鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済藤鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

Samir Karahoda&"Pe vand"/コソボ、生きられている建築

コソボ映画界がアツいというのは毎度のことこの鉄腸マガジンで言ってきているだろう。が、色々とコソボの最新映画を紹介してきたが、実を言えば私がコソボ映画に嵌ったキッカケの人物を紹介していなかった。そんな中、彼が新作映画を作った訳で、とうとう紹…

ギリシャのバルコニーから見えるもの~Interview with Aris Kaplanidis & Elias Roumeliotis

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Andrija Mugoša&"Praskozorje"/モンテネグロ、そこに在る孤独

今、個人的にマジにモンテネグロがアツい。以前からモンテネグロには注目しており、この鉄腸マガジンでも何作かレビューを書いたり、モンテネグロの映画批評家にインタビューを行っていたりはした。そしてつい先日、Svetlana Kana Radević スヴェトラーナ・…

Núria Frigola&"El canto de las mariposas"/ウイトトの血と白鷺の記憶

ペルーに住むインディオに、ウイトト人と呼ばれる人々がいる。ヨーロッパ人入植者が来る前まで彼らは平穏な暮らしを送っていたが、20世紀初めより彼らは入植者によってゴム栽培の労働力として搾取され、その人口は劇的に減少することになる。それでも独自の…

都市計画と不動産、建築とオブジェクト~「イン・ザ・ハイツ」&「映画クレヨンしんちゃん謎メキ!花の天カス学園」

最近、建築学に嵌まっており、建築や都市計画という面から映画を観たりしているのだが、そういった意味でかなりしっくり来る映画に映画館で2本連続出会った。「イン・ザ・ハイツ」と「映画クレヨンしんちゃん謎メキ!花の天カス学園」だ。まず「イン・ザ・ハイ…

セイレーンたちの響き~Interview with Jonathan Davies

さてさて"2020年代、未来の巨匠との対話"のお時間である。今回インタビューしたのはアメリカ実験映画界に颯爽と現れた新鋭監督Jonathan Davies ジョナサン・デイヴィスだ。彼のデビュー長編"Topology of Sirens"は正に驚きの1作だ。亡くなった叔母の家に引っ…

モンテネグロ、黒い山の麓の孤独~Interview with Andrija Mugoša

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

極私的ユーゴスラビア映画50選!

Twitterで"ユーゴスラビア映画とかになると、もう何を見ていいかわからないな"という呟きを見かけた。映画批評家がそう途方に暮れるくらいなのだから、普通の映画好きはもう何が何だかという感じだろう。なので1つくらいユーゴスラビア映画を観るための指針…

善き人であらんとする意志「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」

“何で裸足なの?”と「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」を観た人々が言っているのを、驚くほど頻繁にTwitter上で見た。もしこれを監督に実際尋ねたとしたなら、観客が理解できるにしろできないにしろ、彼は即答するだろうという妙な確信がある。そういう…

暴力映画、暴力についての映画「Mr. ノーバディ」

いくら理由をつけたとしても、結局、究極的にはただ暴力が振るいたいだけ。それでも知りたい、なぜ自分は暴力に惹かれるのか、なぜ社会に暴力は存るのか。「Mr. ノーバディ」はある映画監督が暴力について理解しようと試みる、その終ることなき過程なのだと私…

"他者"とともに生きるということ~Interview with Marieke Elzerman

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

ジャック・ニコルソン&"Drive, He Said"/アメリカ、70年代の始まり

さて、Jack Nicholson ジャック・ニコルソンである。俳優としての彼を知らない映画好きはいないだろうが、では作り手としての彼はどうだろう。Roger Corman ロジャー・コーマンの下で多くの作品に出演していた彼は60年代から脚本も書き始めるのだが、ここに…

ヘンリー・ジャグロム&"A Safe Place"/あの時、私は空を飛んでいた……

"天才? 詐欺師? 誇大妄想狂? 異端者? ある者たちからは映画の天才、フェミニスト、アメリカ映画界の純なる異端者と呼ばれる一方、ある者たちからは覗き魔で誇大妄想狂の'世界サイテーの監督'と侮られる。そんな中でこの男は執拗に、執拗なまでに人生と芸…

Ernar Nurgaliev&"Sweetie, You Won't Believe It"/カザフスタン、もっと血みどろになってけ!

現在、カザフスタン映画界がアツいというのはこの鉄腸マガジンで何度も書いている。この前もまだ詳細は書けないのだが、カザフスタンの友人から"新作ができたから、意見を聞きたい"と作品を送られ、これがまた素晴らしかった。今作が映画祭でプレミアを迎え…

リチャード・フライシャー再考その2

ということでリチャード・フライシャー作品を観続けている。1984年制作の「キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2」/ "Conan the Destroyer"にはマジで感動した。いや、絶対午後のロードショーで観てたとは思うんだけど、こんなにも豊穣な作品だったのか…

リチャード・フライシャー再考その1

リチャード・フライシャー、あまり興味がない。ぶっちゃけ日本で過大評価されてる気しかしない。それでアメリカ含め海外で過小評価されていると被害者意識を抱いてる感じだ。個人的に何本か観ているが、あまり思い入れはない。ミア・ファローの「見えない恐…

Alvaro Gurrea&"Mbah jhiwo"/インドネシア、ウシン人たちの祈り

インドネシアの東ジャワ州にはウシン人という少数民族が住んでいる。元々はヒンドゥー教徒の国で会ったブランバンガン王国の住民だったが、18世紀に東インド会社によってイスラム教に改宗させられ、今はジャワ島の最東端であるバニュワンギ県に居住している…

Norika Sefa&"Në kërkim të Venerës"/コソボ、解放を求める少女たち

私は2020年の映画界を制する国の1つはコソボだと常々言っているが、2021年は正にコソボ映画界が大躍進を果たしそうだ。まず年間の長編制作数が5本ほどのこの国から既に1作がサンダンス映画祭、1作がロッテルダム映画祭に選出されるという快挙を成し遂げた。…

アゼルバイジャン、列車を待つ男~Interview with Şövkət Fikrətqızı

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

クロアチア映画史の灼熱~Interview with Marko Njegić

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Iuli Gerbase&"A nuvem rosa"/コロナ禍の時代、10年後20年後

さて、世界中の誰もがこのコロナ禍によって未曽有の状況に追いこまれている。容易く人とは会えなくなり、部屋に閉じこもらざるを得ない閉塞した状況は一体いつまで続くのだろうか。そんな苦悩を抱えている人々は今回紹介する映画を観るべきではないかもしれ…

オランダ映画界、謎のエロ伝道師「処女シルビア・クリステル/初体験」

最近はそうでもなかったが、前はこの鉄腸マガジンで"文芸エロ映画"というジャンルを紹介していた。TSUATAYAなどのレンタル店にある外国映画の棚、その端に煽情的なタイトルの、ポルノではないけども限りなくポルノに近そうな題名の映画が多々置いてあること…

Marija Stonytė&"Gentle Soldiers"/リトアニア、女性兵士たちが見据える未来

ウクライナ・クリミア侵攻をきっかけとして、旧ソ連諸国においてロシアへの危機感が再燃している。その中の1国であるリトアニアは脅威に備えて徴兵制を設置、若い男性たちに兵役を課している。そして義務ではないが、少数の女性たちが志願兵として兵役を行っ…

Chloé Mazlo&"Sous le ciel d'Alice"/レバノン、この国を愛すること

レバノン映画はいつであってもその激動の歴史を見据え、傑作を生みだしてきた。例えばMaroun Bagdadi マルーン・バグダディは"Les petites guerres"や"Hors la vie"などレバノン内戦をテーマとした作品を作り続けたし、日本でも著名なNadine Labaki ナディー…

何物も心の外には存在しない~Interview with Noah Buschel

Noah Buschel&"Bringing Rain"/米インディー映画界、孤高の禅僧 Noah Buschel&"Neal Cassady"/ビート・ジェネレーションの栄光と挫折 Noah Buschel&"The Missing Person"/彼らは9月11日の影に消え Noah Buschel&"Sparrows Dance"/引きこもってるのは気が…

アゼルバイジャン、ある1人の女性~Interview with Tahmina Rafaella

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

HuyungとNawi Ismailの間に:モンタージュ~Written by Umi Lestari

想像してみてほしい。あなたは探偵で、最小限の情報を頼りにある依頼の証拠を探している。そして突然、素朴だが重要な証拠を見つける。まあ……これが探偵ごっこというものだ。研究の際、私はいつもこういうことをしている。私たちが触れられるものから周囲の…

彼女の息子によるCristiana Nicolae~Written by Radu Nicolae

いつものようにルーマニア映画について調べていた時、Cristiana Nicolae クリスティアナ・ニコラエを見つけた。彼女は共産主義時代のルーマニアで活躍した数少ない女性監督でありながら、例えばルーマニア映画界のアントニオーニと呼ばれたMalvina Urșianu …

Critics and Filmmakers Poll 2020 in Z-SQUAD!!!!!

去年の今頃、焼酎を飲みながら何かのスロヴェニア映画を観ていた。確かこの国1の巨匠Boštjan Hladnik ボシュチャン・フラドニクの作品だったが、正確にどれだか思い出せない。でもこの時思ったのだ。スロヴェニア映画って全然知らないな、スロヴェニア映画史…

Șamil Əliyev&"Etiraf"/アゼルバイジャン、狭間の歴史

アザド(Elşən Rüstəmov エルシャン・リュスタモフ)は彼の所属していたギャング集団と友人に裏切られ、無実の罪で刑務所へと収監されることになった。数年の後、彼は釈放されながらも怒りが収まることはない。アザドは復讐を果たすために、バクーという都市を…