2016-01-01から1年間の記事一覧
まず、まずだ、このブログを何故始めたのかをここに書きたい。始まりは、海外サイト読み漁るうち、何か映画界の最前線で評価されている作品や監督について、海外と日本だと情報量に決定的な差があるなって思った所だった、日本語で読める情報が余りに少ない…
アティナ・レイチェル・ツァンガリ&"Attenberg"/あなたの死を通じて、わたしの生を知る アティナ・レイチェル・ツァンガリの経歴及び彼女の第2長編"Attenberg"についてはこの記事参照さて“ギリシャの奇妙なる波”がテン年代を代表するムーブメントとなって久…
さて、アルバニアである。日本でも有名なアルバニア人といえばイスマイル・カダレを措いて他に居ないだろう。ノーベル文学賞に最も近い小説家の一人と言われ、日本でも「死者の軍隊の将軍」や「砕かれた四月」が有名だ(ちなみに翻訳家である井浦伊知郎氏のホ…
さてイランである。白色革命によって一時的に近代化・西欧化に舵を切ることになったが、イスラム革命とイラン・イラク戦争が立て続けに起こった70年代末期から80年代後半にかけて、この国は急激に保守化していくこととなる。この急激な転換によって国には大…
眼前に広がる光景をカメラのレンズに焼きつけるという行為には様々な力が宿る。映画、特にドキュメンタリーはこの力によって支えられていると言えるだろう。戦争の災禍、悍ましい人権蹂躙の実態、映像はそういったものを何よりも雄弁に私たちに伝え、世界の…
ここ最近、世界に名を轟かせたオーストラリアの新人監督による作品としてはある2本が挙げられる。まず1本がソフィー・ハイド監督作「52 チューズデイ」(東京レインボーリール映画祭で公開)、男性になることを決意した母とその娘の交流を描き出した一作だ。も…
最近のポーランド映画界を見ていると、今までにないポップな感性を持った若手作家が現れ始めているのを感じる。例えば以前紹介したクバ・チュカイはディズニー映画などのカートゥーンから濃厚に影響を受けた作品“Baby Bump”(紹介記事)で以て思春期の性を描き…
マンブルコアがシカゴ(スワンバーグ)やポートランド(カッツ)、ボストン(ブジャルスキ)、デトロイト(デュプラス兄弟)、イリノイ(シェルトン)などアメリカ各地で成長を遂げる頃、もちろんインディー映画の本場であるニューヨークにおいてもこの運動は勢力を増…
マンブルコアの特筆すべき点として真先に1つ挙げるべきなのは、このムーブメントに参加した女優たちは映画作家としてのポテンシャルを花開かせ、見事に巣立っていた点だ。例えばグレタ・ガーウィグはジョー・スワンバーグと喧嘩別れ後、ノア・ボーンバックと…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&「ハンナだけど、生きていく!」/マンブルコア、ここに極まれり! ジョー・スワンバ…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェスト&"The House of the Devil"/再現される80年代、幕を開けるテン年代 タイ・ウェスト&「インキーパーズ」/ミレ…
タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェスト&"The House of the Devil"/再現される80年代、幕を開けるテン年代 タイ・ウェスト&「インキーパーズ」/ミレ…
2014年、アメリカの異端チャンネルAdult Swimが"Too Many Cooks"という短編映画をリリースした。最初は「フルハウス」などの良くあるファミリーコメディOPのパロディとして進んでいくのだが、それが異様な形で反復されるうち作品世界が歪みに歪み、スラッシ…
オルガ・ヘプナロヴァという名前を聞いてピンと来る人間は、殺人鬼マニア以外にそうは居ないだろう。1973年彼女はチェコの首都であるプラハの中心地で、路面電車を待っていた人々の列へとトラックで突っ込んだのだ。この事故によって12人が負傷、8人が死亡、…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
さて、マンブルコアはその規模の異様な小ささから作品作品に同じ俳優ばかり出ているというのがウンザリするほど良くある。ギャラは安く済む、気心知れた友人同士なので作品が作りやすいなどなど様々な利点があってこの方法を選び取っていた訳だが(それにして…
先日マジで信じられないことが起こった。マジでトランプが大統領になったって知った時は信じられなかった。その後から女性やアジア系やアフリカ系の人々、イスラム教徒、障害を持つ人々などマイノリティに対するヘイトクライムが多発した。海の向こうに生き…
孤独は何にも増して人間を追い詰めていく。この世に生きる限りそれから完全に逃れることは出来ないだろう。だからこそ人々はそれぞれに孤独を乗り越える術を身につけてきた。その1つが想像力だ。頭の中に自分が生きるこの辛く苦しい世界とは別の、切実な願い…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
さてカメルーンである。アフリカの中部に位置する共和制国家で、おそらく前回紹介したギニアビサウ共和国よりは知名度の高い国だろう。例えば2002年の日韓ワールドカップにおいて大分県の中津江村でキャンプを行ったのはカメルーンで、そういった出来事をを…
カメラの前に座る眼鏡をかけた女性、彼女は視線を下に向け、少し言い淀みながらもこんな言葉をカメラに語る。困難なことです、今の社会で黒人女性として生きることは。この印象的な言葉がSithasolwazi Kentane監督による短編ドキュメンタリー“Woman Undresse…
さてギニアビサウ共和国である。正直言うと今回紹介する映画を観るまで、そもそもギニアビサウ共和国の存在を知らなかったのだが、意外とそういう方も多いのではないだろうか。西アフリカに位置する共和制国家で、アフリカ大陸の西の端に位置している。ポル…
10代の母という主題は、日本でもそういったドラマが幾つかあったが何かとセンセーショナルに扱われがちだ。それは一歩間違えれば彼女たちにスティグマを追わせることに為りかねない故に、細心の注意を払いながら作品を形作ることを当然要求される。さて今回…
“男ならこうであれ/女ならこうであれ”……こうしたいわゆる性的規範という物はどこの世界にも存在し、人々にとって呪縛となり得る。だがこの被害者になるのは大人だけではなく、子供たちもまたそうなのだ。そして多くの子供たちは未だ幼い故に規範に対して抵抗…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトンの経歴および長編デビュー作についてはこちらの記事参照アメリカの広大なる森には男たちを彷徨わせたくなる魅力が宿っているようだ。例えばジョン・ブアマンの田舎は…
”ルーマニアの新たなる波”においてとても重要な要素が倫理だ。チャウシェスク政権下、映画は社会主義のプロパガンダ装置を果たすことを求められており、その職業的な倫理と、ルーマニアではなく本当のルーマニアを描くべきだという個人的な倫理は事あるごと…
日本ではもうすぐで東京国際映画祭が開催されるが、遠くラテンアメリカのメキシコではモレリア国際映画祭が開催中である。メキシコを代表する映画祭の1つであり、メキシコ映画界の素晴らしき才能たちが巣立っていく登竜門的な場所である。さてさて、というこ…
人間はこの世に産まれた瞬間、つながりに取り込まれることを宿命付けられる。国や町といった大きな共同体から、友人や職場などの小さな関係性までつながりは何処にも存在している。中でも家族という関係性は、良きにしろ悪しきにしろ個人の形成に大きな影響…