イラン映画
最近のイラン映画がアツい。未だにキアロスタミ、パナヒ、ファルハーディといったイラン革命以後の巨匠たちの影響は濃厚ながら、その安全地帯から這い出て、新たなるイラン映画を作ろうとする映画作家たちが現れ始めている。例えばSaeed Roustaee サイード・…
お世辞にも真剣な視聴者とは言えなかったが、未公開映画を観る間に私も「半沢直樹」のSeason 2を観ていた。先の最終回なんかはラストにおける堺雅人と香川照之の対峙場面などは男と男の意地のぶつかりあいが最高潮に達し、もはや噎せ返る官能性がマニエリス…
何事も、永遠に続くことはない。どんなに頑強に建てられた家も、どんなに密な関係性を持つ共同体も、どんなに強靭な生命力を持つ生命も。この世界に在る限り、終りを持たないものというのは存在するはずもないのである。この至極自然な、しかしいつだって目…
1978年、イランにおいて勃発したイスラム革命は西欧化や世俗化という風潮を転覆させ、今に繋がる保守的なイスラム文化を作りあげた。この革命の最中、怒りに燃える民衆たちは、革命前に活躍していた映画作家Masoud Kimiai監督作"The Deer"が上映されるCinema…
現代イラン映画と言えば、アスガー・ファルハディ作品に代表される重厚なドラマ作品だろう。イランの厳しい戒律に端を発する問題、更にそれらが呼び込む親族・友人間の軋轢、そういった要素が濃密な緊張感を以て描かれてきた。だが今回紹介する作品はそうい…
さて、60年代から70年代にかけては骨太の刑事ものが流行った。例えば「ダーティ・ハリー」や「フレンチ・コネクション」など、アメリカではマチズモの塊である刑事たちが犯罪者たちを執念で追い続ける作品が多数制作された。イタリアでもそれを模倣した刑事…
シングルマザーの苦境を描き出した作品は少なくない。社会の停滞や腐敗の影響をまず真っ先に受ける筆頭が周縁の中の更に周縁にいる彼女たちであり、日本でも彼女たちを見舞う苦境や悲劇についての報道が止むことがない。そして国が違えば彼女たちの直面する…
さて、皆さんはラジオをお聞きになられるだろうか。私の場合、昔はちょいちょい聞いていたのだが、今はもっぱら映画のPodcastばかり聞いている。テレビについてもそうなのだが、歳を取るにつれ、決まった時間に決まった番組がやるからその時間にラジオの前に…
さて、イラン=イラク戦争の勃発はイランという国に大いなる傷を刻むことになる。ミサイルの応酬によって互いの都市は破壊され、崩壊し、多大な被害を被ってしまう。そしてそこで生まれた傷は今にもまだ続いているのだ。ということで今回はそんな状況を背景と…
男女は平等であるはずなのに、どうしてこんなにも深刻な女性差別が罷り通っているのか絶望したくなる時が、この日本で生きていると本当によくある。女性専用車両への抗議やレイプ事件を告発した伊藤詩織氏へのバッシング、東京医科大学でのテスト点数改竄問…
さてイランである。白色革命によって一時的に近代化・西欧化に舵を切ることになったが、イスラム革命とイラン・イラク戦争が立て続けに起こった70年代末期から80年代後半にかけて、この国は急激に保守化していくこととなる。この急激な転換によって国には大…
現代イラン映画といえば、まずは「彼女が消えた浜辺」「別離」のアスガー・ファルハディ、イラン当局に映画製作を禁止されながらも「これは映画ではない」「閉ざされたカーテン」のジャファール・パナヒや「ペルシャ猫を誰も知らない」公開延期の末に今年や…
2010年「オフサイド・ガールズ」で日本でも有名だったジャファール・パナヒ監督がイラン当局によって逮捕され“懲役6年、出国禁止20年”などの刑を言い渡された。しかしこの後も「これは映画ではない」「閉ざされたカーテン」を監督、さらに最新作"Taxi"でベル…