2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧
さてシリーズ"結局マンブルコアって何だったんだ?"、前回に引き続いてリチャード・リンクレイターについての話題である。このブログでは何度も書いているし、この記事の後にも同じことを繰り返しているが、ゼロ年代の米インディー映画界に広まったムーブメ…
先日個人的にかなりショックな出来事があった。以前ブログで紹介したイスラエルの映画作家ロニ・エルカベッツがガンのため51歳の若さで亡くなったのだ。彼女はイスラエルにおいて女性が結婚/離婚において置かれる過酷な状況に対する洞察を映画として結実させ…
2016年夏季オリンピックが目前に控えながら、ブラジルは前代未聞の危機に見舞われている。世界的な石油会社ペトロプラスが政府に数億ドル規模の資金を横流ししているという大規模汚職が発覚したのである。更にはその資金が2014年度のジルマ・ルセフ大統領が…
リチャード・リンクレイター、米インディー映画界における巨人。「バッド・チューニング」は90年代を代表するアメリカ青春映画としてその名を馳せ、ビフォア三部作は時の流れを美しく残酷なまでに取り込んだロマンス性によって人々を魅了し、12年にも渡る撮…
前「ディーパンの闘い」の試写会に行った時、映画監督のトークショーがあった。彼らはこの映画を私とは全く違う部分から切り込んでいき、その内容をとても興味深く聞いていたのだが、その一方で違和感もあった。今作は故郷から命からがら逃亡を果たした難民…
子供の頃、親に連れられてビデオ屋に行った時のことだ。その頃はまだDVDよりもビデオ主流で、棚には所狭しとあの大きなビデオケースが並んでいた。私は親とはぐれてあるブースへ迷いこんでしまったのだが、ふと興味を持ってあるビデオケースを手にとってしま…
このブログでは何度かアメリカにおいて、いわゆるキリスト教啓蒙映画が台頭し始めていると書いてきた。そんな状況で5〜7月の3ヶ月連続でキリスト教啓蒙映画が日本でも公開決定という頭抱えたくなる事態が起こった。レイバーデイを狙って週間興業収入1位を強…
過去は甘きにしろ苦きにしろ、遠ざかれば遠ざかるほどにむしろ鮮やかさを帯びていく。隔たるごとにその時本当に観ていた情景が薄れていきながら、私たちは知らぬ間にその曖昧さを想像力によって補完してしまうからだ。人生は酷く複雑な物であると気付いてし…
あなたは"崇高"としか形容できない何かを目の当たりにしたことがあるだろうか。私は日本未公開映画の中だと、ペマ・ツェテン監督の「タルロ」(この記事を読んでね)には心底驚かされた。主人公の羊飼いはチベットの険しい渓谷で羊を育てているのだが、そこに…
このブログには何度も記しているが重要なことなので何度だって書こう。ジョー・スワンバーグとデュプラス兄弟のデビュー長編である"Kissing on the Mouth"(紹介記事その1)と"The Puffy Chair"(紹介記事その2)、そしてアンドリュー・ブジャルスキーの第2長編"…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバーグ&"Alexander the Last"/誰かと生きるのは辛いけど、でも…… ジョ…
サム・ライミの「死霊のはらわた」以降、雨後の筍さながらに同じようにグチョグチョで血飛沫内臓巻き散らかす山小屋ホラーが現れては消えていった。個人的に好きなのは1986年にかつてのパクリ映画大国イタリアで作られた「ゲロゾイド」(別邦題:「悪魔のはら…
数少ない日本でも観られるマンブルコア作品に配信スルー映画「ミッチとコリン 友情のランド・ホー!」がある。この作品は腐れ縁の元義兄弟である老人2人がアイスランドを旅するというロードムービーなのだが、日本でも少し名の知られているアーロン・カッツ…
スピリエッグ、コーエン、タヴィアーニ、ラリュー、ダルデンヌ、ファレリー……これが何を示しているか分かるだろうか。そう共同で映画を手掛けている兄弟監督の名字である。兄弟監督は数多く存在するが、マンブルコアにも有名な兄弟監督がいるのはご承知だろ…
太古の昔から人間は生存のために狩りを行ってきた。しかし文明が発展していくにつれて、生存のため以外にもある種の遊戯としての狩猟が行われるようにもなる。それは純粋な娯楽である時もあれば、戦争に備えた訓練という側面も持ち合わせ、主に上流階級に所…
ケンタッカー・オードリー&"Team Picture"/口ごもる若き世代の逃避と不安 ケンタッカー・オードリー&"Open Five"/メンフィス、アイ・ラブ・ユー ケンタッカー・オードリーの略歴、および長編"Team Picture" "Open Five"についてはこの記事参照さて前回の続…
ケンタッカー・オードリー&"Team Picture"/口ごもる若き世代の逃避と不安 ケンタッカー・オードリーの略歴、およびデビュー長編"Team Picture"についてはこの記事参照2010年はケンタッカー・オードリーにとって転機となる年になった。彼自身元々は監督志望…
さてさて、最近はこのブログにマンブルコア作家・作品についてばかり書いているのだが、皆さん付いてきているだろうか。過去の記事を読んでいただいている方は分かるかもしれないが、マンブルコアはその規模が余りに小さすぎて記事に何回も同じ俳優の名前を…
アンドリュー・ブジャルスキー&"Funny Ha Ha"/マンブルコアって、まあ……何かこんなん、うん、だよね アンドリュー・ブジャルスキー&"Mutual Appreciation"/そしてマンブルコアが幕を開ける ブジャルスキー監督の略歴、およびデビュー長編・第2長編について…
ジョー・スワンバーグはマンブルコアというムーブメントに意識的であり、自らその旗手をかってでて作品を量産すると共に、映画祭などを回って自身の考えに共鳴してくれる新たな仲間を取り込み、アメリカ中にマンブルコア・コネクションとも言うべき広大な繋…
アンドリュー・ブジャルスキー&"Funny Ha Ha"/マンブルコアって、まあ……何かこんなん、うん、だよね ブジャルスキー監督の略歴、およびデビュー長編"Funny Ha Ha"についてはこの記事を参照2002年アンドリュー・ブジャルスキーは初長編"Funny Ha Ha"を作りだ…
ケリー・ライヒャルト&"River of Grass"/あの高速道路は何処まで続いているのだろう? ケリー・ライヒャルト&"Ode" "Travis"/2つの失われた愛について ケリー・ライヒャルト&"Old Joy"/哀しみは擦り切れたかつての喜び ケリー・ライヒャルト&「ウェンデ…
さて、アンドリュー・ブジャルスキーである。マンブルコアを語っていくに辺り、このムーブメントの創始者であるブジャルスキーは避けて通れない存在だ。しかし日本ではかろうじて彼の最新長編「結果」AKA "Results"(邦題が酷すぎる)のみがネットフリックスで…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバーグ&"Alexander the Last"/誰かと生きるのは辛いけど、でも…… ジョ…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバーグ&"Alexander the Last"/誰かと生きるのは辛いけど、でも…… ジョ…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバーグ&"Silver Bullets"/マンブルコアの重鎮、その全貌を追う! ジョ…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Silver Bullets"/マンブルコアの重鎮、その全貌を追う! ジョー・スワンバーグ&"Marriage Material"/誰かと共に生きていくことのままならさ ジョー…
唐突だが、私は今後結婚する気は全くないし、ましてや子供を作る気などサラサラない。結婚の場合は私に誰かパートナーが出来たとして、法的な意味で恩恵を受けるべきと判断したならばそうするのも吝かではないが、精神的な繋がりのためにすることはおそらく…