2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧
舞台の中心に立つ一人の若者、彼の周りで動き回るのは黄金の毛並みを閃かせるライオンと、勇壮な縞模様を誇るトラだ。そんな恐ろしい猛獣たちに、しかし若者はたじろくことがない。彼は鞭を振るい猛獣たちを操って、観客に驚くべき光景の数々を見せてくれる……
群雄割拠のポルトガル映画界、このブログでも多くの映画作家を紹介してきたがまだまだ若き才能は存在し、その中でも特に紹介したいと思っている作家が2人ほどいる。まず1人がLeonor Telesだ。彼女の短編"Balada de Um Batráquio"はポルトガルに住むロマに対…
現在、絶賛サンダンス映画祭が開催中であるが、前々からこの映画祭にはこんな批判が投げ掛けられている。インディー映画の祭典だった筈なのに、いつの間にかメジャーの踏み台になってはいないかと。確かに「フルートベール駅で」のライアン・クーグラーや「…
さて、今年も米インディー映画の祭典であるサンダンス映画祭が開催されているが、去年の映画祭において話題になったトピックが1つあった。それはクリスティーン・チャバックという女性を描いた映画が二作品同時に公開されたことだ。1974年、生放送中に謎の拳…
映画作家たちが子供たちの眼を通じて世界を見据える時、そこには言い知れぬ剥き出しの感情が立ち現れてくる。例えば「ブラッドハウス/恐怖がつきささる」という作品がある、父親を亡くし孤独の身になった主人公とその姉が引き取り先の祖父母の家で経験する恐…
テキサスタワー銃乱射事件、この痛ましい事件によって31名の負傷者と共に17名の尊い命が失われることになった。そしてアメリカの忌まわしい歴史として組み込まれた事件は何本もの映画、例えばカート・ラッセルが狙撃犯を演じたTV映画「パニック・イン・テキ…
いわゆるスローシネマと呼ばれる映画群がある。物語を捉えるよりもまず、目の前に広がる時をカメラに焼きつけることを指向し、その永遠にまで引き伸ばされた時間の中にこそ物語を見出だすという試みを持った映画を指している(と、個人的な印象ではそう思って…