「『スラッシャー映画、このブチ殺し方がスゴい!』の反響が大きくて、『スキャナーズ』のマイケル・アイアンサイドも斯くやという程に震え戦いている」
「閲覧数がいつもの70倍に跳ね上がってましたもんね」
「いやはや、本当にありがたいことだ。
これを期に『13日の金曜日』『ローズマリー』などA級スラッシャーから、『ブラッド・カルト/悪魔の殺人集団』『猟奇!惨殺魔/ザ・ミューティレイター』といたZ級スラッシャーまで、多種多様なるスラッシャー映画に、一般の映画ファンの方々が興味を持って戴けたとしたら、Z級映画愛好家としてこれ程嬉しいことはない
それでは早速、スラッシャー映画このブチ殺し方がヒドい!の発表だ。まずは第5位!
『鮮血!悪夢の卒業式』から、ちょっと何がどうしてそうなったのか良く分からない死だ。
何か、刺さるんだなぁ……」
「?????これは、マットに針が仕込んであったということですか?????」
「それが良く分からない。
最初からマットにトゲトゲが載せてあったのなら、全力で飛びに行った彼がバカであるし、そもそもどうしてそんな所にトゲ………トゲか……?と衝撃より疑問が先行してしまった」
「マットに体重がかかったら、仕込んだトゲが突き刺さるように出来ていたんですかね……」
「正直ブチ殺しカタルシスが全く得られないので、もっと清々しくブチ殺して欲しいと思う」
「まあ地味だし、良く分からないし、これは確かにヒドいですね……」
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「さて、第4位だ!
『プロムナイト』から、長い!!!だ」
「長いですね」
「ああ、長すぎる」
「………本当に長いですね」
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「そして第3位だ!
『エンゼルターゲット』から、槍投げ殺人事件だ!」
「うわぁ、前にも取り上げたこのヘチョヘチョジャベリンですか………これは確かに酷いですよね……」
「以前の記事では徹底擁護の姿勢を取ったが、最初に見たときはヒドすぎるだろコレwwwwwwwwと草を生やしまくらざるを得なかった覚えがある」
「だってコレ、ペニョヘローーーーーーーーーン!でグサッて!!!
ペニョヘローーーーーーーーーーーーーン!でグサって!!!!!」
「このペニョヘローーンさは、ペニョヘローーーーン以外の何物でもないヘニョペロ加減だな」
「効果音とゴウゥッ!という、わざとらしさ横溢の呻き声でお茶を濁している、この小賢しさがドイヒーです」
「この他にもこの映画での酷い殺り様を特集しているので、良ければ拙文をお読みいただけると嬉しい、とても嬉しい!」
ハイパーオリンピック発売と同年公開「エンゼルターゲット」その1
http://d.hatena.ne.jp/razzmatazzrazzledazzle/20130212/1360658409
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「さて第2位だ!
『肉欲のオーディション/引き裂かれたヒロインたち』から、何かが滑ってやってくる!だ」
「ええぇ………途中まで良かったのに……
雪に埋没した人形の悍ましさ、“殺意”の予感を臨界点にまで高めたその果てに現れた、殺人鬼スゴいダサい……」
「演出の巧みさや、あの老婆のマスクの因縁、殺意の背景など、金儲けのために製作された凡百のスラッシャー映画とは一線を画す名作スラッシャーがこの作品なんだが……」
「邦題が下衆エロの極みですし、更にこの老婆スケーター来られるとちょっとそうは……」
「そう、何かオカシいんだ。鎌を持ってヒロインを全力で殺りに来る、スケートが結構上手い殺人老婆マスク」
「ああアレですね。個性こじらせちゃっているんですね。オンリーワンの殺人鬼目指し気味ですね」
「そんな個性こじらせ意識高い系殺人鬼が第2位というわけだ」
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「ということでとうとう堂々の第1位の発表だ!
なのだが、ここに入れたい作品がどうしても絞れなかった故に、同率第1位を二つ紹介する。どちらもスラッシャー映画の俗悪ぶりを極めた本当にドイヒーな殺り方であると、読者には心がけてもらいたい。
まず一つ、これは妊娠している方は観ない方が良いと思われる。イタリアパチモン映画の旗手ジョー・ダマトは『猟奇!喰人鬼の島』からのワンシーンである」
「うわぁぁぁああぁあぁ………胎児をお召し上がりになられてらっしゃるぅ………」
「イタリアの見世物根性の集大成と言っても過言ではないだろう!」
「……確かにこんなこと他の国では思い浮かぼうとも、まさか実行に踏み切るとは思えません……」
「しかし、やる。イタリア人はやる。
近くのスーパーで買ってきた鳥のムネ肉400g392円(消費税込み)みたいな生肉――実際はウサギの肉らしいが――を使って、こんな人道に悖るような悍ましいブチ殺しをやってのけるんだ。しかもこの後、喰人鬼は自分の腹蔵より露わになったはらわたをモシャモシャ貪りながら絶命する……」
「ウェェェエェエ……何て度し難い………」
「俗悪に生き、俗悪に死す。それがイタリア残虐映画界だったのだ。その狂った過去を追体験するに『猟奇!喰人鬼の島』ひいてはジョー・ダマト作品は正にうってつけであろう。そしてスラッシャー映画の更なる深淵を行くならば、この映画を地獄門として鑑賞することをオススメしよう」
「はぁ……イタリアは、ヴィスコンティやズルリーニ、フェリーニにデシーカ達が成し遂げたネオリアリズモの時代が終わった後にスゴいことになっていったのですね……」
「莫迦を言ってはいけない!イタリアはむしろコチラ側、色々な意味でヒトを楽しませる娯楽作大国だった!
ヘラクレスやゴリアテなどのイタリアマッスル史劇に始まり、
リカルド・フレーダやアントニオ・マルゲリティによるイタリアホラー&SFの黎明、
ヤコッペティに始まるモンド映画攻勢、セルジオ・レオーネ&コルブッチらのマカロニ・ウェスタン、
更にセルジオ・マルティーノやマッシモ・ダラマーノのジャーロ作品、
バーヴァ→アルジェント→ソアヴィというイタリアン・ホラーの系譜、
そしてオヴィディオ・G・アソニティスを頭領としてルイジ・コッツィ、ウンベルト・レンツィ、ルッジェロ・デオダート、ジョー・ダマトというパクリ映画職人の大隆盛………
今イタリア娯楽映画界は衰退の一途を辿っている。しかしだからと言って、彼らの偉業を過去の遺物として無視していいというのだろうか?イタリア映画を知りたいならば、ネオレアリズモだけでなく、彼らの作品も知らなくてはならない。
私は微力ながらZ級映画という観点から、この先彼らの作品を取り上げて光を当てていきたいと思っている!!!
…………と胎児の踊り食いから少し脱線しすぎたようだ……
さてそれでは、もう一つの第一位の発表だ!それは――
『ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソー』から、思春期からエロを奪ってはいけない!だ。
私はこの映画が大好きだ!本当に大好きなんだ!!!
ああ、幸せだなぁ、キミにこの映画を紹介出来る時が、ぼかぁ一番幸せなんだ………」
「うぇぇええ……こんな映画紹介されても困るのですけど……
あの、これはエロガキがヌードパズルを邪魔してきた母親にブチ切れて斧でブチ殺しにした、という……?」
「だいぶ前に流行った『キレる十代』もビックリの突発的ブチ殺し加減だな」
「しかもちゃっかり罪を逃れて、エーンエーンと警察に助けてもらっちゃってますからね、エロガキ」
「そう、この映画はその変態殺人鬼が40年後、チェーンソーで女体をバラバラにしまくるというスラッシャーであるからしてゲロ以下の俗悪臭がプンプンするだろう!」
「ええ、これはもうドイヒーです……」
「そして、この映画の代表的な名場面をもう一つ御覧いただこう」
「はぁ…………??????」
「ヒロインがカンフー・プロフェッサーに襲われるシーンだ」
「いやいやいやいや!それは解りますけれど、もっと何か根本の、何か……」
「ヒロインが酔っぱらったカンフー・プロフェッサーに襲われるシーンだ」
「えっ、犯人はチェーンソー???使うのですよね………?!?!??」
「そうだ、だから彼は犯人ではない、彼はカンフー・プロフェッサーなんだ」
「カンフー・プロフェッサーって物語に関係するのですか?」
「カンフー・プロフェッサーは忙しい故に、出演時間は1分だ」
「それは今のシーンにしか、カンフー・プロフェッサーは登場しないということですよね?」
「カンフー・プロフェッサーは忙しいんだ」
「何が何だかさっぱり分からない……Z級映画の恐ろしさに私はまたも震わされています……」
「正直見たくなったろう?」
「まあ、ちょっとだけ……」
「安心して欲しい、日本でもDVDが発売されている!君も思う存分このスラッシャー映画映画を体感できるぞ!
廃盤ゆえ、頑張って中古屋を駆け回って探してもらいたい!
そして今週末は『ローズマリー』&『ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソー』の二本立てで、血みどろのウィークエンドを楽しんでもらえれば幸いだ!
それではスラッシャー映画の再評価を願って、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……
こんな映画の脚本を書いたのも、実はあのジョー・ダマトなのです……