鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

はてなダイアリーのサービスが終了ということで、はてなブログで鉄腸野郎Z-SQUAD!改め鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!へ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。

M.P. Cunningham&"Ford Clitaurus"/ソルトレーク・シティでコメdっjdjdjcjkwjdjdkwjxjヴ

最近このブログで紹介してきた奇妙な映画として(注:この記事は結構前に書いて放置していたので、実際は最近じゃない)挙げられるのは、ダミアン・マニヴェルによる愛の劇的な移ろいを描いた“Le parc”(レビュー記事読んでね)
や、引きこもりの母親に振り回されるきょうだいの姿を描き出したコロンビア映画“Adios entusiasmo”(レビュー記事読んでね)などだろう。しかし私はこれらに勝るとも劣らない奇妙すぎる映画を見つけてしまったのである。ということで今回はM.P. Cunningham監督作“Ford Clitaurus”を紹介していこう。早速本編をどうぞ

ユタ州は最大都市ソルトレーク・シティ、ここにMPにテイラーにブライス(M.P. Cunningham&Taylor Young&Bryce Van Leuven)という若者たちが住んでいた。彼らは何だか適当に町をフラつき、食料雑貨店で店番する傍ら歌なんか唄ったり、プールサイドでタコスを頼んだり、公民館みたいな所でワークショップを開いたり、何だかそういう感じのダラダラな日々を送ったりしていた。そんな感じで日々は過ぎていく感じだった。

と、まあ粗筋はこんな感じであり、つまりはアメコメに良くあるモラトリアムな若者たちが無意味に若さを浪費していく系映画な訳だ。そこに実は芸術家として身を立てたくて苦労してるなんて設定も付いてくるとなると、超低予算だけどSXSW映画祭やらトライベッカ映画祭やらでなら一発当たるかもしれない(実際は上映すらされない)的なインディー映画有象無象の1本としての貫禄は充分すぎるほどだろう。

がそういう凡百の映画とは何かが違うことに、観ているうち早々気づく筈だ。ある時GMたちは町の郊外で開かれる犬のテーマパークに赴き、牧羊犬が羊たちを追っている姿をボーッと眺める。かと思ってたら、いきなり映画が別次元の何かに変容する瞬間を目撃することになる。パソコンのバグか?vimeoがやらかしたか?それともこれは悪夢か?いや、これは現実だ、この異常な歪みは完全に現実だ!

今作は何とも味わい深いシュールなコメディと次元がねじ曲がったような奇妙な断絶/飛躍が混ざりあっている作品だ。これを観ながら思い出すのは現代ロシア文学界の異形ウラジミール・ソローキンである。今でこそ彼はグロテスクでファニーなSF作品を連発しまくっているが、昔はもっとポストモダン的な内容以上に形式にこだわる作家だった。短編集「愛」と長編「ロマン」を読めば分かるが、最初は普通だった登場人物が唐突に電波発言垂れ流したり、ウンコを喰い始めたり、dっjdjdjcjkwjdjdkwjxjヴぃwcdj府ぃ府ぃ府ぉしsじゃかjをうぃうぃfhvっjdjあzhdjうぃかjwksじゃjsjxでけいえいえっややjsと文章が乱れたかと思うと、そのまま作品が終わるという異常な光景が広がる。小説をただの文字の連なりと解釈し、悪意に満ちた切断の遊戯に勤しむ彼の作風は、読んだ当時本当に衝撃だった。

この唐突に全てがひっくり返る、ぶっ壊れる感覚をこの“Ford Clitaurus”は共有しているのだ。まるでソローキンが超低予算でインディーコメディを作ったという風に。最近いわゆる“ギリシャの奇妙なる波”など過去の映画史とはまた異なる文脈を伴った奇妙な映画が現れ始めているが、今作はそういった作品とも違う暴力的なまでの脱線が繰り出され、そしてしれっと普通に戻り再び暴力的な脱線が始まる。ここまで荒っぽい奇妙さを持ち合わせた映画というのは余りないだろう。おそらく短編映画だからこそ出来る技であるのかもしれない。

そして今作の奇妙な空気を支える大きな存在は変な男女3人を演じる俳優たちだろう。とはいえ、大分前に観たので結構忘れちゃったのだが(冒頭とこのセンテンス以外は当時書いて放置してた文章)ポーカーフェイスで一際変な姿をお披露目するロン毛野郎がいて、彼こそがこの映画の監督であるM.P. Cunninghamなのだ。それから……あー、何書こうとしたんだっけ、当時の私。正直丸っきり忘れてしまった。だって1年くらい前だし。まあ………………いいか。とにかく面白くて奇妙だったのは覚えてるから、観て損はないと思う。vimeoに丸々アップされてるはずから好きな時に観よう。ということでバイバーイ。

ポスト・マンブルコア世代の作家たちシリーズ
その1 Benjamin Dickinson &"Super Sleuths"/ヒップ!ヒップ!ヒップスター!
その2 Scott Cohen& "Red Knot"/ 彼の眼が写/映す愛の風景
その3 デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?
その4 Riley Stearns &"Faults"/ Let's 脱洗脳!
その5 Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる
その6 ジェームズ・ポンソルト&「スマッシュド〜ケイトのアルコールライフ〜」/酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい…
その7 ジェームズ・ポンソルト&"The Spectacular Now"/酒さえ飲めばなんとかなる!……のか?
その8 Nikki Braendlin &"As high as the sky"/完璧な人間なんていないのだから
その9 ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める
その10 ハンナ・フィデル&"6 Years"/この6年間いったい何だったの?
その11 サラ=ヴァイオレット・ブリス&"Fort Tilden"/ぶらりクズ女子2人旅、思えば遠くへ来たもので
その12 ジョン・ワッツ&"Cop Car"/なに、次のスパイダーマンの監督これ誰、どんな映画つくってんの?
その13 アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている
その14 ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば
その15 Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く
その16 Leah Meyerhoff &"I Believe in Unicorns"/ここではないどこかへ、ハリウッドではないどこかで
その17 Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き
その18 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"
その19 Anja Marquardt& "She's Lost Control"/セックス、悪意、相互不理解
その20 Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路
その21 Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代
その22 Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに
その23 Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来
その24 John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言
その25 レスリー・ヘッドランド&"Sleeping with Other People"/ヤリたくて!ヤリたくて!ヤリたくて!
その26 S. クレイグ・ザラー&"Bone Tomahawk"/アメリカ西部、食人族の住む処
その27 Zia Anger&"I Remember Nothing"/私のことを思い出せないでいる私
その28 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その29 Perry Blackshear&"They Look Like People"/お前のことだけは、信じていたいんだ
その30 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その31 ジョシュ・モンド&"James White"/母さん、俺を産んでくれてありがとう
その32 Charles Poekel&"Christmas, Again"/クリスマスがやってくる、クリスマスがまた……
その33 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その34 ロベルト・ミネルヴィーニ&"Low Tide"/テキサス、子供は生まれてくる場所を選べない
その35 Stephen Cone&"Henry Gamble's Birthday Party"/午前10時02分、ヘンリーは17歳になる
その36 ネイサン・シルヴァー&「エレナ出口」/善意の居たたまれない行く末
その37 ネイサン・シルヴァー&"Soft in the Head"/食卓は言葉の弾丸飛び交う戦場
その38 ネイサン・シルヴァー&"Stinking Heaven"/90年代の粒子に浮かび上がるカオス
その39 Felix Thompson&"King Jack"/少年たちと"男らしさ"という名の呪い
その40 ジョセフィン・デッカー&"Art History"/セックス、繋がりであり断絶であり
その41 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その42 ジョセフィン・デッカー&"Butter on the Latch"/森に潜む混沌の夢々
その43 Cameron Warden&"The Idiot Faces Tomorrow"/働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない
その44 Khalik Allah&"Field Niggas"/"Black Lives Matter"という叫び
その45 Kris Avedisian&"Donald Cried"/お前めちゃ怒ってない?人1人ブチ殺しそうな顔してない?
その46 Trey Edwards Shults&"Krisha"/アンタは私の腹から生まれて来たのに!
その47 アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生
その48 Zachary Treitz&"Men Go to Battle"/虚無はどこへも行き着くことはない
その50 Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと
その51 Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ!
その52 Joshua Burge&"Buzzard"/資本主義にもう一発、中指ブチ立てろ!
その53 Joel Potrykus&"The Alchemist Cookbook"/山奥に潜む錬金術師の孤独
その54 Justin Tipping&"Kicks"/男になれ、男としての責任を果たせ
その55 ジェニファー・キム&"Female Pervert"/ヒップスターの変態ぶらり旅
その56 Adam Pinney&"The Arbalest"/愛と復讐、そしてアメリカ
その57 Keith Maitland&"Tower"/SFのような 西部劇のような 現実じゃないような
その58 アントニオ・カンポス&"Christine"/さて、今回テレビで初公開となりますのは……
その59 Daniel Martinico&"OK, Good"/叫び 怒り 絶望 破壊
その60 Joshua Locy&"Hunter Gatherer"/日常の少し不思議な 大いなる変化
その61 オーレン・ウジエル&「美しい湖の底」/やっぱり惨めにチンケに墜ちてくヤツら
その62 S.クレイグ・ザラー&"Brawl in Cell Block"/蒼い掃き溜め、拳の叙事詩
その63 パトリック・ブライス&"Creep 2"/殺しが大好きだった筈なのに……
その64 ネイサン・シルヴァー&"Thirst Street"/パリ、極彩色の愛の妄執