鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済藤鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

スロヴェニア、この孤立の時代に~Interview with Maja Prelog & Blaž Murn

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Burak Çevik&"Aidiyet"/トルコ、過ぎ去りし夜に捧ぐ

最近、実録犯罪ものが流行している兆しが見える。例えばNetflixはアメリカを中心としてこの国で繰り広げられる前代未聞の犯罪をドキュメンタリー化し、世界中に配信している。だが今回紹介する作品はただの実録犯罪ものではなく、この鋳型を巧みに使い、様々…

Florenc Papas&"Derë e hapur"/アルバニア、姉妹の絆と家父長制

東欧映画は伝統的に女性が主体である語りの作品が少ない。そもそもの話、共産主義に支配されていた東側諸国では映画という芸術体系は抑圧を余儀なくされたが、その中ではマイノリティである女性にスポットライトが当てられることも少なかった。そして共産主…

José Luis Valle&"Uzi"/メキシコ、黄金時代はどこへ?

うらぶれたスパに置かれたラジオ、そこからニュースが聞こえてくる。過去のメキシコには栄光が広がっていた。しかし今ではどうだろう。記録的な暴力と殺人によって、この国は悍ましい状況へと陥ってしまった。あの黄金時代は一体どこへ行ってしまったのだろ…

Camilo Restrepo&"Los conductos"/コロンビア、その悍ましき黙示録

さて、コロンビア映画界において私が注目してきた映画作家が2人いる。まずはLaura Huertas Millánだ。彼女はフランスを拠点としながらも、コロンビアに広がる現在や過去を見据える作品を多く作ってきた。そしてもう1人がCamilo Restrepoだ。彼はコロンビアと…

君はアゼルバイジャン映画史を知っているか?~Interview with Firuza Mammadova

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Iris Elezi&"Bota"/アルバニア、世界の果てのカフェで

さて、前回アルバニア映画史を概覧する記事をこの映画誌にアップした。その執筆者であるThomas Logoreciは映画評論家であると同時に、映画作家でもある。アメリカで撮影や編集など様々な経歴を経た後、妻であるIris Eleziとともにアルバニアで監督としてデビ…

“アルバニア、その映画デザインという芸術” by Thomas Logoreci

さて、現在この鉄腸野郎では世界各国、特に東欧の映画評論家にインタビューし、日本ではあまり知られていないその国の映画史や映画批評について聞いてきた。今までにスロヴェニアの映画評論家4人に話を聞いた4本の記事を出した他、今後は北マケドニア、アル…

広大なるスロヴェニア映画史とLGBTQ~Interview with Jasmina Šepetavc

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

パキスタン、ここにある長き歴史~Interview with Hira Nabi

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

広大たるスロヴェニア映画史その3~Interview with Veronika Zakonjšek

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

家父長制、ルージュの反乱~Interview with Kostis Theodosopoulos

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Salomón Pérez&"En medio del laberinto"/ペルー、スケボー少年たちの青春

さて、ペルーである。アンデス山脈の険しさ、リャマの可愛さ、日系人の多さなどなど日本人にも親しみ深い国の1つかもしれない。だがこの国の映画を観た人は少ないかもしれない。古い映画だとアルマンド・ロブレス・ゴドイ監督の「みどりの壁」が、新しい映画…

Davit Pirtskhalava&"Sashleli"/ジョージア、現実を映す詩情

さて、前に2020年代、期待の新鋭映画監督100!という記事を執筆した。この記事は未だ短編しか撮っていない、いわば未来の巨匠を特集した記事であり、これを書くために100本を優に越える短編を鑑賞した。そのうちに私は短編を観るのが好きになってしまった。…

Arun Karthick&"Nasir"/インド、この地に広がる脅威

今現在、インドは転換期にあると言える。インドの頂点に立つナレンドラ・モディ首相がヒンドゥー至上主義を推し進めており、反イスラムの機運がかつてないほど高まっているのである。ヒンドゥー教徒イスラム教徒間の融和が崩れ去ろうとしている今、インドに…

ルクセンブルク、兄弟の行く末~Interview with Nadia Masri

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Juan Mónaco Cagni&"Ofrenda"/映画こそが人生を祝福する

映画を観ている時、時おり映画にしかできないことはなんだろうと考えることがある。小説や演劇、絵画や彫像、芸術には様々な形態がありながらも、それを越えて映画にしかできないことは一体何かと。正直言って答えは簡単にでることはない。それでも、この映…

Sebastián Lojo&"Los fantasmas"/グアテマラ、この弱肉強食の世界

さて、今までそれほど存在感を発揮してこなかったながらも、2010年代後半から俄かにグアテマラ映画界が活気を呈している。この国の若手作家ハイロ・ブスタマンテのデビュー長編「火の山のマリア」がベルリン国際委映画祭のコンペ部門に選ばれた後、彼の後続…

スロヴェニアの豊穣たる大地を行く~Interview with Ivana Vogrinc Vidali

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Eduardo Morotó&"A Morte Habita à Noite"/ブコウスキーの魂、ブラジルへ

さて、チャールズ・ブコウスキーといえばアメリカで最も有名な無頼小説家だ。彼の破天荒な作品群や人生は幾度となく映画化されてきた。例えばバーベット・シュローダーの「バーフライ」やマルコ・フェレーリの「ありきたりの狂気の物語」などである。だが202…

Maria Clara Escobar&"Desterro"/ブラジル、彼女の黙示録

ボルソナーロ政権発足以後、ブラジル映画界は危機に立たされている。現在の映画界のトップをひた走るクレベール・メンドンサ・フィーリョは映画製作を弾圧され、映画製作庁であるAncineは移転を余儀なくされた。財政サポートもいくつか潰されてしまい、映画…

Matjaž Ivanišin&"Oroslan"/生きることへの小さな祝福

さて、今私の中でスロヴェニア映画がアツい。きっかけはスロヴェニア映画界の巨匠Boštjan Hladnikの作品を観る機会があって、それでド嵌りしてしまったのである。それからスロヴェニアの映画評論家にインタビューを敢行し、スロヴェニア映画史について学んで…

Marko Đorđević&"Moj jutarnji smeh"/理解されえぬ心の彷徨

いわゆる"コミュ障"という言葉が日本語にはある。内に引きこもるばかりで他者との交流の仕方を知らず、孤独をこじらせていく悪循環に陥る人々のことだ。日本ではこの言葉がカジュアルに使われているが、実際問題この障害によって実生活に悪影響が及んでいる…

広大たるスロヴェニア映画史その2~Interview with Ana Šturm

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

広大たるスロヴェニア映画史~Interview with Petra Meterc

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Jure Pavlović&"Mater"/クロアチア、母なる大地への帰還

ユーゴ紛争が勃発してから約30年もの時が経つことになった。この頃に祖国から去らざるを得なかった若者たちも、今や中年世代となっている。そして故郷に残った親世代の人々は老いて、独りで行動することも難しくなったゆえに、彼らは自身の親を介護せざるを…

Alexander Zolotukhin&"A Russian Youth"/あの戦争は今も続いている

ロシア映画、特にソビエト時代の映画作品には戦争映画の傑作が多い。例えばロシアにおけるドイツ軍の凄惨な虐殺を描いた衝撃作「炎628」や独ソ戦の脅威に立ち向かう少年の姿を描いた「ぼくの村は戦場だった」さらにはボリス・バルネットが監督した、第1次世…

済藤鉄腸の2010年代ベスト100!!!!!

ということで、題名通りの記事。私のブログを読んでる方にはお解りの通り、あまりにも未公開映画が多すぎるので、表記は全部英語に統一してある。もう面倒臭いので、邦題があるのを知りたい方は各自でググってください。それからよくベストを選ぶ時、1監督1…

2020年代、期待の新鋭映画監督110!

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

Fabio Meira&"As duas Irenes"/イレーニ、イレーニ、イレーニ

同じ名前を持つ、そこには奇妙な絆が生まれることになる。不快さを感じるにしろ、心地よさを感じるにしろ、私たちは名前の奇妙な重力に引き込まれていくのだ。クシシュトフ・キェシロフスキ監督作「ふたりのベロニカ」など、その魔力を描き出した芸術作品は…