ドイツ映画
ドイツとアフリカ大陸の間には負の現代史が横たわっている。欧米列強の1国として領土の拡大を目指し、ドイツは1884年から1915年に南西アフリカを植民地支配していた。ここに住んでいたヘレロ、ナマの両民族が1904年に反乱を起こすが“民族の絶滅”を旨として独…
ルーマニア人俳優は、ルーマニア以外でも世界の映画界で活躍している。ハリウッドで大活躍中のセバスチャン・スタンなどはその代表例だろう。他にもドイツのアレクサンドラ・マリア・ララなどがいるが、今同国でも著しく活躍の幅を広げている人物がいる、そ…
ということで"2020年代、未来の巨匠との対話"のコーナーである。今回インタビューした新人作家はドイツ映画界から現れた新鋭Hannah Dörr ハンナ・デールだ。彼女のデビュー長編"Das Massaker von Anröchte"は、アンレヒテというドイツの地方都市で巻き起こ…
小児性愛は欧米においては絶対的なタブーであるだろう。それ故にこれを描きだした芸術作品というのはあまりに少ないし、これから新しい作品が作られることもほとんどないだろう。そんな中で、ドイツからこの社会的タブーを描きだそうとする映画が現れた。そ…
今作の主人公であるカーステン(Sebastian Hülk)は前途有望な青年だ。彼はドイツの小さな町に住んでいるが、両親はこの町の権力者であるゆえに、多大なる恩恵を受けている。献身的な恋人ラウラ(Julia Jentsch)にも恵まれており、彼は仕事も私生活も順風満帆だ…
30歳という年齢は若くもなければ老いてもいない微妙な年代と言えるだろう。巷ではこの微妙さに翻弄される人々の危機的な状況を“クォーターライフ・クライシス”と言うそうだ。今回紹介するブルガリア映画界の新星Simona Kostovaによるデビュー長編“Dreissig”…
EUの発展によってますますヨーロッパの境界が緩やかになりながらも、いやだからこそと言うべきか西欧と東欧という地域の交わりを描き出そうとする作品が増えてきている。近年で最も話題になったのはマーレン・アーデ監督作「ありがとう、トニ・エルドマン」…
さて、久しぶりの文芸エロ映画である。去年は序盤からセルビアの「インモラル・ガールズ〜秘密と嘘」やノルウェーの「妹の体温」チリの「ダニエラ 17歳の本能」など粒揃いだったが、今年の文芸エロ映画はかなり不作だ。1月の「モデル〜欲望のランウェイ」は1…
空港、絶え間なく人々が行き交う場所、様々な人生が交錯する場所。ここから新たな場所へと飛びたつ者がいれば、遥かな旅の末にここへと戻ってくる者がいる。そんな特別な場所ゆえに、空港を舞台とした作品はスティーヴン・スピルバーグの「ターミナル」や「…
以前、このブログでディートリッヒ・ブルッゲマンと彼の作品「十字架の道行き」を紹介した。厳格なキリスト教コミュニティで生まれ育った少女が、生まれつき言葉を喋れない弟のためにキリストへの信仰を貫こうとした末に起こる悲劇をワンシーン・ワンカット…
もしあなたが近い将来映画界で光輝く才能を発掘したいというなら、一番の近道はYoutubeやVimeoで配信されているWebシリーズを片っ端から見まくることだ。無料配信ですぐ観れるからだとか、連作短編だから見易いだとか、何処に行かずともパソコンの前で世界中…
いわゆるカミング・オブ・エイジ映画の中でも、思春期の少女を主人公にした作品で今年最も話題になった作品は"The Diary of A Teenage Girl"だろう。高校生で現役の漫画家でもある少女が母親の恋人とセックスしてしまったことから起こる青春のアレコレを描き…
走る者を描いた作品であなたの好きな映画はなんだろうか。「炎のランナー」「長距離走者の孤独」「誓い」「駆ける少年」「リトル・ランナー」……私が好きなのは、1つがナ・ホンジン「哀しき獣」だ。ハ・ジョンウ演じる主人公が妻を追い求めて、暴力に追いたて…
「神は死んだのか?」「サン・オブ・ゴッド」「天国は本当にある」……何故だか去年から妙にキリスト教啓蒙映画の公開が増えてきている。更にはニコラス・ケイジ主演の「レフト・ビハインド」やカリコレで上映された「ザ・リメイニング」などのパニック映画の…
さて、あなたは自身の人生をどれほどお尻の穴、つまりアナルに費やしたことがあるだろうか。いや、私は別に今までの人生で何回、排泄行為をおこなったかを聞いている訳ではない、あなたはどのくらいの時間、アナルに思いを馳せたかを聞いているのだ。それと…
全くもって突然だが、ここで超アートハウス指向でラインナップがキレまくってる配信サイトFandor、そのサイトのスタッフであるKevin B. Leeが挙げた、2014年長編デビュー作ベストを観てみよう(全て題名から予告に飛べます)10位"At Li Layla" (イスラエル)監…
2001年ドイツにおいて“生活パートナーシップ法”が制定されたことによって、同性カップルに婚姻に準じた権利が認められることになった。それが同性カップルに異性カップルと同等の権利が認められたことを意味するかと言えば、そうではない。あくまで婚姻に準…