鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

「ABCs of DEATH2」要注目ホラー作家ピックアップ!

先日「ABCs of DEATH」第二弾の監督陣が発表!
冷たい熱帯魚園子温、「クライムダウン」ジュリアン・ギルピー、ボビー・オロゴンの国ナイジェリアは“ノリウッド”の創始者ランスロット・イマルセン、ジーザス・クライストが召されしイスラエルよりの使徒アーロン・ケシャレス&ナヴォット・パプシャード、そして「CUBE」「スプライスヴィンチェンゾ・ナタリなど、今回も国際色豊かなホラー作家が集結!ワクワクが止まらねぇ!ということで今回はその中でも、個人的に要注目な監督を4人ピックアップ!

ブレッソンラマーリョ Bresson Ramalho
ブラジルにおいて最も物議を醸す監督と称される短編作家がABCsに参戦である。彼の直近作「NINJAS」を見ると、その一旦が垣間見えてくる。

ある男の激越なる演説が聞こえてくる。そしてその言葉を聞きながら、エクスタシーに浸る人々。彼らから少し離れた場所に、主人公であるジェイルトンは佇む。彼はその瞳に何者かを幻視している。それは最早屍骸に成り果てんとする男だった。肌は悍ましい程に白く、だが腹にはドス黒い色彩――それはおそらくかつて赤き血潮だった物だろう――が広がる。男はジェイルトンに助けを求め手を伸ばす。掌にも又あのドス黒さが蟠っていた。ジェイルトンはその光景を呆然とただ眺めるだけだ。
だが男の腹から何かが現れる、闇より昏き黒色の物体、それは銃だ。第三の手が現れて、ジェイルトンに殺意の武器を与えようとしている。それをジェイルトンは――
そのような宗教的モチーフを捉えた悪夢を以て物語は幕を開け、そしてジェイルトンの地獄も始まる。
ジェイルトンはとある事件をきっかけに精神の均衡を崩す事となる。それを淵源として描かれる恐怖は、心臓をジワジワと握り潰す遅行性の圧力を持つ。視覚や聴覚を嬲り殺しにされる感覚。前半はそのような恐怖描写に溢れているが、それだけでは終わらない。後半におけるあるツイストが、更なる圧力として私たちを襲う。
この映画は現代ブラジルの社会問題と共に、超現実的な黒魔術の要素や宗教的象徴を並行して描きだす。観賞するにあたり、宗教という概念に疎くとも、冒頭に現れる男が誰を指し示すかは容易に解るに違いない。彼がジョエルトンに“銃”を渡す意味、ブラジルが熱心なカトリック教徒の国だという背景を鑑みることで、“Controversial”たる由縁が少しではあるが理解できるかもしれない。

他にも旧友を家に招き入れたことから男の人生が狂ってゆく“God Knows Who……”、ガラガラヘビについて語る者とそれを聴く者、ただそれだけを描いた不気味な短編“Rattlesnake”響き渡る呻き声に導かれ、地下室に迷い込んだ恐怖を描いた“Basement”などがある。これらを見る限り、ラマーリョの恐怖描写の傾向として、堅実な集積を常としているのが分かる。
先述したが、心臓をジワジワと握り潰すような遅々たる圧力を、安易なショック描写に逃げることなく、だがその抑制的な恐怖を以て描き続け、その果てに凄まじい激成を遂げるかと思えばそうでなく、観客を宙吊りのまま放り出す静かな終りを提示するのだ。カタルシスの不在、そこにラマーリョの静謐なる作家性があると言える。
ABCs of DEATHにおいては、上記のアプローチを以てしてどのような作品を創出するか期待せざるを得ない。というかコフィン・ジョー監督直系の弟子で、監督の最新作「Encarnação do Demônio」の脚本書いて居たりもする意味で、期待しない訳ないじゃん!








アレックス・デ・ラ・イグレシア Alex de la Iglesia

今回紹介する監督陣ではおそらくもっとも知名度の高い監督なんじゃないかと。スペインはビルバオ出身、デビュー作「ハイル・ミュタンテ/電撃××作戦」から公開が待たれる最新作「Las brujas de Zugarramurdi」まで、畸想をかかげて、堂々とタブーを踏み躙る、スペイン一の過激派キチガイ監督と言ったら、彼しかいない!
短編を変態映画界の母たるペドロ・アルモドバルに認められ、彼らの援助を受けたことにより爆誕させた処女長編「ハイル・ミュタンテ/電撃××作戦」醜きを是とし、美しきを悪とする畸形テロリスト集団が美しい物者を破壊&虐殺しまくる真っ黒なコメディから、中盤は畸形集団の内ゲバであれよあれよと内部崩壊のスリラーへ、そして終盤は裏切り者と復讐者の激突を描くSFウェスタンと、一粒で三度美味しいキメラティックな傑作を作り上げた。

それに続く2作目はキリスト教をトコトン虚仮にする「ビースト・獣の日」大金を巡ってマンションのキチガイ共がブチ殺しあう「みんなのしあわせ」時代と共に死にゆく者たちへの挽歌「マカロニウェスタン/200発の銃弾」そしてハリウッド初進出作で性癖を露わにした「オックスフォード殺人事件」など、傑作は枚挙に遑が無い。
しかしもっとも有名なのは去年の三大映画祭週刊において公開され話題を呼んだ「気狂いピエロの決闘」だろう。

スペインの現代史を背景として、一人の女性――彼女がこれまたイグレシア的曲者である――を巡り、二人の気狂いピエロが血みどろの闘争を繰り広げる、エモーショナルにしてエキセントリックなブラックコメディ!ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した、イグレシアのキャリア最大の作品と云えども過言ではない。ちなみにこれを語る上では、雛形となった「どつかれてアンダルシア(仮)」も欠かせない、観るべし!
そして去年のラテンビート映画祭で公開された「La chispa de la vida」を越えて、今スペインで最もイケてる男優ウーゴ・シルバをを主人公に配した、「Las brujas de Zugarramurdi」の予告をご覧いただきたい。

超ヤバい!!!!!!
キリストにコスプレした主人公とその仲間たち、宝石店強盗にまんまと成功するも、迷い込んだ先は魔女共の巣窟だった……と簡単にまとめるならこんな感じだろうか、私にはこの予告にこそイグレシアの魅力が端的に表れに表れたものだと私には思えてならない!!!
コスプレで強盗と言う発想の突飛さ、彼らが迷い込むのが魔女の巣窟という「フロム・ダスク・ティル・ドーン」的急展開っぷり、排泄中のケツに手が忍び寄るなんてド下ネタ、そして何よりあの異様な高揚感!
“緩急”という概念をすっ飛ばし、激情のままに突っ走るイグレシアの作家性「ABCs of Death」においては、おそらく凄まじきバイタリティに充ち溢れた短編を見せてくれるに決まってる!早く来いやーーーーーーーーー!!!