作品で、その手捌きに圧倒されます。

27. Mariana Rondon
1人の少年の髪の悩みが、ベネズエラに内在するジェンダー規範がいかにして人々を抑圧するかという問題定義に繋がる"Pelo Malo"は観るのが辛いながらも、必見の作品。
記事→Mariana Rondón & "Pelo Malo"/ぼくのクセっ毛、男らしくないから嫌いだ

26. Maxime Giroux
ハシディズムという名の抑圧から解放されることを願う女性の姿を描いた"Felix et Meira"は"メロドラマにこそ人間の真実は宿る"という言葉を証明する作品、ケベック映画界はやはり凄い。
記事→Maxime Giroux &"Felix & Meira"/ユダヤ教という息苦しさの中で

25. Harry Macqueen
リチャード・リンクレイターアンドレア・アーノルドピーター・ストリックランドの私淑を受けたブリテン映画界の若き新鋭、デビュー作"Hinterland"の切なみ、切なみな、この切なみな。
記事→Harry Macqueen&"Hinterland"/ローラとハーヴェイ、友達以上恋人以上

24. Anne Émond アンヌ・エモン
文芸エロ映画の犠牲者ケベック編。「ある夜のセックスのこと」は題名に騙されてはいけません、寒々しさの片隅で孤独が融け合う切実なドラマとして胸にジーンとくる一作。
記事→アンヌ・エモン&「ある夜のセックスのこと」/私の言葉を聞いてくれる人がいる

23. Daniel Wolfe
パキスタン移民による"名誉の殺人"を軸として、父と娘の余りにも壮絶な愛憎を描き出す"Catch Me Daddy"で以てブリテン諸島において最も凄まじき才能であると証明した映画監督。ここに広がるのは乾ききった地獄です。
記事→Daniel Wolfe&"Catch Me Daddy"/パパが私を殺しにくる

22. Aida Begić アイダ・ベジッチ
内戦の傷が色濃いサラエボの町で、必死に生きようとする姉弟の姿を独特の視点から描き出した"Djeca"イスラム映画祭で上映して欲しい珠玉の一作です。
記事→アイダ・ベジッチ&"Djeca"/内戦の深き傷、イスラムの静かな誇り

21. Ronit Erkabetz ロニ・エルカベッツ
ユダヤ教において女性が離婚をするのが如何に難しいかを描き出す、カフカ的不条理に満ちた離婚調停版「マッドマックス怒デス」とも言うべき"Gett"の破壊力の凄まじさたるや。
記事→ロニ・エルカベッツ&"Gett, le procès de Viviane Amsalem"/イスラエルで結婚するとは、離婚するとは

20. Jonas Carpignano
ブルキナファソからイタリアへと希望を胸にやってきた不法移民たちが暴力に呑み込まれていく絶望の物語"Mediterranea"は今こそ観られるべき作品。
記事→Jonas Carpignano&"Meditrranea"/この世界で移民として生きるということ

19. Vetri Maaran ヴェトリ・マーラン
武骨なエネルギー溢れる70年代風刑務所映画と、敵は個でなくシステムであるというボーン三部作以降のポリティカル・スリラーが、踏みにじられる人々の怒りによって繋がる驚きのタミル映画"Visaaranai"に心ブチ抜かれました、私。
記事→ヴェトリ・マーラン&"Visaaranai"/タミル、踏み躙られる者たちの叫びを聞け

18. Talya Lavie
イスラエル、砂漠のド真ん中、クソったれな兵役の日々をやる気ゼロを合言葉にやりすごそうとする女性兵士たちの姿を描いたブラックコメディ"Zero Motivation"でデビュー、題名がまあ最高ですね。
記事→Talya Lavie & "Zero Motivation"/兵役をやりすごすカギは“やる気ゼロ”

17. Pema Tseden ペマ・ツェテン
時代の波に取り残されていく中年の羊飼いの悲哀を描き出すチベット映画「タルロ」は序盤コミカルなカフカ、中盤リサンドロ・アロンソ、終盤は唯一無二のペマ・ツェテンへと結実する素晴らしさ。
記事→ペマ・ツェテン&"Tharlo"/チベット、時代に取り残される者たち

16. Sarah Adina Smith サラ・アディナ・スミス
私的2015年のホラーベストである"The Midnight Swim"は、湖とPOV、そして無二の不穏さを纏うリンゼイ・バーによって再奏される「ピクニックatハンギングロックといった趣の傑作です。
記事→リンゼイ・バージ&"The Midnight Swim"/湖を行く石膏の鮫

15. Alex Ross Perry アレックス・ロス・ペリー
ピンチョン、ロス、デリーロらハロルド・ブルーム言う所のポストモダン文学四天王の作風を取り込みながら日々進化続ける米インディー映画界の鬼才。最新作"Queen of Earth"イングマール・ベルイマンすら内包した異形の傑作!
記事→今すぐに貴方を殺せば、誰にも知られることはないでしょう"Queen of Earth"

14. Benjamin Hisenberg ベンヤミンハイゼンベルク
もし貴方が一度でも、この世界から見放されてしまったという絶望を感じたことがあるなら、そんな貴方にこそ捧げられるべき作品が彼の第2長編"Der Räuber"です。
記事→ベンヤミン・ハイゼンベルク&"Der Räuber"/私たちとは違う世界を駆け抜ける者について

13. Corneliu Porumboiu
チャウシェスク独裁政権が倒れ、共産主義から資本主義へと移り変わった現代ルーマニア、ではあの頃から一体何が変わったのか、もしくは何が変わらなかったのかを描き続けるルーマニア1の映画作家
記事→Corneliu Porumboiu & "A fost sau n-a fost?"/1989年12月22日、あなたは何をしていた?

12. Athina Rachel Tsangali アティナ・レイチェル・ツァンガリ
あなたの体を通じてわたしの体を知る、あなたの死を通じて私の生を知る。デビュー作"Attenberg"によってヨルゴス・ランティモスと共に"ギリシャの奇妙なる波"の立役者となった奇想の映画作家
記事→アティナ・レイチェル・ツァンガリ&"Attenberg"/あなたの死を通じて、わたしの生を知る

11. Hugo Vieira da Silva
ポルトガル映画界色々言われていますけれど、私が最も評価する作家が彼です。デビュー作"Body Rice"はここに広がる紫色の退屈さは映画史に残る荒涼たる様。
記事→ Hugo Vieira da Silva &"Body Rice"/ポルトガル、灰の紫、精神の荒野

10. Chaitanya Tamhane チャイタニヤ・タームハネー
ミア=ハンセン・ラブに並んで、何もかもが人々を過ぎ去っていく諸行無常の感覚を持ち合わせたインドの若き天才作家。デビュー作「裁き」は貴方が今まで絶対に観たことのない裁判映画と断言出来ます。
記事→チャイタニヤ・タームハーネー&「裁き」/裁判は続く、そして日常も続く

9. Hannah Fidell ハンナ・フィデル
先述のアメリカに広がる"水面下の不穏"を体現するもう1人の存在。「女教師」「6年愛と共に未熟な愛がジワジワと崩壊していく様を冷徹に見据え続ける作風は癖になります。
記事→ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める

8. Nadav Lapid
イスラエル、ひいては国家という存在に不可避的に内在する闇を描き出すことを使命とした映画作家。デビュー作"Ha-Shoter"は祖国を愛する者と憎む者の致命的な相互不理解を映した極限の絶望の物語。
記事→Nadav Lapid &"Ha-shoter"/2つの極が世界を潰す

7. Rick Alverson
果てしない倦怠、重すぎる徒労感、全てが無駄、何もかも全てが虚無感に支配されてしまっている……そんな絶望を冷たく焼き付けた"Entertainment"アメリカという名の精神の荒野を描き出した唯一無二の芸術。
記事→Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く

6. Chloe Robichaud
私がブログを書くきっかけとなったケベック映画作家。1人の女性のセクシュアリティの探求を描いた"Sarah préfère la course"ケベックに生きるレズビアンのライフスタイルを描く"FEMININ/FEMININ"と全てが素晴らしい。
記事→Chloé Robichaud &"Sarah préfère la course"/カナダ映画界を駆け抜けて

5. Andrea Štaka アンドレア・シュタカ
ユーゴスラビアという血塗られた故郷への思いを"Das Fräulein"では希望として、"Cure: The Life of Another"では絶望として描き出した移民2世のスイス人作家。これから先、彼女はこの思いといかに向き合うのだろう……
記事→アンドレア・シュタカ&“Das Fräulein”/ユーゴスラビアの血と共に生きる

4. Marianne Pistone&Gilles Deroo
デビュー長編"Mouton"は点と点の集積によって青年の日常を描きながらも、後半から全く別の物語に変わってしまう本当に、本当に言葉すら失ってしまう作品。フランス映画界随一の才能でしょう、彼女たちこそ。
記事→Marianne Pistone& "Mouton"/だけど、みんな生きていかなくちゃいけない

3. Ramon Zürcher
シャンタル・アケルマンの禁欲性+ジャック・タチの過剰さ=映画の未来!1つの家族の日常を私たちが全く観たことのない視点から描き出す"Das merkwürdige Kätzchen"は驚異のデビュー長編です。
記事→Ramon Zürcher&"Das merkwürdige Kätzchen"/映画の未来は奇妙な子猫と共に

2. Anocha Suwichakornpong アノーチャ・スイッチャーゴーンポン
足の自由を失った青年と彼をケアする介護士の心の交流が、何処までも自由な語りによって、宇宙的スケールで誕生の喜びを高らかに歌い上げる"Mundane History"は奇跡と呼ぶに相応しい作品。

1. Ana Rose Holmer アナ・ローズ・ホルマー
青春、スポ魂、ホラー、SF……そのどれでもありどれでもない、私たちが居るべき場所を見つけ出す旅路についての物語"The Fits"は奇跡すら越えた何かとして一生私の心に残り続ける作品です。
記事→アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている

ということで、このサイト経由以外で知っていた映画監督は何人いたかな?5人以上知っていたあなたは、日本の映画評論家を引き摺り下ろしてあなたが次世代の映画評論家になった方がいいぞ!もしくはあなたが映画関係者だったら、私に仕事を下さい、お願いします。ということで以上"済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!"でした。みんな、いっぱい映画観ようぜ!!!


ベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ……