鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

最近気になっている映画その5

"3000 Nights"
チェンマイ・マスリ監督はパレスチナ人の父とアメリカ人の母の間に生まれ、サンフランシスコ州立大学で映画を学んだのち、自身の生まれ育ったベイルートで映画製作を始める。そして20年もの間ドキュメンタリーを作った後、彼女が初めて手掛けた劇映画がこの作品。パレスチナ人のレイラは無実の罪で逮捕され懲役8年の刑を言い渡される。イスラエル人の犯罪者が収監される刑務所に送られたレイラは、獄中で自分が妊娠していることを知る……という作品。

"Jack"
ジャック・ウンターヴェーゲルという名前をあなたは知っているだろうか、彼はオーストリアの有名な小説家であり、そしてオーストリアの有名な殺人鬼である。24歳で売春婦を殺害した彼は終身刑を宣告されながら、獄中で自伝を書き文学賞を受賞するほどの名声を得る。そして文学者らの後押しで仮釈放となり、時代の寵児となったウンターヴェーゲルだったが……オーストリアのドキュメンタリー作家であるElisabeth Scharangが実在の事件を元に監督した劇映画作品だという。今年のロカルノ映画祭、トロント国際映画祭に出品されるなどかなりの評判。New Austrian Chillinessが謳われて結構経つが、別角度からそんな風潮を反映した作品がこの"Jack"なのやも。

"Por las Plumas"(スペイン語で"翼のために")
主人公はチャロという孤独な警備員、だけど彼には夢があった。お金を貯めて闘鶏に参加し人気者になるという夢が。もうどの雄鶏を買おうだって決めているし、まだ買ってもいないのに彼はその雄鶏をロッキーと名付けていた。でやっとのことで買えたは良いのだが……コスタリカの新鋭Neto Villalobos監督の長編デビュー作。大学では社会学を学んでいたが、バルセロナに留学し映画作りを学んだ後、コスタリカで広告を製作したり映画学校で教師を勤め、ワークショップにも通い、その末に完成したのがこの"Por las Plumas"だったという。素人俳優、即興演技主体、そして真顔でネタをバシバシ突っ込んでくるいわゆる"Deadpan"なコメディだそうで、コスタリカ映画なんて観る機会が余りないし、とても気になっている。

"Mediterranea"(イタリア語で"地中海の")
ヨーロッパで今顕在化しているのは移民問題である。そういう訳で様々な映画が作られ、今年のカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得したのもスリランカからフランスへとやってきた移民たちの苦闘を描く"Dheepan"だった。それと同時にカンヌの批評家週間で話題になっていた、移民をテーマとした作品がこの"Mediterranea"である。主人公のアバスは西アフリカのブルキナファソで生まれ育った。だがより良い人生を求めて故郷を離れ、遠くイタリアへと危険な旅に赴く。しかし彼を待ち受けていたのはこの国で移民として生きることの過酷な現実だった。監督のJonas Carpignanoはバルバドス人とイタリア人のハーフでこれが初長編作である。フランスでは9月公開、日本には、来る、のか……?


ということで、また今度お会いしましょう