鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ!

Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと
Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照。

よれよれのYシャツを着た青年、住宅街を突き進んでいく彼の背中を私たちは追っていく。その背中は頼りないように見えるが、漂うのは堂々たる自信だ。青年はある空き地に辿り着くと、酒瓶に挿したボロ布に火を灯し、それを勢いよく叩きつける。橙の炎が燃え盛る中、振り向いた青年の顔には満面の笑み、そして地面にスプレーで描かれる言葉は――“FUNNY”! この冒頭が指し示すように、Joel Potrykusの長編デビュー作“Ape”は社会に鬱憤を溜めた青年の爆発を描き出す一作だ。しかし通り一遍の作品が持ち得ない奇妙な魅力を今作は宿している。

今作の主人公はトレヴァー・ニューワンダイク(Joshua Burge)という青年、彼の日常はクソみたいな出来事で一杯だ。本業はスタンダップ・コメディアンなのだが、舞台に立ってもネタはクソほども受けないし、楽屋裏では同業の男にアドバイスと称され股間をブン殴られる始末。そんなんだから金もクソもないが、ケーブル会社から”滞納分の料金払わんとテレビ止めるぞ!”とのお達し、慌てたトレヴァーは友人から借金を返してもらおうとするが踏み倒され、チクショウ!チクショウ!チクショウ!

“Ape”をまず一言で表すなら、テン年代ミシガン州に現れたアラン・クラークの正統なる嫡子だ。冒頭の背中を追うトラッキングショットから顕著だが、英国のうらぶれた街に住む鬱屈と暴力衝動を腹に抱え込んだ青年たちの姿を寒々しいリアルさで描き出す、そういったクラークの社会的リアリズムをPotrykusはこの地で再現しようとしているのだ。トレヴァーの苦虫を潰したかのような表情の数々、栄えてるとはお世辞にも言い難いストリートの寂れた風景、それらは濃密な息遣いを以て観客に迫ってくる。

そんな中でトレヴァーが鬱憤を晴らす手立てとしているのが火だ。しかし火事を起こして人々を焼死させるだとかそんな大それた物ではない。ライターの火にスプレーを吹き掛けて即席の火炎放射器を作ったり、手品用の一瞬で燃え尽きる紙をポッポポッポと燃やしたりといった風だ。彼はテレビを見ている途中、紙を何枚も何枚も燃やしながらゲラゲラ笑い、それが長回しで延々映し出される訳だが、それが何とも惨めでちっさい風景なのだ。大きくブッ放してやる思いは燻りながら、それを燃え立たせる勇気はトレヴァーの中には存在しない。

だがその間にも彼の鬱憤は膨れ上がっていく。自分を雇っているボスのシスコは給料をまともに払わない、同業のスパイサーはスタローンの物真似しか出来ない癖に偉そうな態度を隠そうともしない、そしていつもの通り観客たちは苦笑ばかりを舞台に響かせる。劇中ではトレヴァーの微妙すぎるネタが幾つも浮かんでは消えていくが、このネタの数々、Potrykus自身がコメディアンの時に披露していたネタらしい。実はPotrykus、ミシガンやニューヨークでコメディアンとして活動しており、その時のしみったれた経験を元に脚本を書いたという。それについて彼はこんな言葉を残している。

"ミシガンでは"反コメディ"と呼ばれる物をやってました。ステージで無意味なジョークを話している時、舞台裏の友人がサンプラー拍手や笑いを流す(中略)音声を越えるほど笑いが起きるようになると、いつものように音声を切る、そして奇妙で不調のジョークがそのまま垂れ流されるようになる。でもそれにもいつしか飽きてしまった。だから道端でコメディをやることに決めて、東海岸まで来たんです。

コメディアンとして生き抜くのはどこでも厳しい物ですが、ニューヨークではほとんど悪夢でした。1時間かけて店に行き、朝8時から夜5時まで、月曜から金曜日ぶっ通しで仕事、しかも週2日は仕事の後に地下鉄でマンハッタンまで行ってまた仕事です(中略)クラブのオーナーが気に入ってくれたら、タイムズ・スクエアに行って旅行客にフライヤーを配るお仕事の機会を"授与"される。寒い中2時間も突っ立って、クーポンと偽ったフライヤーを配り続け、クラブに戻り5分間ネタを披露する。新人はこのサイクルを6時間続けなくてはいけないんです。もしラッキーなら、給料ももらえる。自分のイニシャル付きのフライヤーを持って来店した客一人につき、キッチリ1ドル分の給料を。地下鉄の運賃ぐらい稼げたらそれはもう成功ですよ。ショービズ界でも一番地味な仕事でしたね。これを背景にして、世界に怒りを向ける人物についての物語を書けるんじゃないかと思いました"*1

コメディアンの憂鬱を描き出した作品にはスコセッシの「キング・オブ・コメディ」や、最近だと件のリック・アルヴァーソン “Entertainment”(ちなみにPotrykusは影響を受けた作品として彼の前作“The Comedy”の名を挙げている)など、アメリカもお国柄なのか数多く存在するが、これくらいお笑いネタが世知辛くみみっちく響く作品もないだろう。

そんなある日、トレヴァーは通勤バスから変な赤い扮装をした男が道端で果物を売っている姿を見かける。興味を抱いた彼は男の元に行ってみるのだが、棚には野菜しか置かれていない。近くで見るとハロウィンで悪魔の格好をしているオッサンにしか見えない男は、しかし、たった1つだけ“黄金のリンゴ”をトレヴァーに差し出してくる。そのただ単に熟れてないだけっぽいリンゴとギャグを1つ交換しようという取引に応じ、トレヴァーはリンゴを手に入れるのだが…………と聞けば、悪魔の力で鬱憤大爆発な展開を想像だろう。確かに鬱憤は爆発するのだがタクシードライバーの銃で売春窟襲撃&指血みどろ爆裂みたいな物は望むべくもない。

例えば今作でトレヴァーは金の問題に頭を抱えまくる。ケーブル会社の督促にブチ切れ、店長の給料未払いにブチ切れるのは勿論、セブンイレブンで売っているフローズンが値上がりしたのにブチ切れ、ロン毛のオッサンが2ドル貸してくれって言うので釣りは返せよと10ドル札渡したら10ドル分ビール買ってきたのにブチ切れ、とにかく小さな金の問題にブチ切れる。故にトレヴァーの不満の高まりと発露は何だか滅茶苦茶チンケでハンパなのだ。だがそれは他作品に劣るということを意味しない、今作にとってチンケであることは頗る重要な要素なのだ。

いわゆる”男が社会に不満を抱えて爆発を遂げる”系の映画は女性嫌悪的な側面を持っていることが多い。例を挙げるとタクシードライバーでトラヴィスが爆発するのは、勿論その要因は複合的なものであるが、選挙事務所で働く女性をデートに誘ったが、デートの仕方が最悪(ポルノ映画に連れていくってさ!)だった故にフラれ、そうして抱いた逆恨みが一つの理由であることは否定できないだろう。そしてテン年代を代表する爆発映画ベルフラワーは初めて出来た恋人に浮気されたことへの激しい怒りが起爆剤となっている事は明白だ。どちらも私は傑作と思っている作品だが、同時にこの女性嫌悪的な要素は物語に不可欠なものであるからこそ、その構造にかなり問題があると言わざるを得ない。

この構造が何故問題であるかと言えば、男たちは自分を社会の最底辺にいる弱者、踏みにじられる存在と定義し、そんな社会に激烈な暴力を以て反旗を翻し、観客は男たちに心を重ね、なけなしの一発を社会にぶつける姿に心を揺さぶられる訳だが、その過程において自分たちが女性を踏みにじっていることに気づかないのだ。性差別は正に社会に内面化されている価値観であり、その意味で爆発男たちは反旗を翻す筈の社会側に立つ強者なのである。ここに矛盾が存在するのを、映画作家それぞれのエモーショナルで力強い演出でうやむやにしている作品が多いのだが“Ape”はそういった落とし穴を巧妙に避けていくのだ。

“Ape”においてトレヴァーは恋人を作ったり女性とセックスなどをすることはない、そもそも劇中において女性キャラは殆ど登場しない。それが意味するのは、他作品とは一線を画しトレヴァーとPotrykusは社会に怒りを向けるために女性をダシに使わないのだ。この作風はおそらくゼロ年代にマンブルコアが隆盛を遂げた後だからこそ培われた物だろう。マンブルコアの功績は自分たちを取り巻く性についてもっと良く考えるべきだとインディー作家たちに再考を促した、自分たちが好きな映画にそういった差別性や不平等がないか精査するよう促したことだ。前の記事にも書いたが、Potrykusの影響元は数多くのホラー作品やZ級映画であり、そういった作品は反吐が出るほど差別的な内容が多い。それに批判的な目を向けながら、同時に作品の良い所は吸収していく、Potrykusはこの感覚を身につけている意味でテン年代の作家と言えるだろう。もし今作がゼロ年代半ばに作られていたとするなら、こうは行かなかったと私は思う。

そして物語はタクシードライバーからボディホラー、陳腐なジョークからへヴィーメタルまで様々な要素を抱え込みながら突き進んでいくが、それでもここで描かれる爆発は何だかマジでチープで中途半端な物ばかりだ。しかしそれが重要だ、それが要なのだ。Potrykusたちには自分より弱い存在を踏み台とせず、己の今立っている場所から社会に中指を突き立てる勇気がある。だからこそトレヴァーの姿は奇妙に、そして誠実に私たちの中指に迫ってくる。抵抗しろ! 社会にお前のその1本をブチ立ててやれ!と。

ポスト・マンブルコア世代の作家たちシリーズ
その1 Benjamin Dickinson &"Super Sleuths"/ヒップ!ヒップ!ヒップスター!
その2 Scott Cohen& "Red Knot"/ 彼の眼が写/映す愛の風景
その3 デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?
その4 Riley Stearns &"Faults"/ Let's 脱洗脳!
その5 Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる
その6 ジェームズ・ポンソルト&「スマッシュド〜ケイトのアルコールライフ〜」/酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい…
その7 ジェームズ・ポンソルト&"The Spectacular Now"/酒さえ飲めばなんとかなる!……のか?
その8 Nikki Braendlin &"As high as the sky"/完璧な人間なんていないのだから
その9 ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める
その10 ハンナ・フィデル&"6 Years"/この6年間いったい何だったの?
その11 サラ=ヴァイオレット・ブリス&"Fort Tilden"/ぶらりクズ女子2人旅、思えば遠くへ来たもので
その12 ジョン・ワッツ&"Cop Car"/なに、次のスパイダーマンの監督これ誰、どんな映画つくってんの?
その13 アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている
その14 ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば
その15 Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く
その16 Leah Meyerhoff &"I Believe in Unicorns"/ここではないどこかへ、ハリウッドではないどこかで
その17 Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き
その18 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"
その19 Anja Marquardt& "She's Lost Control"/セックス、悪意、相互不理解
その20 Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路
その21 Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代
その22 Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに
その23 Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来
その24 John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言
その25 レスリー・ヘッドランド&"Sleeping with Other People"/ヤリたくて!ヤリたくて!ヤリたくて!
その26 S. クレイグ・ザラー&"Bone Tomahawk"/アメリカ西部、食人族の住む処
その27 Zia Anger&"I Remember Nothing"/私のことを思い出せないでいる私
その28 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その29 Perry Blackshear&"They Look Like People"/お前のことだけは、信じていたいんだ
その30 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その31 ジョシュ・モンド&"James White"/母さん、俺を産んでくれてありがとう
その32 Charles Poekel&"Christmas, Again"/クリスマスがやってくる、クリスマスがまた……
その33 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その34 ロベルト・ミネルヴィーニ&"Low Tide"/テキサス、子供は生まれてくる場所を選べない
その35 Stephen Cone&"Henry Gamble's Birthday Party"/午前10時02分、ヘンリーは17歳になる
その36 ネイサン・シルヴァー&「エレナ出口」/善意の居たたまれない行く末
その37 ネイサン・シルヴァー&"Soft in the Head"/食卓は言葉の弾丸飛び交う戦場
その38 ネイサン・シルヴァー&"Stinking Heaven"/90年代の粒子に浮かび上がるカオス
その39 Felix Thompson&"King Jack"/少年たちと"男らしさ"という名の呪い
その40 ジョセフィン・デッカー&"Art History"/セックス、繋がりであり断絶であり
その41 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その42 ジョセフィン・デッカー&"Butter on the Latch"/森に潜む混沌の夢々
その43 Cameron Warden&"The Idiot Faces Tomorrow"/働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない
その44 Khalik Allah&"Field Niggas"/"Black Lives Matter"という叫び
その45 Kris Avedisian&"Donald Cried"/お前めちゃ怒ってない?人1人ブチ殺しそうな顔してない?
その46 Trey Edwards Shults&"Krisha"/アンタは私の腹から生まれて来たのに!
その47 アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生
その48 Zachary Treitz&"Men Go to Battle"/虚無はどこへも行き着くことはない
その50 Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと

私の好きな監督・俳優シリーズ
その101 パヴレ・ブコビッチ&「インモラル・ガール 秘密と嘘」/SNSの時代に憑りつく幽霊について
その102 Eva Neymann & "Pesn Pesney"/初恋は夢想の緑に取り残されて
その103 Mira Fornay & "Môj pes Killer"/スロバキア、スキンヘッドに差別の刻印
その104 クリスティナ・グロゼヴァ&「ザ・レッスン 女教師の返済」/おかねがないおかねがないおかねがないおかねがない……
その105 Corneliu Porumboiu & "Când se lasă seara peste Bucureşti sau Metabolism"/監督と女優、虚構と真実
その106 Corneliu Porumboiu &"Comoara"/ルーマニア、お宝探して掘れよ掘れ掘れ
その107 ディアステム&「フレンチ・ブラッド」/フランスは我らがフランス人のもの
その108 Andrei Ujică&"Autobiografia lui Nicolae Ceausescu"/チャウシェスクとは一体何者だったのか?
その109 Sydney Freeland&"Her Story"/女性であること、トランスジェンダーであること
その110 Birgitte Stærmose&"Værelse 304"/交錯する人生、凍てついた孤独
その111 アンネ・セウィツキー&「妹の体温」/私を受け入れて、私を愛して
その112 Mads Matthiesen&"The Model"/モデル残酷物語 in パリ
その113 Leyla Bouzid&"À peine j'ouvre les yeux"/チュニジア、彼女の歌声はアラブの春へと
その114 ヨーナス・セルベリ=アウグツセーン&"Sophelikoptern"/おばあちゃんに時計を届けるまでの1000キロくらい
その115 Aik Karapetian&"The Man in the Orange Jacket"/ラトビア、オレンジ色の階級闘争
その116 Antoine Cuypers&"Préjudice"/そして最後には生の苦しみだけが残る
その117 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その118 アランテ・カヴァイテ&"The Summer of Sangaile"/もっと高く、そこに本当の私がいるから
その119 ニコラス・ペレダ&"Juntos"/この人生を変えてくれる"何か"を待ち続けて
その120 サシャ・ポラック&"Zurich"/人生は虚しく、虚しく、虚しく
その121 Benjamín Naishtat&"Historia del Miedo"/アルゼンチン、世界に連なる恐怖の系譜
その122 Léa Forest&"Pour faire la guerre"/いつか幼かった時代に別れを告げて
その123 Mélanie Delloye&"L'Homme de ma vie"/Alice Prefers to Run
その124 アマ・エスカランテ&「よそ者」/アメリカの周縁に生きる者たちについて
その125 Juliana Rojas&"Trabalhar Cansa"/ブラジル、経済発展は何を踏みにじっていったのか?
その126 Zuzanna Solakiewicz&"15 stron świata"/音は質量を持つ、あの聳え立つビルのように
その127 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その128 Kerékgyártó Yvonne&"Free Entry"/ハンガリー、彼女たちの友情は永遠!
その129 张撼依&"繁枝叶茂"/中国、命はめぐり魂はさまよう
その130 パスカル・ブルトン&"Suite Armoricaine"/失われ忘れ去られ、そして思い出される物たち
その131 リュウ・ジャイン&「オクスハイドⅡ」/家族みんなで餃子を作ろう(あるいはジャンヌ・ディエルマンの正統後継)
その132 Salomé Lamas&"Eldorado XXI"/ペルー、黄金郷の光と闇
その133 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その134 Marte Vold&"Totem"/ノルウェー、ある結婚の風景
その135 アリス・ウィンクール&「博士と私の危険な関係」/ヒステリー、大いなる悪意の誕生
その136 Luis López Carrasco&"El Futuro"/スペイン、未来は輝きに満ちている
その137 Ion De Sosa&"Sueñan los androides"/電気羊はスペインの夢を見るか?
その138 ケリー・ライヒャルト&"River of Grass"/あの高速道路は何処まで続いているのだろう?
その139 ケリー・ライヒャルト&"Ode" "Travis"/2つの失われた愛について
その140 ケリー・ライヒャルト&"Old Joy"/哀しみは擦り切れたかつての喜び
その141 ケリー・ライヒャルト&「ウェンディ&ルーシー」/私の居場所はどこにあるのだろう
その142 Elina Psykou&"The Eternal Return of Antonis Paraskevas"/ギリシャよ、過去の名声にすがるハゲかけのオッサンよ
その143 ケリー・ライヒャルト&"Meek's Cutoff"/果てなき荒野に彼女の声が響く
その144 ケリー・ライヒャルト&「ナイト・スリーパーズ ダム爆破作戦」/夜、妄執は静かに潜航する
その145 Sergio Oksman&"O Futebol"/ブラジル、父と息子とワールドカップと
その146 Virpi Suutari&”Eleganssi”/フィンランド、狩りは紳士の嗜みである
その147 Pedro Peralta&"Ascensão"/ポルトガル、崇高たるは暁の再誕
その148 Alessandro Comodin&"L' estate di Giacomo"/イタリア、あの夏の日は遥か遠く
その149 イリンカ・カルガレアヌ&「チャック・ノリスVS共産主義」/チャック・ノリスはルーマニアを救う!
その150 Rina Tsou&"Arnie"/台湾、胃液色の明りに満ちた港で
その151 クレベール・メンドーサ・フィーリョ&「ネイバリング・サウンズ」/ブラジル、見えない恐怖が鼓膜を震わす
その152 Tali Shalom Ezer&"Princess"/ママと彼女の愛する人、私と私に似た少年
その153 Katrin Gebbe&"Tore Tanzt"/信仰を盾として悪しきを超克せよ
その154 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その155 Jazmín López&"Leones"/アルゼンチン、魂の群れは緑の聖域をさまよう
その156 Noah Buschel&"Bringing Rain"/米インディー映画界、孤高の禅僧
その157 Noah Buschel&"Neal Cassady"/ビート・ジェネレーションの栄光と挫折
その158 トゥドール・クリスチャン・ジュルギウ&「日本からの贈り物」/父と息子、ルーマニアと日本
その159 Noah Buschel&"The Missing Person"/彼らは9月11日の影に消え
その160 クリスティ・プイウ&"Marfa şi Banii"/ルーマニアの新たなる波、その起源
その161 ラドゥー・ムンテアン&"Hîrtia va fi albastrã"/革命前夜、闇の中で踏み躙られる者たち
その162 Noah Buschel&"Sparrows Dance"/引きこもってるのは気がラクだけれど……
その163 Betzabé García&"Los reyes del pueblo que no existe"/水と恐怖に沈みゆく町で、生きていく
その164 ポン・フェイ&"地下香"/聳え立つビルの群れ、人々は地下に埋もれ
その165 アリス・ウィノクール&「ラスト・ボディガード」/肉体と精神、暴力と幻影
その166 アリアーヌ・ラベド&「フィデリオ、あるいはアリスのオデッセイ」/彼女の心は波にたゆたう
その167 Clément Cogitore&"Ni le ciel ni la terre"/そこは空でもなく、大地でもなく
その168 Maya Kosa&"Rio Corgo"/ポルトガル、老いは全てを奪うとしても
その169 Kiro Russo&"Viejo Calavera"/ボリビア、黒鉄色の絶望の奥へ
その170 Alex Santiago Pérez&"Las vacas con gafas"/プエルトリコ、人生は黄昏から夜へと
その171 Lina Rodríguez&"Mañana a esta hora"/明日の喜び、明日の悲しみ
その172 Eduardo Williams&"Pude ver un puma"/世界の終りに世界の果てへと
その173 Nele Wohlatz&"El futuro perfecto"/新しい言葉を知る、新しい"私"と出会う
その174 アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生
その175 マリアリー・リバス&「ダニエラ 17歳の本能」/イエス様でもありあまる愛は奪えない
その176 Lendita Zeqiraj&"Ballkoni"/コソボ、スーパーマンなんかどこにもいない!
その177 ドミンガ・ソトマヨール&"Mar"/繋がりをズルズルと引きずりながら
その178 Ron Morales&"Graceland"/フィリピン、誰もが灰色に染まる地で
その179 Alessandro Aronadio&"Orecchie"/イタリア、このイヤミなまでに不条理な人生!
その180 Ronny Trocker&"Die Einsiedler"/アルプス、孤独は全てを呑み込んでゆく
その181 Jorge Thielen Armand&"La Soledad"/ベネズエラ、失われた記憶を追い求めて
その182 Sofía Brockenshire&"Una hermana"/あなたがいない、私も消え去りたい
その183 Krzysztof Skonieczny&"Hardkor Disko"/ポーランド、研ぎ澄まされた殺意の神話
その184 ナ・ホンジン&"哭聲"/この地獄で、我が骨と肉を信じよ
その185 ジェシカ・ウッドワース&"King of the Belgians"/ベルギー国王のバルカン半島珍道中
その186 Fien Troch&"Home"/親という名の他人、子という名の他人
その187 Alessandro Comodin&"I tempi felici verranno presto"/陽光の中、世界は静かに姿を変える
その188 João Nicolau&"John From"/リスボン、気だるさが夏に魔法をかけていく
その189 アルベルト・セラ&"La Mort de Louis XIV"/死は惨めなり、死は不条理なり
その190 Rachel Lang&"Pour toi je ferai bataille"/アナという名の人生の軌跡
その191 Argyris Papadimitropoulos&"Suntan"/アンタ、ペニスついてんの?まだ勃起すんの?
その192 Sébastien Laudenbach&"La jeune fille sans mains"/昔々の、手のない娘の物語
その193 Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと