米インディーズ映画界ほど豊かな世界が広がる場所はないのではないか、私は日々インディー映画を観ながら思うのだ。孤高の禅僧として異色のジャンル映画を作り続ける“The Phenom”のノア・ブシェル Noah Buschel, 真にインディペンデントな作家として周縁を生きる者たちの声を聞く“Old Joy”のケリー・ライヒャルト Kelly Reichart, 人生に倦んだ人々の心に広がる精神の荒野を凄まじい虚無によって描き出す“Entertainment”のリック・アルヴァーソン Rick Alverson, アメリカという名の複雑さを観る者に豪速球で叩きつける「ディア・ホワイト・ピープル」(実はNetflixで既に配信中)のダスティン・シミアン Dustin Simienなどなど枚挙に暇がない。そして新たな才能は日々現れ始めている。ということで今回はその中でも異彩を放つパンクな映画作家ジョエル・ポトライカス Joel Potrykusと彼の短編作品“Gordon”と“Coyote”を紹介していこう。
Joel Potrykusは1977年ミシガン州オジネケに生まれた。生まれ育った場所はド田舎だったそうで、やることは森で秘密基地作りをするか、家でVHSを観ることくらいしかなかったらしい。しかしそれが元で映画にハマり、最初はジョン・ランディスの「狼男アメリカン」などのホラーを好んでいたが(その影響は短編2作に顕著)、長じてからは文芸作品にも手を出し始め、影響を受けた作家として名を挙げているのはジャン=リュック・ゴダールなどのヌーヴェルヴァーグや"Made in Britain"のアラン・クラーク、ルイス・ブニュエルやミヒャエル・ハネケ、アメリカ人作家だとジム・ジャームッシュやマーティン・スコセッシ、特に「タクシードライバー」は"いつも心の片隅にあってくれる"と語る。映画以外にもパンクロックやメタル、花火やジャンクフードに影響を受けていると公言しているが、子供の頃についてPotrykusはこう語っている。
"私はホラー映画にどっぷり浸かっていました。やっすいジャンク映画と密な関係にあったんです。VHS配給会社ではPrismが大好きでした。インターネットが普及する前に映画に浸れて良かったとも思っています、その時代は映画が神秘的でありえたし、探しても見つからない楽しみがあったんですから。子供の頃「カリギュラ」や「死霊のはらわた」「時計仕掛けのオレンジ」についての記事を読んで時間を過ごしましたが、もしそういった作品が町のビデオ屋に無ければ、観ることは出来ないことを意味していたんです。そうなればファンゴリアの裏ページを念入りに探すか、深夜のケーブルテレビで放送することを祈るしかなかった。特に"Video Nastines"(英国が下劣な映画として認定し、販売・鑑賞を禁止した映画の総称)が好きでしたね。「イレイザーヘッド」は自分にとっての聖杯、6年間探し続けて、友人が日本の海賊版VHSを見つけてくれた日は最高の日になりました"*1
映画監督か批評家になるという夢を持ち、高校時代は実際に映画を製作するなどしていたが、アルペナ・コミュニティ大学に入学した当時はジャーナリズムを専攻していた。しかし自分の好きなことを勉強したいという情熱が勝り、グランド・バレー州立大学で映画について学び始める。そして彼は仲間と共に製作会社Sob Noisse Moviesを立ち上げ、自身の監督作を手掛けるようになる。そうして出来た2作品が今回紹介する"Gordon"と"Coyote"だ(2作品とも監督公式vimeoで観られるので観よう!)
白い大きな家、庭いじりをする女性と小さな少女、玄関のドアが開くと彼女の夫であり彼女の父である男性が現れ、庭の2人が仕事に向かう彼を笑顔で送り出していく。そんな全く絵に描いたように幸福な人生をゴードンという男は送っている。しかしこの日がゴードンにとって最後の1日になるとは彼自身想像もしていなかっただろう。
“Gordon”はPotrykusが幼い頃に親しんでいたホラー作品を現代に再現するような一作だ。まず恐怖は音を以てゴードンや私たちを襲う。バスの座席に腰を据えるゴードンは頭痛に苛まれる。エンジン音が妙な不快さで彼の耳に響くのだ。更に道中、工事現場から聞こえるドリルの採掘音、群れを成して道路を行く車の喧しい騒音、その全てが彼の神経を磨り減らす。何とか会社に到着し、何事もなく仕事を終え、公園へ娘と遊びに行くのだが、あの頭痛が今度は更なる激しさで彼を襲う。そしてとうとうゴードンは地に倒れ、余りにも唐突に彼の人生は幕を閉じてしまう。
ここから本作はホラーというジャンルでも随一にクソったれ作品が乱発された“ゾンビ映画”の領域に、独特な形で切り込んでいく事となる。突然の死から月日が立ち、降り積もる雪が墓場を覆い隠そうとしていた頃、ゴードンはゾンビとなって地の底から地上へと這い出てくる。そして彼は意識も足取りも覚束ないまま、愛する家族のいる場所へと歩を進める。スーパー8の荒くも濃厚な色味には、70年代や80年代のホラー映画をブラウン管で観るような懐かしさと共に、自分は今観てはならないものを目撃してしまっているという恐怖が表裏一体となっている。だが撮影監督も兼任するPotrykusは彷徨うゴードンの傍らに立つことはなく、常に向かい側の道から距離感を伴いながら彼の姿を捉える。この隔たりによって必然的に彼の周りに広がる風景も等しく私たちも目前に現れる。黒と白が斑に交わりあう墓地、降りしきる雪の中で寂しげに佇む街灯、純白に覆われた家の連なり、その巷を歩き続ける独りの男。ある意味で崇高なまでの切なさがスーパー8の映像には宿っている。
そうPotrykusの作る“ゾンビ映画”はクソったれどころか、その対極にあるような複雑な感覚が織り込まれている。雪の街は酷く歩きにくい故にゴードンは何度も何度も何度も転び続ける。その姿は惨めで観ているこっちは何とはなしに笑えるほどだ。それでも彼の旅路は悲哀に満ちている。やっと辿り着いた家は既に空き家となり、生前の記憶を頼りに日常を送ろうと会社に行っても、絶叫がゾンビの彼を拒絶する。そして居場所を失ったゴードンは体が腐り、爪が剥がれ落ちようとも彷徨うしか道はない。“Gordon”はゾンビというジャンルを駆使し、はぐれ者が抱く凄絶な孤独の風景を描き出している。
そして2010年に製作された第2短編“Coyote”はこの孤独がまた別の形で映し出される。まずカメラは鬱蒼たる森の内部を映し出す。カメラがゆっくりと横へと動いていくとボロ雑巾のように打ち捨てられた体が2つ。片方のボロ雑巾が起き上がったかと思うと、ゾンビのようにこちらへと向かってくる。シャツは赤黒い汚れに塗れ、顔面は泥に髭にと酷く汚ならしい。そんな男とカメラが肉薄する時、彼の憂いを湛えた瞳が私たちを生温く見つめる。この青年こそが今作の主人公であるコヨーテ(Joshua Burge)だ。
このコヨーテは見るも無惨なほど典型的なヤク中野郎だ。全身ボロボロのまま、覚束ない足取りで以て、彼は森を抜け出してグランド・ラビッドのド田舎を進む。下手糞なグラフィティが張り付く壁の前を通り、爆音のラジカセでフランス・ギャルを垂れ流す女性2人組がダンスに誘ってきても断り、鍵もないので窓から自宅に潜入、その勢いで便器にゲロをブチ撒けて、ハードロックを聞きながらヤクを吸って寝る。こんな生活を毎日続けているマジで腐った怠け者がコヨーテという人間だった。
“Coyote”はこうしてクズ野郎のクズな日常を描き出していくのだが、前作が70年代周辺のホラー映画への愛が投影されていたのに対し、今作は例えばジム・ジャームッシュやアベル・フェラーラのような70〜80年代米インディーズ作家からの影響が濃厚だ。得体の知れないシミが壁を覆い隠す部屋、ゴミが嫌という程に撒き散らされた床に座り、ハードロックを鼓膜が引き裂かれるほど大音量で流しながら、コヨーテはヤクをひたすら炙り続ける。この地獄のようなシークエンスをPotrykusはダラダラとした長回しによって紡いでいく。この匂い立つ猥雑さと時の過ぎ去りを撮しとる感覚は2人の作家性が混じり合っていると言っていいだろう。
今作において重要なのは、Potrykus作品を牽引していく事となるJoshua Burgeの存在である。Potrykusは彼についてこう語っている。"ジョシュアは素晴らしいモータウン・フォーク・バンドChance Jonesのフロントマンをしていました。ミシガンや、特に私の町グランド・ラピッヅでは人気のバンドのね。舞台上の彼はトム・ウェイツとマイケル・ジャクソンが出会ったかのような存在で、私は彼の狂気的なエナジーの一部を映画に取り入れようとしているんです。直感的なパフォーマーであるジョシュアは、何の努力も無しにキャラクターとして、ただそこに在ることが出来る能力を持っている、一体どうやってるのか私には未だに分かりません。でも私たちはカチ合っている、それが監督と俳優の関係性で最も大切なことでしょう"*2
彼の顔は一度見たら忘れられないインパクトを持っている。目が離れ、頬が伸び、全体のバランスがかなり危ういカマキリのような顔。だがその表情には不思議とフェミニンな雰囲気が宿り、クセはありながらも頗る魅力的だ。更に彼の披露する歌声、心にザラつくような掠れを伴う、力強い低音の響きは正にトム・ウェイツを彷彿させる。彼の存在感が今作を、引いては“Ape” “Buzzard”と続く“獣三部作(Animal Trilogy)”を牽引することとなる。
多面的な魅力を持つBurgeの参戦もあってか、前作に比べて“Coyote”の作風は混沌として荒々しい物となっている。物語の速度自体は街を彷徨うコヨーテの足取りの如く鈍くはありながら、様々な要素が乱暴にブチ込まれる様は強烈だ。米インディーズ映画の感覚を基本として、前作のホラー要素も組み込みながら、“ギリシャの奇妙なる波”と共鳴を遂げるような全く奇妙なダンスシークエンス、更にパンクやハードロックという音楽が観客の脳髄を暴力的なまでに叩きつけられる。
そしてそのカオスがコヨーテの鬱屈と共に凄まじい爆破を遂げるのだが、そこにもPotrykusの映画愛が炸裂している。チープだが破壊力に満ち、滑稽だが全てを切り裂くような解放感がここにはある。短編なのでネタバレしても良いと思うのだが、先にも書いた通りvimeoで観られるので爆発を目撃して欲しい。この衝撃が彼の長編デビュー作“Ape”へと結実していくのだから。
参考文献
http://www.thealpenanews.com/page/content.detail/id/522676/Award-winnng-filmmaker.html?nav=5004(監督プロフィール)
http://www.sobnoisse.com/(製作会社公式サイト)
http://www.efilmcritic.com/feature.php?feature=3441(監督インタビュー)
ポスト・マンブルコア世代の作家たちシリーズ
その1 Benjamin Dickinson &"Super Sleuths"/ヒップ!ヒップ!ヒップスター!
その2 Scott Cohen& "Red Knot"/ 彼の眼が写/映す愛の風景
その3 デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?
その4 Riley Stearns &"Faults"/ Let's 脱洗脳!
その5 Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる
その6 ジェームズ・ポンソルト&「スマッシュド〜ケイトのアルコールライフ〜」/酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい…
その7 ジェームズ・ポンソルト&"The Spectacular Now"/酒さえ飲めばなんとかなる!……のか?
その8 Nikki Braendlin &"As high as the sky"/完璧な人間なんていないのだから
その9 ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める
その10 ハンナ・フィデル&"6 Years"/この6年間いったい何だったの?
その11 サラ=ヴァイオレット・ブリス&"Fort Tilden"/ぶらりクズ女子2人旅、思えば遠くへ来たもので
その12 ジョン・ワッツ&"Cop Car"/なに、次のスパイダーマンの監督これ誰、どんな映画つくってんの?
その13 アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている
その14 ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば
その15 Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く
その16 Leah Meyerhoff &"I Believe in Unicorns"/ここではないどこかへ、ハリウッドではないどこかで
その17 Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き
その18 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"
その19 Anja Marquardt& "She's Lost Control"/セックス、悪意、相互不理解
その20 Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路
その21 Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代
その22 Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに
その23 Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来
その24 John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言
その25 レスリー・ヘッドランド&"Sleeping with Other People"/ヤリたくて!ヤリたくて!ヤリたくて!
その26 S. クレイグ・ザラー&"Bone Tomahawk"/アメリカ西部、食人族の住む処
その27 Zia Anger&"I Remember Nothing"/私のことを思い出せないでいる私
その28 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その29 Perry Blackshear&"They Look Like People"/お前のことだけは、信じていたいんだ
その30 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その31 ジョシュ・モンド&"James White"/母さん、俺を産んでくれてありがとう
その32 Charles Poekel&"Christmas, Again"/クリスマスがやってくる、クリスマスがまた……
その33 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その34 ロベルト・ミネルヴィーニ&"Low Tide"/テキサス、子供は生まれてくる場所を選べない
その35 Stephen Cone&"Henry Gamble's Birthday Party"/午前10時02分、ヘンリーは17歳になる
その36 ネイサン・シルヴァー&「エレナ出口」/善意の居たたまれない行く末
その37 ネイサン・シルヴァー&"Soft in the Head"/食卓は言葉の弾丸飛び交う戦場
その38 ネイサン・シルヴァー&"Stinking Heaven"/90年代の粒子に浮かび上がるカオス
その39 Felix Thompson&"King Jack"/少年たちと"男らしさ"という名の呪い
その40 ジョセフィン・デッカー&"Art History"/セックス、繋がりであり断絶であり
その41 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その42 ジョセフィン・デッカー&"Butter on the Latch"/森に潜む混沌の夢々
その43 Cameron Warden&"The Idiot Faces Tomorrow"/働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない
その44 Khalik Allah&"Field Niggas"/"Black Lives Matter"という叫び
その45 Kris Avedisian&"Donald Cried"/お前めちゃ怒ってない?人1人ブチ殺しそうな顔してない?
その46 Trey Edwards Shults&"Krisha"/アンタは私の腹から生まれて来たのに!
その47 アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生
その48 Zachary Treitz&"Men Go to Battle"/虚無はどこへも行き着くことはない
私の好きな監督・俳優シリーズ
その101 パヴレ・ブコビッチ&「インモラル・ガール 秘密と嘘」/SNSの時代に憑りつく幽霊について
その102 Eva Neymann & "Pesn Pesney"/初恋は夢想の緑に取り残されて
その103 Mira Fornay & "Môj pes Killer"/スロバキア、スキンヘッドに差別の刻印
その104 クリスティナ・グロゼヴァ&「ザ・レッスン 女教師の返済」/おかねがないおかねがないおかねがないおかねがない……
その105 Corneliu Porumboiu & "Când se lasă seara peste Bucureşti sau Metabolism"/監督と女優、虚構と真実
その106 Corneliu Porumboiu &"Comoara"/ルーマニア、お宝探して掘れよ掘れ掘れ
その107 ディアステム&「フレンチ・ブラッド」/フランスは我らがフランス人のもの
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その109 Sydney Freeland&"Her Story"/女性であること、トランスジェンダーであること
その110 Birgitte Stærmose&"Værelse 304"/交錯する人生、凍てついた孤独
その111 アンネ・セウィツキー&「妹の体温」/私を受け入れて、私を愛して
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その113 Leyla Bouzid&"À peine j'ouvre les yeux"/チュニジア、彼女の歌声はアラブの春へと
その114 ヨーナス・セルベリ=アウグツセーン&"Sophelikoptern"/おばあちゃんに時計を届けるまでの1000キロくらい
その115 Aik Karapetian&"The Man in the Orange Jacket"/ラトビア、オレンジ色の階級闘争
その116 Antoine Cuypers&"Préjudice"/そして最後には生の苦しみだけが残る
その117 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その118 アランテ・カヴァイテ&"The Summer of Sangaile"/もっと高く、そこに本当の私がいるから
その119 ニコラス・ペレダ&"Juntos"/この人生を変えてくれる"何か"を待ち続けて
その120 サシャ・ポラック&"Zurich"/人生は虚しく、虚しく、虚しく
その121 Benjamín Naishtat&"Historia del Miedo"/アルゼンチン、世界に連なる恐怖の系譜
その122 Léa Forest&"Pour faire la guerre"/いつか幼かった時代に別れを告げて
その123 Mélanie Delloye&"L'Homme de ma vie"/Alice Prefers to Run
その124 アマ・エスカランテ&「よそ者」/アメリカの周縁に生きる者たちについて
その125 Juliana Rojas&"Trabalhar Cansa"/ブラジル、経済発展は何を踏みにじっていったのか?
その126 Zuzanna Solakiewicz&"15 stron świata"/音は質量を持つ、あの聳え立つビルのように
その127 Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来
その128 Kerékgyártó Yvonne&"Free Entry"/ハンガリー、彼女たちの友情は永遠!
その129 张撼依&"繁枝叶茂"/中国、命はめぐり魂はさまよう
その130 パスカル・ブルトン&"Suite Armoricaine"/失われ忘れ去られ、そして思い出される物たち
その131 リュウ・ジャイン&「オクスハイドⅡ」/家族みんなで餃子を作ろう(あるいはジャンヌ・ディエルマンの正統後継)
その132 Salomé Lamas&"Eldorado XXI"/ペルー、黄金郷の光と闇
その133 ロベルト・ミネルヴィーニ&"The Passage"/テキサスに生き、テキサスを旅する
その134 Marte Vold&"Totem"/ノルウェー、ある結婚の風景
その135 アリス・ウィンクール&「博士と私の危険な関係」/ヒステリー、大いなる悪意の誕生
その136 Luis López Carrasco&"El Futuro"/スペイン、未来は輝きに満ちている
その137 Ion De Sosa&"Sueñan los androides"/電気羊はスペインの夢を見るか?
その138 ケリー・ライヒャルト&"River of Grass"/あの高速道路は何処まで続いているのだろう?
その139 ケリー・ライヒャルト&"Ode" "Travis"/2つの失われた愛について
その140 ケリー・ライヒャルト&"Old Joy"/哀しみは擦り切れたかつての喜び
その141 ケリー・ライヒャルト&「ウェンディ&ルーシー」/私の居場所はどこにあるのだろう
その142 Elina Psykou&"The Eternal Return of Antonis Paraskevas"/ギリシャよ、過去の名声にすがるハゲかけのオッサンよ
その143 ケリー・ライヒャルト&"Meek's Cutoff"/果てなき荒野に彼女の声が響く
その144 ケリー・ライヒャルト&「ナイト・スリーパーズ ダム爆破作戦」/夜、妄執は静かに潜航する
その145 Sergio Oksman&"O Futebol"/ブラジル、父と息子とワールドカップと
その146 Virpi Suutari&”Eleganssi”/フィンランド、狩りは紳士の嗜みである
その147 Pedro Peralta&"Ascensão"/ポルトガル、崇高たるは暁の再誕
その148 Alessandro Comodin&"L' estate di Giacomo"/イタリア、あの夏の日は遥か遠く
その149 イリンカ・カルガレアヌ&「チャック・ノリスVS共産主義」/チャック・ノリスはルーマニアを救う!
その150 Rina Tsou&"Arnie"/台湾、胃液色の明りに満ちた港で
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その152 Tali Shalom Ezer&"Princess"/ママと彼女の愛する人、私と私に似た少年
その153 Katrin Gebbe&"Tore Tanzt"/信仰を盾として悪しきを超克せよ
その154 Chloé Zhao&"Songs My Brothers Taught Me"/私たちも、この国に生きている
その155 Jazmín López&"Leones"/アルゼンチン、魂の群れは緑の聖域をさまよう
その156 Noah Buschel&"Bringing Rain"/米インディー映画界、孤高の禅僧
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その158 トゥドール・クリスチャン・ジュルギウ&「日本からの贈り物」/父と息子、ルーマニアと日本
その159 Noah Buschel&"The Missing Person"/彼らは9月11日の影に消え
その160 クリスティ・プイウ&"Marfa şi Banii"/ルーマニアの新たなる波、その起源
その161 ラドゥー・ムンテアン&"Hîrtia va fi albastrã"/革命前夜、闇の中で踏み躙られる者たち
その162 Noah Buschel&"Sparrows Dance"/引きこもってるのは気がラクだけれど……
その163 Betzabé García&"Los reyes del pueblo que no existe"/水と恐怖に沈みゆく町で、生きていく
その164 ポン・フェイ&"地下香"/聳え立つビルの群れ、人々は地下に埋もれ
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その166 アリアーヌ・ラベド&「フィデリオ、あるいはアリスのオデッセイ」/彼女の心は波にたゆたう
その167 Clément Cogitore&"Ni le ciel ni la terre"/そこは空でもなく、大地でもなく
その168 Maya Kosa&"Rio Corgo"/ポルトガル、老いは全てを奪うとしても
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その170 Alex Santiago Pérez&"Las vacas con gafas"/プエルトリコ、人生は黄昏から夜へと
その171 Lina Rodríguez&"Mañana a esta hora"/明日の喜び、明日の悲しみ
その172 Eduardo Williams&"Pude ver un puma"/世界の終りに世界の果てへと
その173 Nele Wohlatz&"El futuro perfecto"/新しい言葉を知る、新しい"私"と出会う
その174 アレックス・ロス・ペリー&"Impolex"/目的もなく、不発弾の人生
その175 マリアリー・リバス&「ダニエラ 17歳の本能」/イエス様でもありあまる愛は奪えない
その176 Lendita Zeqiraj&"Ballkoni"/コソボ、スーパーマンなんかどこにもいない!
その177 ドミンガ・ソトマヨール&"Mar"/繋がりをズルズルと引きずりながら
その178 Ron Morales&"Graceland"/フィリピン、誰もが灰色に染まる地で
その179 Alessandro Aronadio&"Orecchie"/イタリア、このイヤミなまでに不条理な人生!
その180 Ronny Trocker&"Die Einsiedler"/アルプス、孤独は全てを呑み込んでゆく
その181 Jorge Thielen Armand&"La Soledad"/ベネズエラ、失われた記憶を追い求めて
その182 Sofía Brockenshire&"Una hermana"/あなたがいない、私も消え去りたい
その183 Krzysztof Skonieczny&"Hardkor Disko"/ポーランド、研ぎ澄まされた殺意の神話
その184 ナ・ホンジン&"哭聲"/この地獄で、我が骨と肉を信じよ
その185 ジェシカ・ウッドワース&"King of the Belgians"/ベルギー国王のバルカン半島珍道中
その186 Fien Troch&"Home"/親という名の他人、子という名の他人
その187 Alessandro Comodin&"I tempi felici verranno presto"/陽光の中、世界は静かに姿を変える
その188 João Nicolau&"John From"/リスボン、気だるさが夏に魔法をかけていく
その189 アルベルト・セラ&"La Mort de Louis XIV"/死は惨めなり、死は不条理なり
その190 Rachel Lang&"Pour toi je ferai bataille"/アナという名の人生の軌跡
その191 Argyris Papadimitropoulos&"Suntan"/アンタ、ペニスついてんの?まだ勃起すんの?
その192 Sébastien Laudenbach&"La jeune fille sans mains"/昔々の、手のない娘の物語