2016-01-01から1年間の記事一覧
Rachel Lang&"Pour toi je ferai bataille"/アナという名の人生の軌跡 Rachel Lang監督の経歴およびアナ3部作の前2作についてはこちら参照。ロカルノ国際映画祭など名だたる映画祭で名声を博した監督Rachel Langは、1つの大きな決断をする。もう1度軍に入り…
クレベール・メンドンサ・フィリオ&「ネイバリング・サウンズ」/ブラジル、見えない恐怖が鼓膜を震わす クレベール・メンドンサ・フィリオ監督の略歴ひいては長編デビュー作「ネイバリング・サウンズ」のレビューはこちら参照飽きもせずただひたすらに映画…
さて、最近このブログではミリャナ・カラノヴィッチの"Dobra žena"とNatalia Almadaの"Todo lo demás"という、老いと対面する女性たちの姿を描いた作品を2連続で紹介してきた。人間が生きるにあたって、老いは避けることが出来ないが、例えば肌に深い皺が浮…
血も何もかも関係はない、人間は究極的に独りだ。それはこの世界に生まれた瞬間には運命づけられている。だから世界は何十億の孤独が集まって出来ているのだ。断絶、拒絶、空白、そして他者は常にあなたの隣にある、逃げられはしない。そんな中では“わたし”…
あの血塗られたユーゴスラビア紛争から約20年もの歳月が経ちながら、未だにその傷は癒えることがなく、人々の心に深く残り続けている。そしてユーゴスラビアの映画作家たちは様々な形でその傷を作品の中で描き続けている。アイダ・ベジッチの"Djeca"は未だ紛…
ベン・ウィートリー、もはや言わずと知れた現代ブリテン諸島映画界きっての奇才である。「キル・リスト」や「サイトシアーズ」の頃はヤバすぎる変態映画作家が登場したぞ……と一部で人気なカルト作家として名を馳せていたが、今ではトム・ヒドルストン主演×J.…
今作の主人公はダニエル(Lane Hughes)という名の青年だ。彼の人生は破滅的な状況を迎えていた。ある出来事をきっかけに脱け殻のような日々を送り続け、町中を彷徨い歩いたかと思うと、彼が足を踏み入れるのはいつも薬局だ。ダニエルはそこで錠剤を買い、家に…
タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェスト&"The House of the Devil"/再現される80年代、幕を開けるテン年代 タイ・ウェストの経歴および彼の長編作品…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェスト&"Trigger Man"/狩人たちは暴力の引鉄を引く タイ・ウェストの経歴および彼の長編"The Roost"&"Trigger Man"についてはこの記事参照。さて、タイ・ウェストは2007年に第2…
さて前回は2回に分けて、マンブルゴアの暗黒貴公子タイ・ウェストによる初期作品を紹介してきたが、彼を紹介するならば、先の記事の冒頭に記したアダム・ウィンガードも紹介していかなければならないだろう。現在では「ブレアウィッチ」を監督し、今後はハリ…
タイ・ウェスト&"The Roost"/恐怖!コウモリゾンビ、闇からの襲撃! タイ・ウェストの経歴および彼の長編デビュー作"The Roost"についてはこの記事参照。アメリカを語る上で、アメリカの男らしさを語る上で狩りという行為は欠かすことが出来ない。大いなる…
さて、このブログではマンブルコアというムーブメントについて紹介しているのだが、日本ではどちらかと言うとマンブル"ゴ"ア映画の方が有名かもしれない。その名前にピンと来ずとも、アダム・ウィンガードに彼の監督作品「サプライズ」「ザ・ゲスト」と聞け…
Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ! Joshua Burge&"Buzzard"/資本主義にもう一発、中指ブチ立てろ! Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照…
Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと Joel Potrykus&"Ape"/社会に一発、中指ブチ立てろ! Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照。Potrykusの前作“Ape”は売れないコメディアンのチンケな抵抗を通…
Joel Potrykus&"Coyote"/ゾンビは雪の街へと、コヨーテは月の夜へと Joel Potrykusの経歴及び短編"Gordon"&"Ape"のレビューはこちら参照。よれよれのYシャツを着た青年、住宅街を突き進んでいく彼の背中を私たちは追っていく。その背中は頼りないように見え…
米インディーズ映画界ほど豊かな世界が広がる場所はないのではないか、私は日々インディー映画を観ながら思うのだ。孤高の禅僧として異色のジャンル映画を作り続ける“The Phenom”のノア・ブシェル Noah Buschel, 真にインディペンデントな作家として周縁を生…
さてアニメーションである。この記事を書く前に調べてみたのだが、ブログで300本以上の映画をレビューしてきたのに、実は今まで1度もアニメーション映画を取り上げてこなかったらしい。別にアニメが嫌いな訳ではなく、映画にハマる10年以上前は超アニメを観…
例えば1つの物語があり、そこには1人のーー時には何人ものーー主人公がいて、物語を通じて私たちは彼/彼女と共に生きていくことになる。だから物語の終りは彼らとの旅の終りでもある。そうして別れを告げる時、名残惜しさと共にもっとこの物語が長く続けば良…
さて"ギリシャの奇妙なる波"についてはこのブログで何度も紹介しているが、その奇妙さの中で奇妙に際立つ要素に"男性性の崩壊"という物がある。まず「籠の中の乙女」とAlexandros Arvanasの"Miss Violence"は男性性の権化としての父を頂点として家族という最…
ルイ14世、ブルボン朝第3代のフランス王国国王であり別名"太陽王"。当時ヨーロッパ随一の国力を誇っていたフランスを指揮し、侵略戦争によって領土を広げ更に国力を増強、豪奢の限りを尽した末にあのベルサイユ宮殿を作り、フランス絶対王政の全盛期を謳歌し…
夏休みと言えば海やプールで泳ぎ、誰かと花火を見たり、クーラーのかかった家でアイス食べながらゴロゴロしたり、とにもかくにも自分のやりたいことが何でも出来る長い長い休みだ。だが夏休みに突入した後、実際やれることもやりたいことはそう多くないこと…
Alessandro Comodin&"L' estate di Giacomo"/イタリア、あの夏の日は遥か遠く Alessandro Comodinのプロフィール及びデビュー長編"L' estate di Giacomo"についてはこちら参照群青色の闇を駆け抜ける2つの影、彼らは息を切らしながら深き森を走り続ける。耳…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"LOL"/繋がり続ける世代を苛む"男らしさ" ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバー…
マンブルコアにおいて、私が勝手に四天王と呼んでいる存在がいる。まず1人はアンドリュー・ブジャルスキー(紹介記事その1)、彼が居なければマンブルコアはなかった意味では頂点に君臨する存在と言える。そして次にジョー・スワンバーグ(紹介記事その2)、超低…
ジョー・スワンバーグ&"Kissing on the Mouth"/私たちの若さはどこへ行くのだろう ジョー・スワンバーグ&"Nights and Weekends"/さよなら、さよならグレタ・ガーウィグ ジョー・スワンバーグ&"Alexander the Last"/誰かと生きるのは辛いけど、でも…… ジョ…
さて、このブログでは"ポスト・マンブルコアの世代"と称してテン年代の米インディー作家を紹介している。この命名の由来は丁度このブログを始めた折り、大手映画情報サイトindiewireに"マンブルコアという言葉も、今年で10歳を迎えた。もうこの言葉使うの止…
さて私は先日ノア・バームバック監督作「ヤング・アダルト・ニューヨーク」を観てきたのが、これがかなり悪質なマンブルコア搾取、正確に言えばジョー・スワンバーグ搾取映画で驚いた。ベン・スティラー扮する40代の主人公にピチピチ20代のアダム・ドライヴ…
思春期という名の変化は類を見ないほどの激しさと痛みを伴う。身体の変化、そして精神の変化に誰もが戸惑い、それを受け入れることが出来ず、荒れ狂う波に呑み込まれることとなってしまう。だがそれによって苦しむのは当事者である少年少女だけではない、周…
さてベルギーである。正式名称ベルギー王国、フラマン語を公用語とするフランデレン地域、フランス語を公用語とするワロン地域とブリュッセル首都圏の3つから成り立つ連邦立憲君主制国家だ。そして首都ブリュッセルにはEUの主要機関が多く置かれているために…