鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

ルクサンドラ・ゼニデ&「テキールの奇跡」/奇跡は這いずる泥の奥から

ルーマニアドナウ川流域には豊かな生態系と風光明媚な景色が広がっており、黒海に面するコンスタンツァは観光都市としても有名である。この地に存在する肥沃な泥は美容にも良いとされ、その恩恵に預かるためここを訪れる人々も少なくない。さて“ルーマニア映画界を旅する”シリーズ、今回はそんな地域を舞台とした不穏な一作「テキールの奇跡」とその監督ルクサンドラ・ゼニデについて紹介していこう。

ルクサンドラ・ゼニデ Ruxandra Zenide は1975年ブカレストに生まれた。ルーマニア人とスイス人の両親を持ち、15歳の頃にスイスへと移住する。そしてジュネーブのIUHEI、ニューヨーク大学チェコプラハ芸術アカデミー映像学部(FAMU)などで映画を学ぶ。映画監督としては"The Hole"(1999)や"Dust"(2002)など短編を製作するが、まず話題を博した1作が2003年に製作した"Stejarii verzi"だ。ルーマニアのとある田舎町を舞台に、孤児院で暮らすある兄妹の姿を描いた作品で、アルピナーレ映画祭やジュネーヴ国際映画祭などで賞を獲得することとなった。

2005年には待望の初長編である"Ryna"を製作する。ドナウ・デルタに位置する村で自身のアイデンティティーを探し求める16歳の少女を主人公とした今作はトランシルヴァニア国際映画祭で初長編作品賞を獲得後、ジュネーヴ国際映画祭やノルウェーのトロムソ映画祭で作品賞を、そしてゴーポ賞(ルーマニアアカデミー賞)では主演女優賞と撮影賞を勝ち取るなど名声を博した。だがその後監督としては10年の沈黙があり、2015年になり彼女はとうとうの第2長編である「テキールの奇跡」を完成させることとなる。

今作の主人公は30歳の女性マラ(Dorotheea Petre)、彼女は泥地に蟠る“生きた泥”を用いて人々の病を治すという不思議な力を持っていた。だが彼女が妊娠した時から、その世界は一転する。お腹の子供に父はいないと奇跡を主張するマラに対して、村の人々は猜疑の目を向け、彼女の立場はどんどん危うくなっていく。

「テキールの奇跡」においてまず目を引くのが撮影監督Hélène Louvartによって映し出される、マラの住む村に広がる寒々しい風景の数々だ。マラが身を置くのは、乾ききった大地に立つ薄汚れた家屋であり、今に崩れておかしくはない脆さを晒している。だが彼女らを取り囲む環境も荒涼たる有り様であり、村は惨めに寂れ、海は誰をも寄せつけない凍てつきを誇る。そんな中で異様な存在感を見せるのが泥だ。砂地からは、まるで液体金属のような泥が溢れだし、大きな泥溜まりを作る。それを見ていると、内部にはおぞましい何かが潜んでいるという予感を抱かされるほどだ。

そんな中で父のない子を批難され、魔女に仕立てあげられたマラは、数少ない味方であるアンドレイ神父(「私の、息子」ボグダン・ドゥミトラケ)の助けを借り、命からがらテッケルギョル湖畔のホテルへと辿り着く。そこは身体のケアを目的とする高級スパでもあり、多くの富裕層がこの地で休養を楽しんでいた。そこでマラが出会ったのはリリ(シンプルメン」エリナ・レーヴェンソン)という女性だ。彼女は子供を持ちたいという欲求があり、そのためにマラを雇うのだったが……

そうして物語は這いずるような速さで進んでいくが、全編に不穏な雰囲気が漂っている。灰の煙で満たされた風呂場、表面上の豪奢とは裏腹に生気を持たないホテルの一室、ここにはスパとしての役割とはまた別の目的があるのでは?という瘴気に観客もすぐ気づく筈だ。マラは訳も分からないままリリの治療を行うことになるが、彼女もやはり水面下に蠢く何かの存在に気づき始める。

不穏さには多様な要素が編み込まれていると言っていい。まずは貧富の差という要素だ。リリはルーマニア出身ながらスイスへと赴き、そこで有り余る財を手にした女性だ。その富を使って彼女は貧困に喘ぐ孤独なマラを雇う。彼女たちの人生が交わりあう様は表向き普通に見えながらも、富める者が貧しき者を搾取するような居心地悪さからは逃れられない。

そしてこの関係性にはルーマニア周辺諸国との微妙な関係も重なってくる。ルーマニアEU所属国の中でも特に貧困な国の1つであり、その一端は今作に広がるどこか空虚で荒涼とした風景の中にも見えてくるだろう。更にリリの境遇は正にそれを反映したようなものであり、スパの責任者であるヴィクトリア(「不倫期限」ミレーラ・オプリショル)らはスイスで富を獲得した彼女に対して媚びへつらうような態度を見せる。ルーマニアの経済状況は今現在不安定であり、周辺諸国の助けを借りることで初めてバランスが取れる状態にあるのだ。

ここで振り返るべきはゼニデ監督が以前に作った短編作品“Stejarii verzi”だ。舞台はルーマニアの寂れた田舎町に位置する孤児院、ここで身を寄せあいながら暮らしている兄妹が本作の主人公だ。ある日2人の元に里子を迎える予定の夫婦がやってくるが、彼女らが迎えるのは少女だけで兄妹は引き離されることよなってしまう。本作はルーマニアの寒々しい自然を背景としてこの国の世知辛い実情を語ると、ある意味で「テキールの奇跡」に繋がる要素が存在しているのだが、それ以上に注目なのは少女を引き取る夫妻がやはりスイス出身であることだ。本作においてスイスは(先述した通りゼニデ監督の第2の故郷でもある)富める国の象徴であり、少年はいつまでもこのルーマニアで暮らしていても幸せにはなれないと、長い抵抗の後に妹を向こうへと送ることを決意するのだ。

いわゆる”ルーマニアの新たなる波”勃興以降、ルーマニア資本の映画にしろ登場人物や舞台がルーマニアに関連のある映画にしろ、こういったヨーロッパにおける国家間の貧富の差に自覚的な映画が増えてきている実感がある。例えばクリスティアン・ムンジウのデビュー長編“Occident”は題名通り“西欧”に希望を抱く人々の姿を描いた作品であり、また最新作の「エリザのために」は娘のイギリスへの留学をめぐって暴走する父親の姿を描いており、ルーマニアにいるよりも他のヨーロッパ諸国に根を張ることが希望であるという価値観が反映されている。

そして実際にヨーロッパへ移住したルーマニア人の姿を描く作品もある。例えば“Shelly”というホラー作品は、代理母となるためデンマークへやってきたルーマニア人移民と雇い主である女性の間にある緊張が物語の核となっていたり、サンダンス映画祭で話題になったイギリス映画“God’s Own Country”は羊飼いの青年とルーマニア人移民労働者の愛の風景を描き出した作品で、ジャンルを問わずこうした登場人物は多くなってきている訳だが、それはEU加盟によってヨーロッパ間における移住が容易になったという背景も多分にあるのだろう。

少し話題が脇に逸れたので、そろそろ本筋に戻っていこう。物語全体にとり憑く不穏な影はマラとリリの関係性が深まるにつれて加速度的に色濃くなる。ゼニデ監督がその雰囲気を綿密に高めていく最中、2人それぞれに身体的/精神的な形で蟠る“子供”に対する思いが、スクリーンの裏側で蠢く何かを活性化させていくような感覚が濃厚さを増していくのだ。その手捌きは例えば「複製された男」ドゥニ・ヴィルヌーヴ「ネイバリング・サウンズ」クレベール・メンドンサ・フィーリョなど世界の最先端にある映画作家たちの系譜に位置する物とも言えるだろう。

この雰囲気を支えるのが主役を演じる2人の俳優だ。まずリリを演じるエレナ・リーヴェンソン、彼女はハル・ハートリーの諸作でお馴染みだが、最近はカナダの鬼才ガイ・マディンの作品や最近ブログでも紹介した「手をなくした娘」などのフランス映画に出演するなど世界を股にかけ活躍している。実はリーヴェンソン、ブカレストの出身(14歳でアメリカに移住)でルーマニア語は流暢なのだが、この境遇が今作の設定に更なる現実味を与えている。しかし彼女を喰う存在感を誇るのがマラを演じるDorotheea Petreだ。ゼニデ監督の長編デビュー作“Ryna”でも主演を果たしている故にコンビネーションは抜群で、孤独に虐げられながらも底の知れない聖性を宿した女性を巧みに演じきる。

そんな彼女の存在感が今作にキリスト教的隠喩という最後のピースを嵌め込んでいく。今作はいわばキリスト教における受難劇、処女懐胎という奇跡が訪れた女性が様々な困難に見舞われるという物語の常道を進んでいく。それでもルーマニアに広がる凄絶なる美、地を這いずり続ける泥の存在、画面の裏側に潜む禍々しい何か、こういった要素の数々が受難劇を不穏なまでに複層的な物語へとこの作品を高めていく。そうして「テキールの奇跡」はその題名に相応しい驚きと静かなる震えを私たちに語るのだ。

参考文献
https://pro.festivalscope.com/director/zenide-ruxandra(監督プロフィール)
https://eefb.org/archive/august-2011/interview-with-ruxandra-zenide/(監督インタビュー)

ルーマニア映画界を旅する
その1 Corneliu Porumboiu & "A fost sau n-a fost?"/1989年12月22日、あなたは何をしていた?
その2 Radu Jude & "Aferim!"/ルーマニア、差別の歴史をめぐる旅
その3 Corneliu Porumboiu & "Când se lasă seara peste Bucureşti sau Metabolism"/監督と女優、虚構と真実
その4 Corneliu Porumboiu &"Comoara"/ルーマニア、お宝探して掘れよ掘れ掘れ
その5 Andrei Ujică&"Autobiografia lui Nicolae Ceausescu"/チャウシェスクとは一体何者だったのか?
その6 イリンカ・カルガレアヌ&「チャック・ノリスVS共産主義」/チャック・ノリスはルーマニアを救う!
その7 トゥドール・クリスチャン・ジュルギウ&「日本からの贈り物」/父と息子、ルーマニアと日本
その8 クリスティ・プイウ&"Marfa şi Banii"/ルーマニアの新たなる波、その起源
その9 クリスティ・プイウ&「ラザレスク氏の最期」/それは命の終りであり、世界の終りであり
その10 ラドゥー・ムンテアン&"Hîrtia va fi albastrã"/革命前夜、闇の中で踏み躙られる者たち
その11 ラドゥー・ムンテアン&"Boogie"/大人になれない、子供でもいられない
その12 ラドゥー・ムンテアン&「不倫期限」/クリスマスの後、繋がりの終り
その13 クリスティ・プイウ&"Aurora"/ある平凡な殺人者についての記録
その14 Radu Jude&"Toată lumea din familia noastră"/黙って俺に娘を渡しやがれ!
その15 Paul Negoescu&"O lună în Thailandă"/今の幸せと、ありえたかもしれない幸せと
その16 Paul Negoescu&"Două lozuri"/町が朽ち お金は無くなり 年も取り
その17 Lucian Pintilie&"Duminică la ora 6"/忌まわしき40年代、来たるべき60年代
その18 Mircea Daneliuc&"Croaziera"/若者たちよ、ドナウ川で輝け!
その19 Lucian Pintilie&"Reconstituirea"/アクション、何で俺を殴ったんだよぉ、アクション、何で俺を……
その20 Lucian Pintilie&"De ce trag clopotele, Mitică?"/死と生、対話と祝祭
その21 Lucian Pintilie&"Balanța"/ああ、狂騒と不条理のチャウシェスク時代よ
その22 Ion Popescu-Gopo&"S-a furat o bombă"/ルーマニアにも核の恐怖がやってきた!
その23 Lucian Pintilie&"O vară de neuitat"/あの美しかった夏、踏みにじられた夏
その24 Lucian Pintilie&"Prea târziu"/石炭に薄汚れ 黒く染まり 闇に墜ちる
その25 Lucian Pintilie&"Terminus paradis"/狂騒の愛がルーマニアを駆ける
その26 Lucian Pintilie&"Dupa-amiaza unui torţionar"/晴れ渡る午後、ある拷問者の告白
その27 Lucian Pintilie&"Niki Ardelean, colonel în rezelva"/ああ、懐かしき社会主義の栄光よ
その28 Sebastian Mihăilescu&"Apartament interbelic, în zona superbă, ultra-centrală"/ルーマニアと日本、奇妙な交わり
その29 ミルチャ・ダネリュク&"Cursa"/ルーマニア、炭坑街に降る雨よ

私の好きな監督・俳優シリーズ
その151 クレベール・メンドーサ・フィーリョ&「ネイバリング・サウンズ」/ブラジル、見えない恐怖が鼓膜を震わす
その152 Tali Shalom Ezer&"Princess"/ママと彼女の愛する人、私と私に似た少年
その153 Katrin Gebbe&"Tore Tanzt"/信仰を盾として悪しきを超克せよ
その154 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その155 Jazmín López&"Leones"/アルゼンチン、魂の群れは緑の聖域をさまよう
その156 Noah Buschel&"Bringing Rain"/米インディー映画界、孤高の禅僧
その157 Noah Buschel&"Neal Cassady"/ビート・ジェネレーションの栄光と挫折
その158 トゥドール・クリスチャン・ジュルギウ&「日本からの贈り物」/父と息子、ルーマニアと日本
その159 Noah Buschel&"The Missing Person"/彼らは9月11日の影に消え
その160 クリスティ・プイウ&"Marfa şi Banii"/ルーマニアの新たなる波、その起源
その161 ラドゥー・ムンテアン&"Hîrtia va fi albastrã"/革命前夜、闇の中で踏み躙られる者たち
その162 Noah Buschel&"Sparrows Dance"/引きこもってるのは気がラクだけれど……
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その197 クレベール・メンドンサ・フィリオ&「アクエリアス」/あの暖かな記憶と、この老いゆく身体と共に
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その225 Jérôme Reybaud&"Jours de France"/われらがGrindr世代のフランスよ
その226 Sebastian Mihăilescu&"Apartament interbelic, în zona superbă, ultra-centrală"/ルーマニアと日本、奇妙な交わり
その227 パス・エンシナ&"Ejercicios de memoria"/パラグアイ、この忌まわしき記憶をどう語ればいい?
その228 アリス・ロウ&"Prevenge"/私の赤ちゃんがクソ共をブチ殺せと囁いてる
その229 マッティ・ドゥ&"Dearest Sister"/ラオス、横たわる富と恐怖の溝
その230 アンゲラ・シャーネレク&"Orly"/流れゆく時に、一瞬の輝きを
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その232 Asaph Polonsky&"One Week and a Day"/イスラエル、哀しみと真心のマリファナ
その233 Syllas Tzoumerkas&"A blast"/ギリシャ、激発へと至る怒り
その234 Ektoras Lygizos&"Boy eating the bird's food"/日常という名の奇妙なる身体性
その235 Eloy Domínguez Serén&"Ingen ko på isen"/スウェーデン、僕の生きる場所
その236 Emmanuel Gras&"Makala"/コンゴ、夢のために歩き続けて
その237 ベロニカ・リナス&「ドッグ・レディ」/そして、犬になる