2018-01-01から1年間の記事一覧
現在、ルーマニアでは同性婚禁止の動きが活発化している。政府が国民投票によって結婚についての憲法条項の改訂を決めたのである。もしこれによって本当に同性婚が禁止されてしまったならば恐ろしいことだ。LGBTQである人々の権利が著しく侵害されてしまうの…
死によってある人の生が終わりを告げてしまったとする。しかしその人にとっての大切な人の人生は未だ終わることなく続いていくはずだ。そんな時、人々はどうやって喪失の悲しみや苦しみと向き合えばいいのだろうか。ミカエル・エール Mikhaël Hers監督は第2…
EUの発展によってますますヨーロッパの境界が緩やかになりながらも、いやだからこそと言うべきか西欧と東欧という地域の交わりを描き出そうとする作品が増えてきている。近年で最も話題になったのはマーレン・アーデ監督作「ありがとう、トニ・エルドマン」…
さて、このブログでは移民という立場から様々な物事を描き出す映画を多く紹介してきた。それは個人的理由から政治的理由、自発的なものから止むに止まれぬものまで、種々の理由で国から国へと移住する人々がこのテン年代においてどんどん増えてきているから…
シングルマザーの苦境を描き出した作品は少なくない。社会の停滞や腐敗の影響をまず真っ先に受ける筆頭が周縁の中の更に周縁にいる彼女たちであり、日本でも彼女たちを見舞う苦境や悲劇についての報道が止むことがない。そして国が違えば彼女たちの直面する…
さて、皆さんはラジオをお聞きになられるだろうか。私の場合、昔はちょいちょい聞いていたのだが、今はもっぱら映画のPodcastばかり聞いている。テレビについてもそうなのだが、歳を取るにつれ、決まった時間に決まった番組がやるからその時間にラジオの前に…
さて、ヴェネチア国際映画祭はメキシコの映画作家アルフォンソ・キュアロンの最新作“Roma”が金獅子賞を獲得したことで、幕を閉じることとなった。だが私が興味あるのはメインのコンペティション部門よりもサイドのオリゾンティ部門である、とは前も言った。…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で リン・シェルトン&"Humpday"/俺たちの友情って一体何なんだ? リン・シェルトン&「ラブ・トライアングル…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で リン・シェルトン&"Humpday"/俺たちの友情って一体何なんだ? リン・シェルトン&「ラブ・トライアングル…
最近ネット上でキャットコーリングという言葉が話題になった。この言葉は、その人の迷惑も考えずに男性が女性に対して声をかけたりナンパしたりするハラスメント行為を意味している。これらにウンザリしている女性たちは少なくないだろう。そしてそれは日本…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で リン・シェルトン&"Humpday"/俺たちの友情って一体何なんだ? リン・シェルトン&「不都合な自由」/20年の…
皆さんはHans Hurchという人物を知っているだろうか。彼はオーストリア出身の映画ジャーナリスト兼ウィーン国際映画祭のアーティスティック・ディレクターも務めた人物だった。更に彼はドイツを拠点に活躍した偉大なる作家コンビであるストローブ=ユイレの作…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で リン・シェルトン&"Humpday"/俺たちの友情って一体何なんだ? リン・シェルトンの経歴および長編作につい…
リン・シェルトン&"We Go Way Back"/23歳の私、あなたは今どうしてる? リン・シェルトン&"My Effortless Brilliance"/2人の男、曖昧な感情の中で リン・シェルトン&"Humpday"/俺たちの友情って一体何なんだ? リン・シェルトンの経歴および長編作につい…
老いることは恐ろしいことなのだろうか?テレビCMや広告では若さこそが至上とするような内容が喧伝され、私たちに恐怖を撒き散らしていく。そして老いゆく人々、老いた人々には人生の終りがやってきたとばかり軽蔑の視線が向けられていく。だが果たして本当…
2016年、トルコで軍事クーデターが起こったことは記憶に新しいだろう。こちらは未遂に終わったが、そんな未遂のものを含めてトルコでは幾度となく軍事クーデターが巻き起こっている。今回紹介するMahmut Fazıl Coşkun監督によるトルコ映画“Anos”もそんな過去…
60年代から80年代にかけて、ブラジルは軍事政権下におかれていた。1964年、クーデターによってカステロ・ブランコ将軍が大統領に就任した後から約20年の間、その時代は抑圧と粛清の嵐が吹き荒れ、突如行方不明となる人物が続出することとなる。一体何故彼ら…
ルーマニアとハンガリーは長い間複雑な関係性を築いてきたが、それ故にルーマニア内にはハンガリー人コミュニティが存在している。「ルーマニアを知る60章」によれば、2002年の時点でハンガリー系住民はトランシルヴァニアを中心に約143万人おり、それはルー…
さて、マンブルコアである。ゼロ年代のアメリカ映画界を席巻したムーブメントである。今ブログで“結局マンブルコアって何だったんだ?”というシリーズ名でマンブルコア映画の特集記事を書いている訳だが、それを始めたのは2016年、とうとうマンブルコアを代…
アンドリュー・バジャルスキー&"Funny Ha Ha"/マンブルコアって、まあ……何かこんなん、うん、だよね アンドリュー・バジャルスキー&"Mutual Appreciation"/そしてマンブルコアが幕を開ける アンドリュー・バジャルスキー&"Beeswax"/次に俺の作品をマンブ…
今年もヴェネチア国際映画祭が幕を開けた。今回はカンヌが世代交代を図って割りを喰ったとされる巨匠や鬼才がコンペティション部門に勢揃いし、今までにない盛り上がりを見せているが、ぶっちゃけ私はあんまり興味がない。それよりも、映画配信サイトFestiva…
アンドリュー・ブジャルスキー&"Funny Ha Ha"/マンブルコアって、まあ……何かこんなん、うん、だよね アンドリュー・ブジャルスキー&"Mutual Appreciation"/そしてマンブルコアが幕を開けるアンドリュー・ブジャルスキー&"Beeswax"/次に俺の作品をマンブル…
さてここ連続して、ブログでロシア映画の記事ばかり執筆しているのに皆さん気づいているだろうか。というのも最近Soviet and Russian Moviesという未公開映画配信サイトを見つけ、ここで新作を片っ端から観ているからなのだ。ここは名前の通りソ連/ロシア映…
ロシアと言えばソ連時代から連綿と続くアート映画大国だろう。ジガ・ヴェルトフやアンドレイ・タルコフスキー、アレクサンドル・ソクーロフやアンドレイ・ズビャギンツェフなどなど文芸映画の担い手であった映画作家たちは枚挙に暇がない。だが今回はそうい…
さて、ロシア連邦はその名の通り様々な国から成り立っている連合国家であるのだが、その中のカバルダ・バルカル共和国という国を皆さんは知っているだろうか。正直言って私なんかは全く知らなかった。しかし私たちが知らないだけで、そこでは様々な人々が人…
Chloé Robichaud &"Sarah préfère la course" /カナダ映画界を駆け抜けて Chloé Robichaud&"FÉMININ/FÉMININ"/愛について、言葉にしてみる Chloé Robichaud監督の略歴、および前作についてはこちら参照。さて、Chloé Robichaud監督である。彼女は私にとって…
以前、“À peine j'ouvre les yeux”というチュニジア映画をこのブログで紹介した。アラブの春直前を舞台に、バンド活動に明け暮れる少女の姿を通じて若者の未来への絶望感や家父長制社会からの抑圧を描き出した青春映画が本作だった。今回紹介するKaouther Be…
さてTwitter上で“一体どうやって未公開映画を観ているんですか?”という問い合わせを頂いた。確かに私が何故にこんなにも凄まじい勢いで以て未公開映画を観ているのか、というか観られるのか疑問に思っている方は少なくないだろう。な訳でいい機会だしと、私…
さて、キプロスである。地中海に浮かぶ、日本と同じく島国であるこの国はギリシャ語が公用語である、ことしか私は知らない。観光地としては結構有名、タックスヘイブンとして投資の拠点地となっていることも有名である。ニュースでは後者について聞いたこと…
さて、エクアドルである。赤道上に位置することが国名の由来、ということしか知らない。調べてみるとジャングルやアンデス山脈、ガラパゴス諸島が有名らしい。そしてこの国で製作された映画は、正直1本も知らない。だがそんな国の映画こそ紹介しがいがある訳…