鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

鉄腸野郎と昔の未公開映画を観てみよう!

Issa Serge Coelo&“Un taxi pour Aouzou”/チャド、それでも今日もタクシーは行く

さて、チャドである。アフリカ大陸の中央部に位置している内陸国でリビアやニジェール、スーダンといった国々と隣接している。公用語はアラビア語とフランス語、主要な宗教はイスラム教とキリスト教である。日本においてこの国で有名なことといえば、首都が…

Vilsoni Hereniko&“Pear ta ma 'on maf”/何よりも私は“ロツマ人”なのであると

さて、フィジーである。この国は南太平洋のフィジー諸島とその北方のロツマ島からなるオセアニアの群島国家であり、日本ではサンゴ礁などが有名だろう。今回の舞台は、しかしそのフィジー諸島ではなくロツマ島である。ここにはポリネシア系の先住民であるロ…

済東鉄腸の偏愛サイレント映画50本!!!!!

さて、この鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!では主に最新の日本未公開を紹介してきた。最近は本の執筆で忙しくなり、あまりここに記事が書けていないが、数ヶ月前には“済東鉄腸オリジナル、2020年代注目の映画監督ベスト100!!!!!”というまとめ記事を出したりとまだ…

極私的ユーゴスラビア映画50選!

Twitterで"ユーゴスラビア映画とかになると、もう何を見ていいかわからないな"という呟きを見かけた。映画批評家がそう途方に暮れるくらいなのだから、普通の映画好きはもう何が何だかという感じだろう。なので1つくらいユーゴスラビア映画を観るための指針…

ヘンリー・ジャグロム&"A Safe Place"/あの時、私は空を飛んでいた……

"天才? 詐欺師? 誇大妄想狂? 異端者? ある者たちからは映画の天才、フェミニスト、アメリカ映画界の純なる異端者と呼ばれる一方、ある者たちからは覗き魔で誇大妄想狂の'世界サイテーの監督'と侮られる。そんな中でこの男は執拗に、執拗なまでに人生と芸…

リチャード・フライシャー再考その1

リチャード・フライシャー、あまり興味がない。ぶっちゃけ日本で過大評価されてる気しかしない。それでアメリカ含め海外で過小評価されていると被害者意識を抱いてる感じだ。個人的に何本か観ているが、あまり思い入れはない。ミア・ファローの「見えない恐…

彼女の息子によるCristiana Nicolae~Written by Radu Nicolae

いつものようにルーマニア映画について調べていた時、Cristiana Nicolae クリスティアナ・ニコラエを見つけた。彼女は共産主義時代のルーマニアで活躍した数少ない女性監督でありながら、例えばルーマニア映画界のアントニオーニと呼ばれたMalvina Urșianu …

Șamil Əliyev&"Etiraf"/アゼルバイジャン、狭間の歴史

アザド(Elşən Rüstəmov エルシャン・リュスタモフ)は彼の所属していたギャング集団と友人に裏切られ、無実の罪で刑務所へと収監されることになった。数年の後、彼は釈放されながらも怒りが収まることはない。アザドは復讐を果たすために、バクーという都市を…

Həsən Əbluc&"Pəncərə"/アゼルバイジャン、絶望の内の子供たち

主人公のアフサン(İlham Babayev イルハン・ババイェフ)は父親(Valeh Kərimov ヴァレフ・カリモフ)によって"孤児院"と綽名される寄宿舎学校へと入れられることになる。だがここは暴力と悪徳が支配する無法地帯であり、臆病な彼はただただ脅威を耐え忍ぶしか…

Eldar Quliyev&"Burulğan"/カスピ海、荒れ狂う若き心

ムラド(Məmməd Məmmədov マンマド・マンマドフ)、ルスラン(Eldar Tağıyev エルダル・タグイェフ)、ナタ(Eqle Qabrenayte, リトアニア人だがアゼリー語綴り・読みでエグレ・ガブレナイテ)、タマラ(Həmidə Ömərova ハミダ・エマロヴァ)はバクーに生きる順風満…

Hüseyn Mehdiyev&"Süd dişinin ağrısı"/ぼくは生まれるべきじゃなかった

"Süd dişinin ağrısı"("乳歯の痛み", 1987)の主人公はカリム(Pərviz Hüseynov パルヴィズ・ヒュセイノフ)という7歳の少年だ。彼を出産する際に母親が亡くなってしまった故にカリムは深い罪悪感を抱いており、それ故か家に彼女の写真を飾ってまるで女神のよう…

「半沢直樹」とマスード・キミアイ、そして白色革命の時代

お世辞にも真剣な視聴者とは言えなかったが、未公開映画を観る間に私も「半沢直樹」のSeason 2を観ていた。先の最終回なんかはラストにおける堺雅人と香川照之の対峙場面などは男と男の意地のぶつかりあいが最高潮に達し、もはや噎せ返る官能性がマニエリス…

リンゼイ・C・ヴィッカーズ&「アポイントメント/悪夢の約束」/少女の絶望、父の悪夢

私は自他共に認める天邪鬼だ。皆がもう既に観ている映画は観たくない、既に映画史でそれ相応の地位にあり出来が保障されている映画は別に観たくない、少なくとも日本人が多く知っている映画は観たくないし、日本語でレビューが多く書かれている映画は特に何…