2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧
今、未曽有の経済危機がスペインを襲っている。特に若者への打撃は酷く、2016年時点で25歳以下の失業率が約50%に近づくなどかなり危うい水準にある。そんな状況で故郷を出て、他のEU諸国へと出稼ぎに行く若者たちの数が近年多くなってきている。今回はそんな…
ヨルゴス・ランティモス監督作「籠の中の乙女」において、観客の度肝を抜くシーンは余りにも多すぎて枚挙に遑がないが、特に脳髄をブチ震わされた場面を1つ挙げるとするなら、私は終盤での奇妙過ぎるダンスを選びたい。ギターの音色に合わせて最初は割と普通…
さて、いわゆる“ギリシャの奇妙なる波”はこの国が直面した経済危機に端を発して巻き起こった潮流と言うべきものだ。危機的状況において自分たちはどう映画を作れば良いのか?という苦悩の元に映画作家たちは団結し、低予算で勝負するために全くもって奇妙な…
主人公たちがマリファナを吸いまくってマリファナで笑わせまくってマリファナって最高!と大団円に至る、いわゆるストーナーコメディというジャンルがある。「チーチとジョン〜スモーキング大作戦」や「ハロルド&クマール」シリーズなんかがその例だが、私と…
前回、ルチアン・ピンティリエの“Terminus paradis”をレビューしたが(という書き出しから、この記事が大分前に書かれたことを察して欲しい)、その記事の中で今作は20年越しにピンティリエがルーマニアで作り上げたアメリカン・ニューウェーブの末裔的な作品…
さて、久しぶりの文芸エロ映画である。去年は序盤からセルビアの「インモラル・ガールズ〜秘密と嘘」やノルウェーの「妹の体温」チリの「ダニエラ 17歳の本能」など粒揃いだったが、今年の文芸エロ映画はかなり不作だ。1月の「モデル〜欲望のランウェイ」は1…
サフディ兄弟&"The Ralph Handel Story”/ニューヨーク、根無し草たちの孤独 サフディ兄弟&"The Pleasure of Being Robbed"/ニューヨーク、路傍を駆け抜ける詩 サフディ兄弟のプロフィール及び前作についてはこちら参照。時々、映画を観ている時に“○○に捧ぐ…
ベン・ウィートリーの「フリーファイヤー」を観た。いやいや予想を越える、というか予想外な方向で素晴らしかった。私が思うに、この映画は今世紀最低の銃撃戦映画であり、今世紀最高のアンチ銃撃戦映画であり、今世紀最高の“銃はとても危ないから使っちゃい…
60年代のブルガリア、他の国がそうであったように共産主義国家であったこの国にも、ビートルズなどのロックミュージックや性の解放がもたらされるなどして、自由の気風が高まりを見せていた。だが今作の舞台となる寄宿学校はそれとは真逆の方向を行っていた…
2007年、ジョシュ・サフディが長編作品の計画を立てていた頃、彼らは友人の映画作家Casey Neistatを通じてある人物と出会うこととなる。実業家であるその人物アンディ・スペードは映画作家に自身の会社の広告を手掛けてもらう代わりに、映画製作のサポートを…
2017年も1/3が過ぎたが、それが意味するのは世界最大の映画祭であるカンヌ国際映画祭が開催されるということだ。コンペティション部門にはトッド・ヘインズからポン・ジュノ、ノア・ボーンバックにミヒャエル・ハネケなどなど錚々たる映画作家が揃っているが…
さて、マンブルコア/マンブルゴアというムーブメントは配信サイトの発達によって支えられてきたと以前にも書いたが、その中心となる存在がネットフリックスだった。まずデュプラス兄弟のデビュー長編“The Puffy Chair”(紹介記事)の配給権をまだレンタル/配給…
空港、絶え間なく人々が行き交う場所、様々な人生が交錯する場所。ここから新たな場所へと飛びたつ者がいれば、遥かな旅の末にここへと戻ってくる者がいる。そんな特別な場所ゆえに、空港を舞台とした作品はスティーヴン・スピルバーグの「ターミナル」や「…