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映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

完全フライング!父の日に観るお父さん映画5撰!


娘よ、お父さんは頑張ってるぞォーーーーーーーーーーー!!!

6月の第三日曜日は父の日ですね。これを書いているのは6月8日、ええ、一週間間違えてしまいましたね、素で間違えてしまったのですけど、自分でも致命的な間違いだなって思っています。でも、まあ、それでも良いじゃないですか。そういう父の日とかに拘る必要はありませんよね。いつだって父の日です、お父さんに感謝することに早いも遅いもありません。ということで、今回はお父さんと一緒に見ると仲が良くなること間違いなしの映画を5本厳選しました。



「W/ダブル ステップファーザー」(1987)監督ジョセフ・ルーベン
この映画に出てくるお父さんの人生には「妥協」と言う言葉は存在しません。セールスマンのお仕事では常に最高の業績を残し、それでいて家族との団らんを重んじて、“良い夫”であり“良き父”であり続ける日々。崇高なる“秩序”をモットーをとして、それを保ち続けるためならば、気に入らなくなった不完全な家族は全員虐殺にして、すぐにでも新たな家族を作ってしまう!そしてその家族の構築を邪魔する者は、重点的に頭を角材で叩いてブチ殺します。しかしそんな家族も完全さを保てないと分かれば、勿論ブチ殺しにかかります。
この無限のお父さんバイタリティは、まだお父さんではない皆さんも、もう既にお父さんである皆さんも見習うべき最高のお手本と言うべきでしょう。これ以上にお父さんらしいお父さんが現実にも虚構にも存在するでしょうか?常日頃心に住まわすべきお父さんが、この作品にはいるのです。
ちなみにこの監督のジョセフ・ルーベン、どこかで聞いたことはないでしょうか?ええそうです「フォーガットン」の監督です。



鮮血の美学」(1972)監督ウェス・クレイヴン昔々ある所に、お父さん・お母さん・娘さんが、典型的な核家族構成の下に暮らしておりました。ある日娘さんは友達とコンサートに行きたいと言いました。お父さんはそれを渋々認めてしまいます。しかし彼女たちはキチガイ陰毛マン(デヴィッド・ヘスが狂演!)と愉快な仲間たちによって、ジワジワと嬲り殺しにされてしまいました。ぶっちゃけげきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームのお父さんお母さんは、キチガイ軍団が偶然ウチに泊まったのを僥倖として、殺戮を開始するのです。お母さんはチンポを噛み切りに、お父さんはチェーンソー片手にキチガイ陰毛マンを殺りに行きました。キチガイ陰毛マンもこれには大慌て、殆ど成す術も無く、体をズタズタにされて、その短い生涯を終えました。復讐は大成功、めでたしめでたし、おしまい。
イングマール・ベルイマンの「処女の泉」を下敷きにしたこの「鮮血の美学」は、お父さんが娘の復讐のために頑張るお話です。そしてホラー映画において初めてチェーンソーが必殺仕事器具として使われた記念すべき作品でもあります。「悪魔のいけにえ」より遡ること3年!復讐ってこんな素敵なサプライズまで用意してくれるのですね。お父さん、復讐してくれて本当にどうもありがとう! 



「猟奇!惨殺魔/ザ・ミューティレイター」(1984)監督バディ・クーパー
ネタバレをします、惨殺魔の正体は主人公のお父さんです。
主人公は子供時代、ライフル銃を暴発させて、お母さんの肉体を爆砕させて殺してしまう過去がありました。それ以来お父さんは息子を憎み続けてきながら、又その感情を抑え続けてきたのです。しかし10数年後、大学生になった主人公がウェーーーーーーーーーーーーーーーーーーイwwwwwwwwwwとかやっている姿を目の当たりにすると、とうとうその殺意が限界を越えてしまったのです。お父さんはバカンス気分のナウでヤングな息子の友達を、やたらめったらに惨殺していきます。その残酷っぷりにはお父さんの暴憎の凄まじさがこれでもかと表れています。
あなたがお母さんを愛しているように、お父さんもお母さん、つまり奥様を愛してらっしゃいます。それなのにお母さんをブチ殺してしまったら、あなたのお父さんはどう思うでしょう。憤怒してしまうに決まってますよね。それに長きに渡る我慢を付け加えたら、そりゃあお父さんも猟奇!惨殺魔と化してしまいますよね。常日頃からお父さんを労わる心を忘れない、それってとっても大事なことですよね。
ちなみにこの映画の監督は弁護士です。その割に倫理もクソもない意味で稀有な作品とも言えるでしょう。




「俺だって侵略者だぜ!!」(1985)監督ドン・ドーラーボルチモアには伝説の映画作家が二人います。1人は悪趣味の為の悪趣味を標榜する悪趣味映画の雄ジョン・ウォーターズ、そしてもう1人がZ級SF映画を作らせれば彼の右に出る者は1,2人くらいしかいない、SF(すさまじく・ファック)でお馴染みドン・ドーラー!
彼の作品「俺だって侵略者だぜ!!」邦題からは、爆笑とほんの少しのペーソスを感じさせる侵略映画の印象をうけます。しかしその実この映画は、侵略者を追い続ける執念のお父さん映画なのです。
それもその筈、地球には宇宙人ってすごく珍しい存在ですよね、だからお金になるんです。だからいつも胸の布地がペロローンとしているシャツを着たお父さんは、家族のため宇宙人を生け捕りにして売り払ってやる!と一念発起します。その姿には鬼気迫る物があり、当の家族たちからも理解を得られなくなっていきます。お父さんはどんどん孤立を深め、銃さえ手に取るほどです。そしてその果てに至る、余りにも悲劇的なラスト、理解し合うことをしなかった末の致命的な断絶……

お父さんが妄執に駆られ、そのせいで家族が崩壊していく、最近でもジェフ・ニコルズ監督作「テイク・シェルター」という名作がありましたが、この「俺だって侵略者だぜ!!」と「テイクシェルター」は同様の病巣より来たる悲哀を共有しているようで別にそうでもない気がしないでもないような映画である故に、二つ合わせて見る事をお薦めします。



「フレイルティー 妄執」(2001)監督ビル・パクストン
「モーチュアリー」で母の死、父との軋轢、主人公へのオブセッションで全くどうかしてしまったとッちゃん坊やを演じたビル・パクストン。彼が監督としてホラー映画界に帰ってきました、しかも監督デビュー作品がこんなにも素晴らしいお父さん映画を作ってしまいました。それが「フレイルティー 妄執」です。
ある日天使に啓示をうけたパクストンお父さんは、人間に姿を変えた悪魔を殲滅する使命を帯びたのです。悪魔ってすごく怖いですもんね、だから殺し尽くさなければいけませんものね。お父さんは皆さんに代って、まるでキリストを皆さんの原罪を背負って死んでいったように、率先して悪魔をブチ殺してくれるというのですから、このお父さんの偉大さには頭が下がる思いです。こういうお父さんの汗と血に塗れた背中がカッコ良いんですよね。そして大きな大きな背中を見てこそ子供たちも立派な大人に成長していくのが道理なんです。その成長した子ども――マシュー・マコノヒーが熱演――の口から語られる、そんな美しい父と子の物語、これまで紹介した映画の中でも特にオススメですので、是非皆々様のお父さんと観賞することをオススメ致します。きっと頬骨をブチ砕かれることでしょう。


皆さんも、お父さんを大切にね