チリ映画
さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…
チリにはある黒歴史が存在している。それがセルクナム族の虐殺だ。19世紀、チリとアルゼンチンに跨る土地ティエラ・デル・フエゴには先住民族であるセルクナム族が住んでいた。しかしここに入植してきたチリ人たちは、アルゼンチン人やイギリス人たちと共に1…
今まで自分はあまり実験映画とは縁がなかった。しかし最近はMUBIなどで実験映画界の俊英であるケヴィン・ジェローム・エヴァーソン Kevin Jerome Eversonやベン・リヴァース Ben Riversなどの作品が配信されており、そういった作品を観る機会がかなり増えた…
チリは1989年まで軍政によるピノチェト独裁政権が続いていた。その後政権が崩壊して民主化が進行する中で、しかし忘れられていくものも存在していた。失われた文化、失われた命。今回紹介するAlireza Khatami監督作“Los Versos del Olvido”はチリの過去と現…
ジョー・スワンバーグ、もう何度この名をブログに書き記したか分からない。マンブルコアの立役者、自分たちのリアルを追求し続ける映画作家、心の奥底に歪んだ性愛を抱くド変態野郎……彼の作風ひいてはマンブルコアという流行それ自体が半径5mの世界を映し出…
宗教と性愛の関係性は何というか極端だ。例えばキリスト教を見てみれば、神の名の元に性愛およびセックスは著しく制限され、それが回り回って「スポットライト」のような忌むべき性的虐待事件やケン・ラッセルの「肉体の悪魔」のような性欲大爆発な事件を巻…
以前、イランの映画監督モハマド・ラスロフを紹介した時(記事はこちらから)、題名にも付けたのだが"国とは船だ、沈み行く船だ"というように船は荒廃する国のメタファーとして映画によく表れるという話をした。だが"Jazireh Ahani"も「海にかかる霧」にも出て…