鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

2020-01-01から1年間の記事一覧

Isabel Sandoval&「リングワ・フランカ」/アメリカ、希望とも絶望ともつかぬ場所

さて、今映画界におけるトランスジェンダー表象が話題である。例えばNetflixでトランスジェンダー表象を当事者の目線で描きだした"Disclosure"(邦題は長すぎる)が配信された一方で、ハル・ベリーがトランスジェンダー男性を演じようとして批判が殺到、彼女が…

ラトビア・アニメーションの宇宙~Interview with Ieva Viese

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

焦点合わず~Andy Bausch"La Revanche"と価値の問題 by Gérard Kraus

さて、ルクセンブルク映画である。以前、私はルクセンブルク人映画批評家であるGérard Krausによる、ルクセンブルクで最も有名な映画作家の1人Andy Bausch アンディ・バウシュの代表作"Le club des chômeurs"の批評記事を翻訳し、紹介した。その後、彼に他に…

チェコ、ある夏の解剖学~Interview with Adam Martinec

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

ユーゴスラビアからインドへ~Interview with Anuj Malhotra

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

ベラルーシ映画史を越えて~Interview with Irena Kotelovich

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

コバルトブルーのミャンマーで~Interview with Aung Phyoe

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

ブルガリア映画史の色彩~Interview with Mariana Hristova

Photo Credit: Àlam Rajaさて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス…

ウズベク映画史のはじまり~Interview with Mukhlisa Azizova

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

ミャンマー映画史の向こう側~Interview with Myat Noe

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

"Le club des chômeurs"~ルクセンブルクの秘められた表情 by Gérard Kraus

さて、ルクセンブルク映画界である。この小国で作られた映画を観ることはとても難しく、ゆえに映画史を探ることも難しい。そんな逆境のなかで、私はルクセンブルク映画史をルクセンブルク人批評家を探してネットの海を彷徨っていた。そんななかで、私はある…

悲しい週末にさよならを~Interview with Lida Vartzioti & Dimitris Tsakaleas

さて、このサイトでは2010年代に頭角を表し、華麗に映画界へと巣出っていった才能たちを何百人も紹介してきた(もし私の記事に親しんでいないなら、この済藤鉄腸オリジナル、2010年代注目の映画監督ベスト100!!!!!をぜひ読んで欲しい)だが今2010年代は終…

"Otac"~南東ヨーロッパの哀しみをめぐるリアルな肖像画 written by Arman Fatić

この鉄腸マガジンは長らくこの私、済藤鉄腸が一人で運営してきた。が、最近世界中に映画批評家の友人たちができるにあたって、彼らから何か記事を執筆してもらえたら面白いのではないかと思いはじめた。そこで募集してみると、彼らからいくつか記事が集まっ…

Martin Turk&"Ne pozabi dihati"/この切なさに、息をするのを忘れないように

兄と弟の関係性を描いた作品というものは男らしく、武骨なものが大半を占めるだろう。それは実際の兄弟関係を反映しながらも、多様性という意味では少しつまらなく感じる。だが今回紹介するスロヴェニア期待の映画作家Martin Turkの第3長編"Ne pozabi dihati…

アルメニア映画史、風に吹かれて~Interview with Sona Karapoghosyan

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

ヴァルテルがボスニア映画史を救う!~Interview with Ines Mrenica

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

ボスニア映画史の、この魂~Interview with Arman Fatić

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Lachezar Avramov&"A Picture with Yuki"/交わる日本とブルガリア

日本で最も有名なブルガリア人作家は誰だろう? 「軛の下で」のイワン・ヴァーゾフ(Иван Вазов)か、それとも「あらくれ物語」のニコライ・ハイトフ(Николай Хайтов)か、もしくは「タバコ」のディミートル・ディーモフ(Димитър Димов)だろうか。だが驚くべき…

モンテネグロ映画史の官能~Interview with Zerina Ćatović

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

ブルガリア映画史の呼び声~Interview with Katerina Lambrinova

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

モンテネグロ映画史の、この美しさ~Interview with Maja Bogojević

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Ismet Sijarina&"Nëntor i ftohtë"/コソボに生きる、この苦難

第2次世界大戦後にユーゴスラビアが成立した時、コソボ一帯はアルバニア人が多かったゆえに、セルビアの自治州となった。それからアルバニア人たちは幾度となく独立運動を行い、2008年にはとうとう独立を獲得することになるが、そこまでには険しい道を歩まね…

Andrei Cătălin Băleanu&"Muntele ascuns"/田舎の安らぎ、都市の愛

山はルーマニア人にとって心の故郷である。私の友人である20代の女性も、小さな頃には裸足で山を駆けまわっていたそうである。悲しいがルーマニアは貧しい小国で、地方にはリソースが少ないので、ブカレストやクルジュ=ナポカなどの都市に移住する者が多い…

Savaş Cevi&"Kopfplatzen"/私の生が誰かを傷つける時

小児性愛は欧米においては絶対的なタブーであるだろう。それ故にこれを描きだした芸術作品というのはあまりに少ないし、これから新しい作品が作られることもほとんどないだろう。そんな中で、ドイツからこの社会的タブーを描きだそうとする映画が現れた。そ…

Ada Pistiner&"Stop cadru la masă"/食卓まわりの愛の風景

ゼロ年代より以前、女性監督というものは極端に少なかった。だがその映画産業の規模に比べて、ルーマニアには割かし多くの女性監督がいた。外国人の私ですら4人も名前を挙げられる。子供映画の名手Elisabeta Boștan エリサベタ・ボシュタン、アントニオーニ…

Șerban Creagă&"Căldura"/あの頃、ぼくたちは自由だったのか?

私が世界の映画でも特にルーマニア映画が好きなことはこの鉄腸マガジンの読者ならば知っているだろうが、それ故にたくさんのルーマニア映画を紹介してきた。だが日本においてルーマニア映画の全貌はあまりにも未知すぎる。そこには豊穣たる映画史が存在する…

コロンビア映画史の戦略~Interview with Camilo Andrés Calderón Acero

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…

Luciana Mazeto&"Irmã"/姉と妹、世界の果てで

今現在ブラジル映画界が空前の活気を見せていることはこのブログでも何度もお伝えしているが、その1つの動向としてジャンル映画的な要素を駆使しながらアートハウス映画を作るという技巧派の台頭がある。例えばホラー映画やSF映画などそういった要素を人間ド…

Asli Özge&"Auf einmal"/悍ましき男性性の行く末

今作の主人公であるカーステン(Sebastian Hülk)は前途有望な青年だ。彼はドイツの小さな町に住んでいるが、両親はこの町の権力者であるゆえに、多大なる恩恵を受けている。献身的な恋人ラウラ(Julia Jentsch)にも恵まれており、彼は仕事も私生活も順風満帆だ…

コロンビア映画界の明日について~Interview with Pablo Roldán

さて、日本の映画批評において不満なことはそれこそ塵の数ほど存在しているが、大きな不満の1つは批評界がいかにフランスに偏っているかである。蓮實御大を筆頭として、映画批評はフランスにしかないのかというほどに日本はフランス中心主義的であり、フラン…