鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

「ラスト・コンサート」、その他のオヴィディオ・G・アソニティスについて

「さあ、今回からは『ブチ撒け!欧州Z級映画紀行』と称してヨーロッパのZ級映画、いわゆるユーロ・トラッシュについて見ていきたい。貴方がたが見ている世界的名作の影で、生まれては忘れ去れていったZ級映画の数々を知って頂けたならばそれほど嬉しいことはない。
 最初の国はイタリアだ!ネオリアリズモで名高いこの国だが、それと同時にZ級映画の聖地と言えども過言ではない.。様々な欲望が渦巻くZ級パンデモニウムにおいて、最初に見ていく映画は『ラスト・コンサート』だ!

「早速だが、君の意見はどうだったろう?」

「これがZ級映画!?教授、正気ですか?
 余りにも正当に真っ直ぐで、だからこそ胸を打つ瑞々しい物語に、私感動の涙を抑えられませんでした……というか抑えられる訳ないでしょう!世界から見捨てられて不遇に身を窶す男性と、運命から見放されようとそれでも世界と彼を愛し続けた少女。逃れることをせず、命失う未来を素直に受け入れ、二人で奏でる旋律と共に美しく生きた彼女の、短く小さくとも暖かい愛の生涯。ラスト、最愛の人によって紡がれる音の波に包まれて、静かに目を閉じ、微笑を浮かべ果てていく…………ただひたすらにロマンチックで、哀しくて、でも……でも…………うっ………ヒグっ……」

「確かに素晴らしい愛の物語だった。この映画がZ級映画である筈がない、その言い分ももっともだろう」

「…………あっ、でも上野樹里の吹替えはZ級と呼ぶにふさわしかったです………ジュルルルルル………」

「それも正に!芸能人吹替えというのは、本当に由々しき問題と言えるだろうな。偶さか普通の映画が、低クオリティの吹替えでZ級に堕すという現象が見られるのは問題だ。
 誰とは言わないが。
 誰とは言わないのだが!!
 私が良いと思った芸能人吹替は後にも先にも、『エクスタミネーター』の江本孟紀、『ベイビーブラッド』の松坂季実子、そして『善き人のためのソナタ』の萩原流行だけだ!」

萩原流行の意外な仕事幅に驚いてます………」


この人は萩原流行ですか?いいえ、彼は萩原流行ではなく神無月です。

「そして君に一つ残念なお知らせなのだが、『ラスト・コンサート』の内容にはこれ以後ほぼ触れないで、他のことについて語らせてもらう」

「……………はっ、ハァ???えっ、それなら私の涙は一体何だったんですか???」

「これから話すイタリアZ級映画界への供物となるだろうな」

「うわ、最悪です…………」

「さて、それで内容でないならば何を話すかと言えば、スタッフ陣とその成立背景についてである。
 まずこのAllcinema4ページ分に目を通して、全てに共通して載っているスタッフを見つけて欲しい」

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=24572

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=1177

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=8734

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=4135

「えーっとまずは『ラストコンサート』ですね。へぇこれ日本人の方が製作に関わっているのですね。
 で、次は………『アマゾネス対ドラゴン 世紀の激突』うわ………邦題からして糞尿以下のZ級映画臭がプンプンする……


ドラゴンが不在

 そして………『殺人魚フライングキラー』……これもまた度し難い……ってえ??これ監督ジェームズ・キャメロン???ってあの同姓同名の別人とかでなく、『ターミネーター』や『アバター』のジェームズ・キャメロンですか???」

「それ以外に誰がいるというんだ?」

「こんな映画も作っていらっしゃったんんですね、巨匠も下積み時代はこんな雇われ仕事を………」


キャメロンにこの映画についての話を振ると、キレ気味に拒否するそうです

「最後は、えーと……『怪奇!魔境の裸族』うわ、出た破廉恥邦題!キモッ!本当にこういうの度し難いです!中身もさぞやドイヒーな物なのでしょうね!」


裸族なんです。裸族なんですね。

「まあまあ抑えるんだ。して、共通する人物は解っただろうか?」

「えっと、あ〜、この製作のオヴィディオ・G・アソニティスという方でしょうか?」

「そう!その人物、イタリアZ級映画界の最重要人物であるからして、彼の名前だけは何としてでも絶対に覚えてもらいたい! オヴィディオ・G・アソニティス!オヴィディオ・G・アソニティス!オヴィディオ・G・アソニティス!
 この偉大なる辣腕プロデューサーであるオヴィディオ・G・アソニティスの名は何が何でも天地神明に懸けても覚えてもらわねばならない!
 オヴィディオ・G・アソニティス!オヴィディオ・G・アソニティス!オヴィディオ・G・アソニティス!
 オヴィディオ・G・アソニティス!
 オヴィディオ・G・アソニティス!!
 オヴィディオ・G・アソニティス!!!
 はい復唱!!!」

「お、おびでぃお・G・アソニティチュ、おヴぃでお、アソニティ……名前言いにくすぎます!」

「この名は骨に、脳に刻み付けて覚えるんだ!高校生が織田信長を知らないとバカにされるのと同じく、Z級映画に足を踏み入れながら“オヴィディオ・G・アソニティス”を知らない者は、魔境の裸族に喰われて無知の涙を流しても文句は言えん!」

「いつになくヒートアップなされて、それほどの重要人物なのですね………」

「そうだ!致命的な重要度なんだ!
 しかし一体彼の何が凄いというのか?それをフィルモグラフィから検証していこう。

サブリナ 麗しの魔女inローマの休日 (1998) 製作  
檻の中の情事 (1993)<未> 監督  
マーシャル・コマンダー/黒の攻襲 (1992)<未> 製作  
ミッドナイト・ライド (1990)<未> 製作  
ワイルド・ボーイ (1990)<未> 製作  
ブラッド・バイター (1989) 製作  
ザ・トレイン (1989) 製作総指揮  
デッドウォーター (1987)<未> 製作  
アイアン・ウォリアーズ/魔界剣士 (1986)<未> 製作  
激突!空中アトミック戦略/ヒーロー・ボンバー (1985)<未> 製作  
生体ジャンク!狂殺の館 (1984)<未> 監督/脚本  
殺人魚フライングキラー (1981) 製作総指揮  
ラスト・クリスマス (1980) 製作総指揮  
ザ・ビジター (1979)<未> 原案/製作  
テンタクルズ (1977) 監督/製作総指揮  
ラストコンサート (1976) 製作  
メリーゴーランド (1974) 製作  
アマゾネス対ドラゴン/世紀の激突 (1974) 製作  
空手アマゾネス (1974) 製作  
デアボリカ (1973) 監督/脚本/製作  
怪奇!魔境の裸族 (1973) 製作総指揮 ――以上allcinemaから引用

「『空手アマゾネス』『生体ジャンク!狂殺の館』『激突!空中アトミック戦略/ヒーロー・ボンバー』『檻の中の情事』…………何と言うか、ホラーからアクション、エロティック作品まで、製作する映画が幅広いというか節操がないというか」

「彼の特色はそのフィルモグラフィの広範さにある
 そしてもう一つ特色があるのだが、例えば『ラストコンサート』の翌年に製作された『テンタクルズ』という映画の予告編を見てみよう。

「タコが海中で人を襲う………ってコレ『ジョーズ』パクってません?」

「いや『ジョーズ』はサメが襲ってくるが、『テンタクルズ』ではタコだ。パクリじゃない、断じてパクリではない。ただ偶然『ジョーズ』が作られた2年後に、この映画が作られただけで特にパクリではない。
 次は1973年製作であるこちらの作品を見てみよう。

「悪魔に憑りつかれた女性って時点で『エクソシスト』ですし、彼女が悪魔の赤ちゃんを産むって更に『ローズマリーの赤ちゃん』のパクり………」

「いやいや、憑りつかれるのは少女でなく熟女であるし、パクりとかそういう類の代物では一切ないと言わざるを得ないと私には思われてならない故にこれはパクりではないと私は考えている……」

「まどろっこしいお茶の濁し方して、擁護しなくても良いですから!」

「そしてコレも見てみよう」

「もうこれに至っては音楽がカッコ良いばかりで、内容については1mmたりとも入ってこないです……」

「まあ簡単に言えば『未知との遭遇』に『オーメン』っぽさを掛け合わせた新機軸のSFと言って良いだろう」

「だからそれをパクりっていうんでしょう?!」

「パクりではない、二番煎じだ!」

「どっちも同じ意味ですよ!」

「あのジョン・ヒューストンサム・ペキンパー、『狩人の夜』のシェリー・ウィンタースが出演していると言っても、そんなパクり映画などと君は言えるのか?」

「まさかの豪華さに驚愕を隠しきれませんけれど、それでもそれはパクり映画ですよ!全部含めてパクリ映画ですよ!」

「……………まぁ、うん、そうだな。全部パクりだ」

「やっと認めましたか……」

「他にもアソニティスは、007でお馴染みのテレンス・ヤングの『アマゾネス』に便乗して『空手アマゾネス』『アマゾネスVSドラゴン/世紀の大激突』を製作。『生体ジャンク!狂殺の館』はスラッシャー映画のZ級迷作『誕生日はもう来ない』のストーリーラインをパクリにパクってどうしようもない有様だ。
 しかし此処で疑問が湧かないだろうか?“オヴィディオ・G・アソニティス”という男は、何故こんなにもパクり映画を作ることに拘るのだろうか?その問いを宿題として、次回へ続くこととしよう!
 それではArrivederci, Arrivederci, Arrivederci!

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ブルース・リーアゴが伸びてない?